レビュー

【本日発売】Kaveriの低価格モデル「A8-7600」、「A6-7400K」をチェック

 AMDは7月31日(米国時間)、Kaveriをベースとした第4世代AシリーズAPUの下位モデル「A8-7600」「A6-7400K」を発表した。今回は、発売前に同APUを借用する機会を得たので、既存のA10シリーズの下位モデルとして登場する新製品の性能をベンチマークテストでチェックしてみた。

Kaveri世代初のA8/A6シリーズ

 新たに発表されたA8-7600とA6-7400Kは、いずれも第4世代APU「Kaveri」をベースにした製品で、CPUコアにSteamroller、GPUコアにGCN(Graphics Core Next)を採用している。製造プロセスは28nmで、TDPは65Wと45Wのデュアルスペック。

 デュアルスペックとなっているTDPについては、先に発売されたA10-7800同様、デフォルトは65Wで動作し、Configurable TDP機能によって45Wでの動作を実現する。A8-7600とA6-7400Kとも、TDP 45Wでの動作に最適化されている点についても、A10-7800と同様だ。

 A8-7600は、4基のCPUコアと6基のGPUコア、計10基の演算ユニットを備えるAPU。L2キャッシュは4MBで、内蔵メモリコントローラはDDR3-2133に対応。CPUコアの動作クロックは、定格3.1GHz、Turbo CORE時最大3.8GHz。6コア(Stream Processor数 384基)のGPU「Radeon R7」は最大720MHzで動作する。

 A6-7400Kは、2基のCPUコアと4基のGPUコア、計6基の演算ユニットを備えるAPU。L2キャッシュは1MBで、内蔵メモリコントローラはDDR3-1866に対応。CPUコアの動作クロックは、定格3.5GHz、Turbo CORE時最大3.9GHz。4コア(Stream Processor数 256基)のGPU「Radeon R5」は最大756MHzで動作する。なお、型番にKのサフィックスが付与されていることからわかるように、A6-7400KはCPU倍率の上方変更が可能な倍率ロックフリーモデルである。

【表1】Kaveri世代APUの主なスペック
A6-7400K A8-7600 A10-7700K A10-7800 A10-7850K
製造プロセス 28nm
開発コードネーム Kaveri
コア数 2 4
CPUクロック
(定格時)
3.5GHz 3.1GHz 3.4GHz 3.5GHz 3.7GHz
CPUクロック
(Turbo CORE時/最大)
3.9GHz 3.8GHz 3.9GHz 4.0GHz
GPUコア Radeon R5 Radeon R7
Streaming Processor
(Radeonコア)
256基
(64基×4CU)
384基
(64基×6CU)
512基
(64基×8CU)
GPUコアクロック
(最大)
756MHz 720MHz
TDP 65W/45W 65W/45W 95W 65W/45W 95W
倍率アンロック × ×
Configurable TDP最適化 × ×
対応ソケット FM2+
A8-7600
A8-7600のCPU-Z実行画面
A6-7400K
A6-7400KのCPU-Z実行画面

テスト機材

 今回、A8-7600とA6-7400Kを試すにあたって、比較対象としてデスクトップ版Kaveriの最上位モデル「A10-7850K」を用意した。各APUを、ASUS製のAMD A88Xチップセット搭載マザーボード「A88X-PRO」に搭載し、それぞれのAPUがサポートする最大クロックのメモリと組み合わせて、ベンチマークテストを実行した。

【表2】テスト機材
CPU A6-7400K A8-7600 A10-7850K
マザーボード ASUS A88X-PRO
メモリ DDR3-1866 8GB×2
(10-12-12-31、1.65V)
DDR3-2133 8GB×2
(10-12-12-31、1.65V)
ストレージ Crucial m4 128GB
ビデオカード APU内蔵Radeon R5 APU内蔵Radeon R7
電源 Antec HCP-1200(1,200W 80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバ Catalyst 14.7 Beta
OS Windows 8.1 Pro Update 64bit

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果紹介に移りたい。実施したベンチマークテストは、PCMark8(グラフ1)、3DMark(グラフ2、3、4、5)、3DMark11(グラフ6)、MHFベンチマーク【大討伐】(グラフ7)、ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編(グラフ8)。

 PCMark8のスコアは、シリーズ最上位モデルであるA10-7850Kのスコアに対し、A8-7600がが93〜97%、A6-7400Kは79〜93%のスコアを記録した。特に、A8-7600に関しては、A10-7850Kとの差が1割未満にまで肉薄しており、下位モデルという位置付けでありながら、その性能は優秀だ。

 Configurable TDPによりTDPを65Wから45Wに引き下げた場合のスコア低下は、A8-7600の場合は3〜4%程度、A6-7400Kは2%前後となっている。PCMark8で実行される処理の場合、TDPを引き下げてもパフォーマンスへの影響は少ないようだ。

【グラフ1】PCMark8

 3D系のベンチマークテストの結果では、A10-7850Kのスコアを基準とした場合、A8-7600のスコアはA10-7850Kのおおよそ8〜9割、A6-7400Kは6〜7割程度となった。CPUコアとGPUコアがA10-7850Kの半分しかない上、メモリクロックでも一段劣るA6-7400Kは流石に大きな差がついてしまっているが、A8-7600はかなり健闘していると言って良いだろう。

 A8-7600、A6-7400Kとも、TDP 45W時と65W時のスコア比較において、3DMarkの総合スコアやGPU性能を示す「Graphics Score」の差が少ない一方、CPU性能を示す「Physics Score」では、10〜20%程度の差がついているのが印象的だ。Configurable TDPによりTDPを引き下げる際、CPUのパフォーマンスを削り、GPUのパフォーマンスを維持しようという制御の方針が見て取れる。CPU中心の処理とGPU中心の処理では、TDP変更によるパフォーマンス変化に違いがある点は覚えておきたい。

【グラフ2】3DMark-Fire Strike[Default]
【グラフ3】3DMark-Sky Drive[Default]
【グラフ4】3DMark-Cloud Gate[Default]
【グラフ5】3DMark-Ice Storm Extreme[Default]
【グラフ6】3DMark11[Default]
【グラフ7】MHFベンチマーク【大討伐】[フルスクリーン]
【グラフ8】ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編[フルスクリーン]

 最後に、ベンチマークテスト実行時の消費電力の測定結果を紹介する。消費電力の測定は、サンワサプライのワットチェッカー「TAP-TST5」を用い、各テスト実行中の最大消費電力を測定している。

【グラフ9】システム全体の消費電力

 アイドル時の消費電力については、A8-7600とA6-7400Kが、TDPの設定にかかわらず34Wで完全に横並びとなった。A10-7850Kはそこから4W高い38Wとなっており、そこまで大きな差では無いが、若干アイドル時消費電力が抑制されている傾向があるようだ。

 ベンチマーク実行中の消費電力を見てみると、A6-7400KがTDP設定の違いによる消費電力の差がはっきりと見えない一方、A8-7600についてはTDP 45W設定時の消費電力が90Wを超えない程度に抑制されていることが見て取れる。

 A6-7400Kについては、TDP引き下げによる消費電力の減少がほぼ見られないという結果になったわけだが、実行したベンチマークのスコアも65W時と45W時でほぼ横並びとなっているため、妥当な結果であると言える。また、A6-7400K 65W時の消費電力自体、A8-7600のTDP 45W設定時の消費電力を下回っていることから、消費電力を測定したテストではパフォーマンスや消費電力を削減する必要性が無かったものとみることもできる。

低価格で導入できる最新APU

 今回の新モデル追加により、これまで15,000円以上の上級モデルしかラインナップされていなかったKaveriベースの第4世代AシリーズAPUに、1万円前後で購入できるモデルが加わることになる。特に、パフォーマンスも優秀なA8-7600は、導入コストを抑えたいと考えていたユーザーにとっての本命となるモデルと言えよう。

 A8-7600とA6-7400Kの価格的なメリットを活かすなら、マザーボードも廉価なものを選択したくなるところだが、両APUはTDP 45W最適化モデルである。せっかくなら、Configurable TDPの利用できるマザーボードを選びたい。

(三門 修太)