レビュー

10万円で登場した23.8型4K液晶、デル「UP2414Q」を試す

UP2414Q
12月17日 発売

価格:オープンプライス

 デル株式会社が11月28日に発表した、23.8型の4K(3,840×2,160ドット)対応液晶「UP2414Q」は、正式な発売日のアナウンスがないまま、突如としてAmazon.co.jpに登場。99,980円というインパクトのある価格で話題をさらった。その実機を試す機会を得たので、インプレッションをお届けしたい。

 本製品の主な仕様は下記の表にまとめた通り。

UP2414Qの主な仕様
液晶サイズ 23.8型
パネル方式 IPS
表示解像度 3,840×2,160ドット(185ppi)
アスペクト比 16:9
画素ピッチ 0.137mm
表面処理 ノングレア
タッチパネル なし
バックライト方式 LED
応答速度 8ms(中間色)
コントラスト比 1,000:1(標準、ダイナミックコントラスト有効時200万:1)
視野角 上下/左右とも178度
輝度 350cd/平方m
表示色 約10億7千万色
チルト角度 対応(前6度/後22度)
スイベル 対応(左右それぞれ45度)
高さ調整 対応(130mm)
ピボット機能 対応
入力端子 DisplayPort 1.2×1、Mini DisplayPort×1、HDMI 1.3×1、USB 3.0アップストリームポート、6-in-1カードリーダ
出力端子 USB 3.0×4
VESAマウント 100mm対応
電源 内蔵
消費電力 通常90W、最大120W、スタンバイ0.5W以下
付属品 Mini DisplayPort→DisplayPortケーブル、USBケーブル、電源ケーブル
本体サイズ 569×192×371.1〜501.7mm(幅×奥行き×高さ)
重量 7.1kg

 本製品のパネルは非光沢のIPSで、視野角は上下/左右ともに178度とされていることもあり、斜めから見ても色の変化は小さい。色合いは非常に落ち着いた発色だが彩度が足りない印象もない良好な非光沢液晶という印象だ。デフォルトで輝度は控えめな印象だが、暗いところも黒つぶれするようなことはなく、階調がよく表現されている。

 応答速度はスペック的にも速いものではないが、実際に見ても、やや残像感が気になるレベルにある。後述のとおり、今回はHaswell搭載NUCによるテストのためゲーミングを想定して追求はしておらず、解像度と描画品質を下げてゲームのベンチマークを回してみた程度だが、それでも残像が分かる。購入を検討している人が4K解像度でのゲームプレイを想定している可能性を鑑みて試してみたが、やはり、そのような用途は意識していない製品と言えるだろう。

正面および後ろチルト最大、左右スイベル各最大時。視野角は広く、色の変化は小さく、コントラスト低下もほとんど感じられない

 インターフェイスはDisplayPort、Mini DisplayPort、HDMIの3系統入力。DispalyPortの2系統は3,840×2,160/60Hzの入力に対応するが、HDMIは同解像度の場合30Hzとなる点に注意を要する。30Hzで十分というユーザーもいるかも知れないが、基本的にはDisplayPort必須と考えておいた方がいいだろう。

 また、USB 3.0 Hubを内蔵。通常の3ポートに加え、1ポートはBC 1.2に対応した電源オフ時にも電源供給が可能なポートとなっている。この電源オフ時の電源供給に対応したポートは、本体背面の独立した位置に設けられている。このほか、側面にSDカード/メモリースティックスロットを搭載する。

 スタンドはチルト、スイベル、高さ調整、ピボットに対応。23.8型なので極端に重量感もなく調整はしやすい。ただしピボットについては、最高部にまでパネルを上げた状態で、回転する必要がある。パネル自体の重量は4.8kgで、VESA 100mmマウントにも対応する。

インターフェイス部。ACアダプタは内蔵タイプ。DisplayPort、Mini DisplayPort、HDMIの各映像入力、3ポート分のUSB 3.0 Hubを装備
USB 3.0 Hubは計4ポート分のダウンストリームを備え、背面に離れて搭載しているポートは電源オフ時給電に対応する
側面にはSDカード/メモリースティックカードスロットを装備
付属品。Mini DisplayPort→DisplayPortや、アップストリーム用のUSB 3.0ケーブルなどが付属。UltraSharpシリーズらしくキャリブレーションシートも添付されている
正面
背面
ピボット時
高さ最低
高さ最高
左スイベル最大
右スイベル最大
前チルト最大
後ろチルト最大

 OSDの操作ボタンはベゼル部に装備。マークが5つ並ぶ静電容量式のスイッチで、一番下のマークに触れるとOSDを呼び出し、以後、選択できるマークのみLEDが点灯するという動作をする。OSDの内容は日本語メニューも用意されているほか、あらかじめプリセットも用意。

 色温度や色空間による指定が可能なのはプロユースの製品らしい部分で、X-Rite製のハードウェアキャリブレータ(別売り)とセットで使用するためのカラーキャリブレーションソフト「Dell UltraSharp Calibration Solution」を付属CD-ROMにバンドル。また、色のプリセットをアプリケーションごとに自動切り替えできる機能を持つ「Dell Display Manager」にも対応。同じく付属CD-ROMに収録されている。

OSDは静電容量式のスイッチで操作。一番下を押すと呼び出され、選択できるスイッチのみLEDが点灯する
用意されたプリセットモード
色温度の指定
色空間の指定
入力カラーはRGBまたはYPbPr、ガンマはPCまたはMACから指定可能。「帯状の色空間」とは画面の左半分と右半分を分けて別の色空間で表示できる機能
Picture By Picture機能も搭載。ただしDisplayPortとMini DisplayPortの2画面は不可で、必ずHDMIを併用する必要がある
X-Rite製キャリブレータ用のカラーキャリブレーションソフトが付属
Dell Display Managerからもプリセットモードの変更が可能
使用中のアプリケーションに応じて、自動的にプリセットモードを変更する機能を備える

Windows 8.1ではDPIを自動調整、使いこなしの気持ちは必要

 さて、本製品の最大のポイントは、3,840×2,160ドットという解像度を、23.8型というPCデスク上に置きやすいサイズで実現した点にある。これはフルHD(1,920×1,080ドット)の4倍の解像度で、画素密度は185ppiとなる。当然ながら23.8型/フルHDであれば約93ppiとなる。

 185ppiという画素密度は一般的なデスクトップ向けディスプレイで比肩できる製品がなく、画面サイズが小さいノートPCで例えると、おおむね12型のフルHD解像度あたりに相当する。フルHD対応ノートPCで、これより画面サイズが大きければ、本製品よりも精細さが低いと考えていい。

 さすがに200ppiを超えるような2,560×1,440ドット/3,200×1,800ドットに対応した13〜14型クラスのノートPCに比べると低いが、このパネルサイズでこの精細さはインパクトがある。また、大画面TVなどと違ってPCで利用する場合は、より近い場所でディスプレイを見つめるため、余計に細かく感じるのかも知れない。

 先述の通り、今回の4K解像度の出力に当たっては、Intelの「NUC Kit D54250WYK」を借用して試している。OSはWindows 8.1を使用しており、DisplayPortおよびMini HDMI出力で3,840×2,160ドットが利用できることを確認した。試用中は基本的にDisplayPort接続している。

 また、筆者が仕事で使っているWindows 7 ProfessionalがインストールされたThinkPad X230(Core i5-3320M搭載)のDisplayPort出力でも4K解像度は利用可能だったが、YouTube 4Kの再生でも盛大にコマ落ちし、まともに再生できなかった。広大なデスクトップ解像度を得る目的としては十分だが、4Kのコンテンツをフル活用しようと思うには心許ない印象が残った。

テストに用いたIntel「NUC Kit D54250WYK」
Mini DisplayPortおよびMicro HDMIを装備。UP2414Q付属のMini Display→DisplayPortケーブルを用いて使用した
NUC Kit D54250WYK/Windows 8.1の環境での出力
ThinkPad X230/Windows 7環境での出力

 23.8型で3,840×2,160ドットという解像度のため、その精細さと同時に文字が小さくなるのではないか、不自然な表示になるのではないか、という心配もあると思うが、Windows 8.1に関していえばppiを判定して文字サイズを自動変更するため、何も設定しなくてもおおむね判読可能な文字で表示される。

 とはいえ、この適用を受けない部分については文字の小ささが否めず、PC用ディスプレイなので近い距離で使うにしても正直厳しいというのが実感だ。結果として文字サイズは大きくして使用するのが一般的な使い方になると思われ、文字の判読性確保という観点では、解像度は割り引いてイメージしておいた方がいい。

 Windows 8.1ではテキストなどのサイズを4段階で調整可能だが、参考までに、その画面で4段階別の表示サイズを掲載する。また、フォントサイズを10.5ポイントにし、同様に4段階に変更した場合の表示も掲載する。こちらは、10.5ポイントの文字を印刷した紙も併せて写真に収めている。

ディスプレイ設定の「解像度の調整」画面でスライダーを4段階に変化させた際の文字サイズの変化
同じく解像度の調整でスライダーを4段階に変化させた際の変化。10.5ポイントの文字の画面表示および、同サイズで印刷された文字

 ちなみに、スタイルシートでコンテンツの横幅を制限しているWebサイトや、Flashコンテンツなどのように、解像度が固定されたコンテンツを表示する場合には、余白があまりに大きくなる。またサイズ固定のコンテンツでは、UIもそれに伴って小さくなる。

 例えば、YouTubeはすでに4Kコンテンツにも対応しているが、デフォルトではウィンドウ左端を基準に最大横幅が決まっているため、下記の写真のような表示になってしまう。もちろん4Kコンテンツを見るなら全画面表示に切り替えるのが常套であるが、この状態でもスライダーのサイズは変わらず、縦幅が1.5mmほどと非常に細い。各種操作ボタンも10mm平方未満というサイズで、マウスカーソルをスライダーに載せた時に表示されるプレビューは大人の親指程度の大きさ(まさにサムネイル)で何が表示されているのかよく分からない。画面が大きいだけに、カーソルの細かい操作もなかなか慣れず、率直に使い勝手には難があると言わざるを得ない。もちろんこの課題は23.8型/4Kという本製品の特性が1つの理由ではあるが、Webコンテンツの作りにも由来していることである点は念押ししておきたい。

 4Kコンテンツの再生については、僚誌AV Watchで連載中の「小寺信良の週刊 Electric Zooma!」に掲載された同氏撮影の映像の視聴を試している。先述の通り、ThinkPad X230ではコマ落ちが激しく視聴に耐えるレベルになかったが、NUC Kit D54250WYKでの再生は非常にスムーズ。むしろ、職場でのテストでは、4K(YouTube上は“オリジナル”と表記される)に切り替えた後にネットワーク帯域不足を感じるほど。映像の印象は、TV製品などの大画面4Kよりも、さらに立体感を覚える。23.8型というと多人数で囲んで視聴するよりも、1人でコンテンツに没入するスタイルの方が一般的になるのではないかと思うが、これはとても贅沢な環境だと思う。

YouTubeの画面、左端基準で最大ピクセル数が固定されているようで、このような表示に
小寺信良氏撮影の4K映像。写真では分かりにくいが立体感を覚える精細な映像で、解像度だけでなく画素密度のメリットを感じられる
YouTubeでは、フル画面表示にしても、スライダーや各種操作ボタンがかなり細く、小さくなり、操作性に難が生じる
余談ながら「艦これ」も解像度が固定されており、Metro版Internet Explorerの方が高速に動作するから……とうっかり起動すると4K解像度の罠にはまり、広大な海原(?)に浮かぶ“ぷかぷか丸”に言葉を失う。スナップ表示に対応した艦これタイマーなどと組み合わせても、まだまだ余りそうだ

 もう少しシンプルな使い方でも本製品を試してみたが、特にExcelで一度に表示されるセルの数や写真の表示で、4K解像度と画素密度の威力をいかんなく感じられる。

Windows 8.1のデフォルト状態で、Metro版Internet Explorerを用いてPC Watchを開いた状態。タイトル文字は大きめだが、それでも余白は大きい
拡大して画面幅全体に表示させてみた状態。ここまで拡大すると、逆にサムネイルが実サイズ(横100ピクセル)を超えてしまう
Microsoft Excel 2013で、「2014年パッチワーク風の年間カレンダー(かわいいデザイン)」を開いてみたところ。100%表示/リボンUI表示状態でも1年分を1画面に表示できる。右の写真は23型/フルHD液晶のデル「S2340L」
ニコンのD7100(2,410万画素)の写真を表示させ、画面を撮影したもの。右は同じくS2340Lでの表示だが、毛先の描写に精細さの違いがはっきり表れている

 しかし、(先の問題点とも絡むが)Web表示のサイズなど、あまりに余白が大きくなるケースがある。複数ウィンドウを開いて、それぞれを好みの場所にレイアウトして活用していくことになるが、その時に付属のDell Display Managerが便利だ。

 このアプリケーションは、仮想的にデスクトップ領域を分割して、その分割線に沿ってウィンドウを拡大できる。あらかじめプリセットされた分割方法のほか、いま開いているウィンドウ領域を分割線として設定する機能を備えており、好みの分割線を作ることもできる。このアプリケーションは以前から同社のプロ向け製品で利用できたものだが、この解像度でさらに有効性が高まっていると言えるだろう。

Dell Display Managerには、デスクトップを仮想的に分割し、分割線に沿ってウィンドウを最大化できる機能を持つ
黄色い線が分割線。「ペイント」のウィンドウをドラッグして右下に持っていくと、赤く表示された右下の枠にピッタリ合うようにウィンドウが調整される
いま開いているウィンドウに沿って分割線を設定することも可能。右端にブラウザ、左側に作業するアプリケーションのウィンドウを開いておく、といった自分なりのレイアウトが可能だ

PCでの4Kディスプレイ普及に繋がり得るエポックメイキングな製品

 以上、正味1日半ほどの試用だが、多くの注目を集めている本製品を試してみた。文字サイズやウィンドウ位置/サイズの調整など、本製品ならではの使いこなしを追求していく意気込みを持って使うべき製品というのが全体的な印象として残ったが、それでも3,840×2,160ドットの解像度とこの精細感はやはり魅力的で、多少の手間をかけてでも導入の価値があると思う。使いこなすにあたっては、解像度と画素密度を分けて考えるべき部分があるので、ここを混同せずに対処していくことが重要になる。

 ちなみに、12月11日以後のAmazon.co.jpでの販売価格は多少動きがあった。編集部で12月11日に確認した時点では99,980円であったことは既報の通りだが、その週末となる12月13日に確認した時点では129,980円へ変更されていた。しかし、週が明けて12月16日に確認した時点では再び99,980円へ戻り、最終的に発売日として告知された12月17日時点では「在庫切れ」の表示となっている。

 ちなみに、12月17日にはデルの直販サイトでも発売されたが、こちらの価格は129,980円となっており、99,980円というのはAmazon限定の特価であると推測される。

 いずれにしても99,980円という価格で販売されたことは事実であり、米Dell直販サイトの価格は1,299.99ドルであることと、為替相場が1ドル100円強である現状を考えると、消費者にとってはうれしい、破格の価格設定といえる。また、海外価格という比較を抜きにして、4K対応ディスプレイ製品全体で見ても相当に安価だ。

 とくに、24型というサイズは、すでに24型前後のWUXGAやフルHD製品を使っている人が少なくないであろう現状なら、同等のサイズで4K対応へ置き換えられることも大きな価値がある。WUXGAを超える解像度のディスプレイは27型や30型クラスとなってしまうことから、24型ディスプレイをそのまま置き換えられる、より高解像度の液晶が出たことは朗報と言えるだろう。

 製品のインプレッションからは逸れるが、デルといえば24型/WUXGA(1,920×1,200ドット)の「2407WFP」や、27型/WQHD+(2,560×1,440ドット)の「U2711」など、その時点において驚くような価格付けのディスプレイを何度も提供してきた実績がある。今回のUP2414Qもまた、そのような記憶に残る製品になるのだろう。

(多和田 新也)