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頼れるパパのための「子供のPCデビュー」講座

〜第2回:Chromebookを使って子供用の監視対象アカウントを作成する

家庭で必要なネット環境とは

 前回は家庭でPCを使う目的を設定した。少なくとも現在PCの主たる利用目的として、インターネット接続は欠かせない。そして子供にネットを使わせる以上、ウィルス対策と同じレベルで、フィルタリングは必要になる。フィルタリングによって怪しいサイトへ接続しなければ、ネット経由でウィルス感染するリスクも減るわけだ。

 フィルタリングをご存じない方は読者の中には少ないかもしれないが、一応説明しておくと、子供がアクセスするに相応しくないサイトへの接続を遮断する、一種のプロキシだ。アクセスして良いサイトだけをデータベース化した「ホワイトリスト方式」と、アクセスさせたくないサイトをデータベース化した「ブラックリスト方式」がある。

 ユーザーが自分で導入するタイプのフィルタリングとしては、デジタルアーツの「i-フィルター」がよく知られている。ネット上のサイトをカテゴリ別に分類し、特定カテゴリへのアクセスを禁止するブラックリスト方式のフィルタリングサービスだ。

 もちろんこのカテゴリ分けは完全ではないので、アクセスして問題ないと思われるサイトも出てくるだろう。こういうところへのアクセスは、個別に穴を開けられるようになっている。また年齢やネットのリテラシに応じて、アクセスして問題ないサイトは増えていくものなので、子供の成長に合わせて徐々にフィルタリングを緩め、最終的にはフィルタリングなしでアクセスできるようになるまで、保護者がカスタマイズしてやる必要がある。

 フィルタリングには、PCなどの端末側でソフトウェアを動かす方法、家庭内に設置してあるルーターにフィルタリングを導入する方法、インターネットプロバイダが提供するフィルタリングサービスを利用する方法がある。

 一番手軽なのは端末にフィルタリングを導入することだが、子供が使うIT機器は1台だけではない。ゲーム機やタブレット、あるいはポータブル音楽プレーヤーも最近はAndroid端末と変わりないものも増えており、どれかが抜け道になっていては意味がない。

 全ての機器にフィルタリングを導入し、それぞれにメンテナンスしていくというのは、手間としても現実的ではない。さらにコスト的にも、端末ごとに料金が発生することになってしまう。

 筆者がお勧めしたいのは、Wi-Fiルーターにフィルタリングを導入する方法だ。国内のルーターーメーカーの努力により、現在販売されているルーターのほとんどは、フィルタリングに対応している。これなら1ライセンスで、子供が使用する機器全部に同じフィルタリングがかけられるわけだ。フィルタリングしたくない、大人しか使用しない機器は、MACアドレスを登録することでフィルタリングから除外することができる。

Buffaloのルーターに導入されているi-フィルター

 こうしたフィルタリングの事情も含めて考えれば、子供のPCはできるだけ子供専用のものがあることが望ましい。もし家族共用のものを使う場合は、いちいちフィルタリングをオン/オフするのは現実的ではないので、フィルタリングをかけずに運用することになる。この時は、PCをダイニングやリビングなど、大人の目が届くところに設置し、子供がネットを利用する際にはそばで見守るといった運用が望ましい。

子供に与えるPCの条件

 子供に与えるPCとして、どのようなものが妥当かを検討してみよう。まず利用場所を限定せずに使わせたいということを考えると、デスクトップ型は除外される。実際に我が家では、キッチンにPCを持ち込んでレシピを見ながらクッキーを作ったり、こたつで編み物のサイトを見ながら編み物したりといった使い方をしている。バレンタインデーが近づいた頃には、友達数人が家に来てチョコの湯煎の仕方を検索しながら、怪しげなチョコを作成している。

 さらにノートPCでも、子供が安全に扱えるサイズと重量を考えると、A4ノートは重すぎる。B5以下の軽量タイプで、できれば価格もそれほど高くないものが理想だ。

 その線で考えると、少し前ならネットブックがあった。実際に2010年前後には、ネットブックを導入した小学校もあったはずだ。我が家でも実際にネットブックを使わせてみたことがあったが、非力すぎてレスポンスが悪いという点が問題だった。

 子供はクリックに対してすぐに反応が返ってこないと、ちゃんと押されてなかったと思って、もう一度押してしまう。すると結果的に2度クリックしたことになり、覚えたはずの操作方法と違う結果が返ってきてしまう。これではいつまでも正しい使い方が覚えられず、結果的にあまり使わなくなってしまった。

 現在我が家でも導入しているおすすめ機種は、Chromebookだ。日本ではあまり普及している感じはないが、米国では学校をはじめとする教育用途での一括導入事例が多い。実際に我が家で導入してみたメリットを、3つ挙げる。

1. 価格が安いので導入しやすい

 現在Chromebookの価格は、平均的には35,000円前後だろうが、3万円を切るモデルもある。

 子供は初めてPCを扱うわけで、まだモノとしての扱いに慣れておらず、乱暴に扱ったりする。うちで導入してChromebookは実は2代目で、初代は布団の上に置いていたのを本人が忘れて、液晶画面を踏み割っている。10万程度のノートPCを壊されたら大激怒だが、3万円程度ならまあ諦めもつく。

 ポータブルゲーム機は小型だし結構丈夫なので、布団の上で踏んだぐらいでは割れない。PCも同じような強度があるものと思ってしまうようだが、こうした失敗から扱い方を学ぶわけである。正直小学校3〜4年生ぐらいなら、最初のものはまず1年程度の命だと割り切っておいた方がいいだろう。

2. キーボードが標準付属

 前回、子供にPCを使わせる目標として、きちんと相手に伝わる文章が書けるようになることを挙げた。キーボードでの文字入力は、学習指導要領がPC中心の教育にフォーカスしている以上、小学校から高校ぐらいまではデフォルトとなる。いつかタブレットやスマートフォンが公式に導入されることになれば、フリック入力が標準になることもあるかもしれないが、今の流れだと当面はPCだろう。

 そう考えると、家庭でもキーボードを使っての文字入力をトレーニングしておくのは意味がある。フリック入力は、やがてスマートフォンを使うような年頃になれば、勝手に自分で覚えるだろう。

3.アカウント管理が楽

 これは実際にChromebookを子供に使わせたことがない人は、知らない情報だろう。Chromebookの子供向けアカウント管理は非常に優れており、これは今の所どのOSにもない特徴だ。筆者がお勧めする決定的なポイントもここである。実際にこのあとじっくりご紹介する。

 このほかにも、サイズや重量としても適当、ローカルでアプリが動くわけではないのでレスポンスが高速、という特徴がある。ChromebookはPCとは違うんじゃないかという意見もあるだろうが、ネットデビューのファーストステップとしては悪くない選択だ。

 価格的には8型程度のWindowsタブレットなら、Chromebookと変わらないものもある。だがキーボードが別、子供が使うには表示が小さすぎる、アカウント管理が自力といった点がデメリットとなる。もちろんそのデメリットを全部自分でカバーするという覚悟があるなら導入には反対しないが、単に余ってるからという理由で子供に与えるのは、少し考えたほうがいいだろう。

 こういった条件に合う製品の1つとしてASUSの「Flip C100PA」がある。8.9型で、現在の実売価格は3万円台後半。実際、今回この製品を使って検証を行なっている。

ASUS「Flip C100PA」

Chromebookの仕組み

 メリットの3つ目でご紹介したアカウント管理について、少し紙面を割いてご紹介する。

 Chromebookは、ログインにGoogleアカウントが必要となる。ところが小学生程度の子供は、自分のGoogleアカウントを持つことができない。Googleアカウントの年齢要件を見ればお分かりのように、日本でGoogleアカウントを所有できるのは、13歳以上となっている。実際に子供用のアカウントを作ろうとすると、生年月日を入力した段階で先へ進めなくなる。

 子供向けにChromebookを使わせる場合は、保護者のアカウントに紐付いた「監視対象ユーザー」を設定する。マルチアカウントOSで考えると、保護者のアカウントがアドミニストレータ(su)、監視対象ユーザーは機能制限付きの一般ユーザーといった関係に近い。ただChromeOSの監視対象ユーザーは、最初から13歳未満の子供が使うことを前提に、さまざまな配慮がなされている。実際の設定方法を追いながら、その特徴を見ていこう。

 まずChromebookを買ってきたら、最初に自分(親)のGoogleアカウントでログインする。いわゆるアドミニストレータでログインしないと、Chromebook自体の設定ができないのである。ログインしてWi-Fiアクセスポイントの設定を終えると、ネットへ繋がりGoogle Chromeが起動する。既に別のPCでChromeを使っていたら、ブックマークを始めとするブラウザの設定が全て引き継がれる。

保護者のアカウントで初期設定を行なう

 ここでいったんChromebookからログアウトする。ログイン画面まで戻ったとことで、画面の下にある点3つの部分をクリックして、「監視対象ユーザーを追加」を表示させ、ここをクリックする。

いったんログアウトして、ログイン画面に戻る
点3つのところをクリックして、監視対象ユーザーを追加する

 すると監視対象ユーザーの説明が表されるので、一読してユーザーを作成に進む。保護者(管理者)となるアカウントを選んでパスワードを入力、次の画面で子供の名前を入力する。ここは保護者と子供が認識できればいいので、特に本名などにこだわる必要はない。監視対象ユーザーのパスワードを設定し、アカウントのアイコンを選択すると、ユーザー作成完了だ。

監視対象ユーザーの説明を一読、次へ進む
先ほどログインした保護者アカウントのパスワードを入力
監視対象ユーザーの名前とパスワードを決める

 一度ここで実際に監視対象ユーザーの挙動を確認してみる。子供のアカウントでログインすると、右下に管理者に管理される旨を伝えるアラートが出る。監視対象ユーザーのブラウザは、「セーフサーチ」機能がデフォルトでオンになっている。これは、Google検索を行なう際に、不適切なサイトへのリンクを表示しないという機能だ。

ログイン画面には、保護者アカウントと監視対象ユーザーのアカウントが表示される
監視対象ユーザーでログインしたところ

 ということは、ピンと来る人にはピンとくると思うが、検索サイトとしてGoogle以外、例えばYohoo!などを使って検索すると、セーフサーチ機能は働かない。そのことを積極的に子供に教える必要はないが、その点では抜け穴があるのは事実なので、ルーターのフィルタリングと併用することをお勧めする。

 セーフサーチ機能は、子供が自分で解除しないよう、ロックをかけることができる。また子供のサイトアクセスログを監視したり、特定のドメインをブロックする機能もある。この機能を利用するには、「監視対象ユーザーダッシュボード」を利用する。

 このダッシュボードへのアクセスは、Chromebookから行なう必要はないので、別途自分のPCから上記URLへアクセスすれば良い。ダッシュボードで管理したいユーザーをクリックすると、設定画面が表示される。

監視対象ユーザーダッシュボードの画面

 セーフサーチをロックすると、監視対象ユーザーのChromeの右上に、風船の画像が表示されるようになる。従って子供の肩越しに覗き込む程度で、セーフサーチがロックされているかどうかを確認することができる。

セーフサーチをロックした状態で検索

 ここまで設定したら、子供にChromebookを渡してもOKだ。パスワードを教えてログインさせ、ブラウザでの検索方法を指導してみよう。最初はYouTubeへ行って次の動画のリンクを辿るだけかもしれないが、徐々に興味のあることがらのキーワードを検索するようになる。その過程で、キーボードの入力に慣れていくだろう。

 最終回となる次回は、子供の年齢に応じたネットアクセスとコミュニケーションのリテラシー育成や、実際に子供がどのように変わるかといった体験をお話ししたい。

(小寺 信良)