特集

ALIENWAREの元経営陣が設立したゲーミングPCメーカー「Origin PC」が日本進出!

~日本への進出意図をCEOに訊く

CEO of Origin PC Asia PacificのAron Jackson氏

 Origin PCというPCメーカーをご存じだろうか? 筆者も実はこれまで知らなかったのだが、ゲーマー向けPCの製造に特化したアメリカのPCメーカーであり、アメリカのPC雑誌の読者が選ぶアワードでベストゲーミングPCメーカーに選ばれるなど、欧米のPCゲーマーからの評価は高い。

 それもそのはず、Origin PCは、ALIENWAREの元経営陣らが中心となり、ゲーマーのために最高のゲーミングPCを作りたいという情熱から設立されたPCメーカーなのだ。ALIENWAREは、高性能なゲーミングPCのメーカーとしてゲーマーから高い人気を誇っていたが、2006年にDellに買収され、現在はDellのゲーミングPCのブランドとしてその名が残っている。

 Origin PCは、2014年末に日本市場への進出を決定し、公式サイトでの販売が開始されている。今回、Origin PC Asia PacificのCEOであるAron Jackson氏にインタビューする機会を得たので、Origin PCの製品の特徴や日本進出の意図などを尋ねてみた。

--まず、Origin PCという会社について教えて下さい。

【Aron】Origin PCは2009年、ALIENWAREの元経営陣であったAron Jackson、Joseph Yuan、 Kevin Wasielewski、Hector Penton、Richard Caryらによって設立されました。Dellを辞めた私たちは、ゲーマーのために最高のゲーミングPCを作りたいという情熱を持って、Origin PCを設立しました。そしてOrigin PCは、カスタムゲーミングPCのプレミアムブランドに成長しました。弊社は、アメリカのPC雑誌の読者が選ぶアワードで、ベストゲーミングPCメーカーに選ばれましたし、それ以外にも国際的な大きなアワードを受賞しています。

--Origin PCのPCの特徴は何でしょうか。

【Aron】Origin PCは、最高の性能とカスタマイズ性を重視してPCを製造しています。弊社は、Webサイトに10,000種類以上のオプションパーツを用意しており、自由にカスタマイズできます。

--どのようなPCを主に製造しているのでしょうか。

【Aron】高性能なゲーミングデスクトップPCとゲーミングノートPCを製造しています。

Origin PCのフルサイズゲーミングデスクトップPC「GENESIS」
Origin PCのゲーミングノートPC「EON17-X」

--ゲーミングPCは、DellやLenovoなどの大手メーカーからも製品が発売されているなど、競争が激しい分野ですが、Origin PCの製品が他社に比べて優れている点は何でしょうか。

【Aron】Origin PCは、PCの製造だけにフォーカスしている他の大手メーカーとは違います。私達はゲーミングPC業界のリーダーとして、お客様の希望に合わせた商品、サービス、サポートを提供します。

--Origin PCのPCはどこの国で販売されているのでしょうか。

【Aron】Origin PCの本社はアメリカのマイアミにあり、現在、14カ国で製品を販売しています。

--今回、日本に進出を決めた理由は何でしょうか。

【Aron】日本はとてもしっかりしたゲーム文化を持ち、テクノロジへの関心や理解も深い国です。それで、日本には高性能でユニークなゲーミングPCを探しているお客様が多いと判断し、日本への進出を決めました。Origin PCは、日本のお客様に高いレベルでカスタマイズが可能な高性能ゲーミングPCという、新しいカテゴリの製品を提供できます。

--日本で販売が行なわれるのはどういうモデルでしょうか。

【Aron】弊社のゲーミングデスクトップPCとゲーミングノートPCのフルラインナップを販売する予定です。

--日本での販売ルートはどうなるのでしょうか。

【Aron】Origin PCの製品は現在、直販サイトで購入可能です。また、2015年中に日本で店舗を開くことを予定しています。

--日本でのサポート体制はどうなっているのでしょうか。

【Aron】Origin PCは、日本での電話サポートを提供します。Origin PCに関する質問がある場合や、PCが故障した場合などは、Origin PCの日本のサポート番号に電話していただければ、サポートを受けられます。修理などのアフターサービスが必要な場合は、我々がお客様の自宅からPCをピックアップして、サービスセンターで修理します。修理した後、動作テストを行ない、他の問題がないことを確認してからお客様の自宅へ配送いたします。

--今後の日本での展開、マーケティング戦略について教えて下さい。

【Aron】Origin PCは、日本を一番重要なマーケットだと思っています。東京ゲームショウのようなイベントにも出展したいと思っていますし、日本のゲーミングコミュニティーとも繋がりを持ちたいと考えております。

--最後に、PC Watch読者へのメッセージをお願いします。

【Aron】製品には自信がありますので、是非、Origin PCのWebサイトをご覧いただき、我々の製品を知っていただきたいです。そして、皆様からのフィードバックが聞きたいです。Origin PCの製品についての皆様のお考えを知らせていただければ幸いです。


 Webサイトを一通り見てみたが、Origin PCのゲーミングPCは確かに高性能で、カスタマイズパーツが数多く用意されている。デスクトップPCのGENESIS場合、Core i7-4770K、水冷対応のGeForce GTX 780 Ti×3、メモリ32GB、SSD 1TB、1,300W電源といった構成を選択できる。

 そして本製品の筐体は、マザーボード(それに従ってビデオカードなども)を水平にも垂直にも、そして左右どちらの向きにも取り付けられるようになっており、4種類の収納方法から選択できる。これによって、場所を取りやすい大型デスクトップであっても、どちらの面からケーブルが伸びるかなどを自分で選べるため、設置の自由度が増す。前面のドアも、左右どちらにも開けられる。

 さらに、筐体は下部に本体とデザインを合わせたストレージボックスを拡張可能となっており、これを利用すると最大で24台の2.5インチSSDを搭載できる。あるいは、水冷用に360mmラジエータを2台収納することも可能だ。

 サイドパネルは鍵をかけることができる。自宅で使う場合は無用だが、LANパーティに持ち込むことを想定して、こういうパーツ盗難防止の仕組みも採用されている。非常によく練られたケースと言えるだろう。

 ただ、ちょっと心配になるのが、サイトの日本語が怪しいことになっている点。一部のフォントが中国語で、サイトの一番上に表示される「Country」は「国家」、「37.5% thinner & 30% lighter」は「37.5%シンナー & 30%のライター」など、完全な機械翻訳となっている。さらには、「GeForce GTX 970M」が「ジーフォース 970メートルGTX」、「16GB Corsair Vengeance 1,600MHz」が「16ギガバイトコルセア復讐た1600MHz」など、訳さなくて良いところまで訳していたり、ページを見ていて思わず吹き出してしまう。これが製品の品質に影響することはないが、サポートについてはやや不安を覚える。とは言え、徐々に日本語表記も直ってきているようなので、そこは今後の改善に期待したい。

「なぜ、そこを訳した!」と突っ込まずにはいられないが、製品はしっかり作られているようだ

 まずは、直販中心だが、店舗オープンや東京ゲームショウへの出展も予定しているなど、日本のゲーミングPC市場に本気で進出するようであり、ゲーマーにとっては気になる話題であろう。今回は、CEOインタビューだけだが、近日中にOrigin PCのゲーミングPCを試用して、レビューをお届けする予定だ。

(石井 英男)