イー・アクセス株式会社は、Android 3.2を搭載したシャープ製タブレット「GALAPAGOS A01SH」をイー・モバイルから8月下旬より発売する。今回、発売に先立ち、イー・アクセス社内にて短時間であるが、製品を試用することができたので、写真を中心にそのレポートをお送りする。
なお、今回試用した製品は製品版に近いが、外観やソフトウェア、性能などは製品版で変わる可能性があることをお断わりしておく。製品版については、評価機が準備され次第、改めてレビューをお届けする予定。
本製品の特徴は、日本で投入される製品として初めてAndroid 3.2を搭載し、かつ7型というサイズを実現した点にある。Android 2.x系では「GALAXY Tab」などが国内でも発売済みだが、Android 3.x系では、3.2になって初めて7型という中型サイズがGoogleによって許可された。
このほか、スマートフォン向けに開発された固定サイズの小画面アプリを全画面に拡大表示する機能、ウィジェットのサイズを変更する機能、アプリがSDカード内のメディアファイルにアクセスする機能などが追加されている。
ハードウェアの主な仕様は、CPUがNVIDIA Tegra 2(1GHz)、メモリ1GB、ストレージ8GB、1,024×600ドット(WSVGA)表示対応7型TFT液晶ディスプレイを搭載となっている。既存の10型クラスの製品ではストレージが32GBあるものが多く、数値上は見劣りするが、Android製品として8GBあれば、使い切るのは困難なほど。メディア系ファイルをたくさん保存すると、心許なくなるかもしれないが、microSDカードスロットもあるので、そちらを利用すれば全く問題ない。一方、プロセッサは10型クラスと同じものを積んでいるので、小型ながらも、同等以上の性能が期待できる。
実際、ベンチマークを測ってみた。使用したのはQuadrant Professional。グラフの括弧内はOSのバージョンを示す。他の機種の結果は、以前お伝えしたXOOMでのレビューの結果を流用している。このXOOMの場合を見て分かる通り、ハードが同じでもOSのバージョンが変わると、CPUの結果が下がる傾向がある。そのため、結果としては、A01SHのCPUスコアはTegra 2搭載機として最も低いものになっているが、OSのバージョンが違うので横並びの比較はできない。参考として捉えて欲しい。
一方で、I/O、2D、3Dについては、機種やOSのバージョンが変わってもほとんど変化がないが、A01SHでは、これらが1.5~2.5倍程度に伸びている。NVIDIAなどによると、AndroidのOSバージョンが上がるにつれ、グラフィック機能の性能や利用効率が向上したとされている。これもOSのバージョンが違うので、必ずしも他機種より数値分性能が伸びたとは言いきれないが、この結果はその現われである可能性は少なくない。実際、比較用に持ち込んだOptimus PadとGoogleマップの描画性能について、見比べてみた。解像度が異なる点は差し引く必要があるが、明らかにA01SHの方が滑らかであった。ただ、当然のことながら、この性能向上がOSの改善によるものだとしたら、既存の機種も、アップデートによりグラフィック性能が引き上げられるだろう。その場合、A01SHの性能的優位性は、一時的なものにとどまる。
ベンチマーク結果 |
【動画1】A01SHでGoogleマップを使っているところ |
【動画2】Optimus PadでGoogleマップを使っているところ |
本体サイズは約195×122×11.9~12.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約389g。解像度は10型クラスより一回り低くなっているので、情報の閲覧性は落ちるが、このサイズだと手の小さい女性でも無理なく把持することができる。8.9型でも片手でつかめるが、10型は無理だ。また、10型だと電車の中などで使うと、結構巨大であるため、威圧感があるが、7型なら新書程度なので、必要以上に目立つこともないし、持ち運びにもほとんど支障がない。一口にAndroidタブレットと言っても、今後自宅メインで使う10型クラスと、持ち運びメインで使う7型クラスという棲み分けが進むのかも知れない。
先に解像度の点は10型より劣ると書いたが、スマートフォンよりは一回り高解像度になる。発表会でも強調された点だが、1,024×600ドットいうサイズになると、電子書籍のコミックを1ページまるまる表示することができる。本製品シャープの電子書籍サービスとの組み合わせを訴求しているが、この点はスマートフォンに対する明確な優位点となるだろう。
また、Webを見る際にも、マルチウインドウで使うPCだとこの解像度はやや狭いが、Androidのブラウザは、内容をほぼフルスクリーンで表示するので、同じ解像度のネットブックよりも1画面で表示できる情報は多いと感じるだろう。
Pocket WiFiとのセット販売による値引きも予定 |
1つ本製品を選択する上で危惧される可能性があるのが、通信機能が、IEEE 802.11b/g/n無線LANに限られ、3G通信に対応しない点だろう。これについては、無線LANのある環境でしか使わないから、テザリング対応機器やモバイルルーターがあるから、2年契約などの縛りりがいらないから、と言う点から長所に感じるユーザーは少なくないと思われる。だが、一方で、より持ち運びに適しているのだから、3G機能も内蔵させて欲しいという声もあるだろう。同社ではPocket WiFiとのセットによる値引き販売を予定しているのだが、3G通信内蔵モデル“も”あったら布陣は盤石だっただろう。
もう1つ気になるのは、バッテリ容量が約1,620mAhと、本体サイズの割りにスマートフォン程度しかない点。公称バッテリ駆動時間は書籍閲覧時約7.5時間、動画再生時約6時間、サスペンド時約10日と、1日なら充電なしで使えそうだが、これについては製品版で見てみたい。なお、バッテリの交換はできない。
【8月23日付記】メーカーによると、本製品のバッテリ容量は直列7.4V 1,620mAhであるため、一般的な携帯電話の3.7Vに換算すると倍の約3,240mAh相当になるとのことです。
Android 3.xでは、これまでCPUについてTegra 2しかサポートしてこなかった。そのため、どれもハードは似たり寄ったりになってしまい、メーカーとしては、機種が増えるごとに差別化が難しくなってきている。
そういった中、7型というサイズは、現時点ではその点だけで大きな差別化要因となり得るだろう。もちろん、4型前後のスマートフォン、10型前後のタブレットにもそれぞれの優位点があるのは事実だが、今回、短時間ながら触ってみて、今後7型タブレットは、日本でモバイルノートというと13型が好まれるのと同じような位置付けを確立していくのではという感想を持った。
【動画3】ブラウザを使っているところ |
【動画4】当然Flashにも対応 |
【動画5】明鏡国語辞典MXを使っているところ |
(2011年 8月 8日)
[Reported by 若杉 紀彦]