特集

2018年のゲーミングノートパソコン9製品を一斉レビュー

~プロゲーマーに加え3DCG/映像/写真のプロもそれぞれの視点で評価

【プロゲーマー目線】鈴木 悠太の評価

※ここでは、鈴木 悠太氏による9製品の評価を掲載している。各製品のスペックやほかのライターの評価をご覧になりたい方は、ページ最下部にあるリンク付きの目次を参照いただきたい。

 全9メーカーのゲーミングノートPCを検証し、ゲームをする上で最低限必須なスペックを保ちながら、どの点で勝負するか、ということを各メーカーが意識していると感じた。とくにUSBポートの数や配置など、インターフェイスの部分に関しては、明確にそれが表れている。

 購入する側の視点からすれば、明確な目的を持って商品を探せば、必ずぴったりのものが見つかるため、ゲーマーにとってすばらしい時代になったのではないだろうか。もちろん今回検証したPC以外にも、各メーカーにはラインナップが揃っているので、ここでの評価を参考にしていただきつつ、チェックしてみるとよいだろう。

第1位「ALIENWARE17 スプレマシーVR」

 Core i7シリーズ、GeForce GTX 1080、16GBメモリというスペックを持ちながら、SSD 256GB+HDD 1TBのストレージを搭載しているという、下手なBTO製品よりも総合的にスペックが高い点が高評価。デスクトップPCでプレイしているかのようなフレームレートでゲームをプレイできる。

 また、120Hz以上のリフレッシュレートを持つディスプレイはFPSといったジャンルをプレイするゲーマーにとって外せないポイントとなっており、120Hz表示のTNパネルディスプレイを採用している点はとても評価が高い。フルHDより解像度の高いWQHD(2,560×1,440ドット)で出力できるため、より綺麗な描写が有利に働くゲームにはさらにおすすめ。サイズも17.3型と大きめなので、画面が小さすぎて敵が発見できない、といったことはほとんどなかった。

 ノートPCにしては大きいサイズで、持ち運びが難しい重さではあるが、ゲームをするためのPCだと考えると動かすことをあまり考慮しないため、今回はマイナスポイントとはしなかった。

 独自システムでALIEWARE SOUND CENTERという機能を搭載しており、フリーソフトなどを使用せずに音声を調整することができる。ゲーマーにとって、ゲーム内の足音や銃声はとくに大切な部分なので、自分好みに音質をカスタマイズできるのはありがたい。各周波数の調整を行なうことができ、さらにそれをプリセット化することによって、ゲームごとに音域を使い分けることができる。複数のゲームをプレイするゲーマーにとって、非常にうれしい機能である。

ALIEWARE SOUND CENTER

第2位「ASUS ROG ZEPHYRUS GX501VI」

 ROG ZEPHYRUS GX501VIは120Hz表示対応のディスプレイを採用しており、基本的なスペックも競技的にゲームをするさいにはまったく問題ないものであった。

 とくにキーボードの配置は、通常ディスプレイのすぐ下にあるものが本体下部についていて、左手のパーム部分にストレスがかからず長時間のプレイが可能であると感じた。必要に応じて付属品のパームレストを使用することができ、ゲーマーへの気配りがされている点が高評価。

 キーボード自体も、パンタグラフにしてはきちんとした押し心地があり、スペースバーも大きいため、快適に操作することができる。ただし、US配列を採用している点に注意。このほか、本体にLANポートが搭載されていないため、付属品のUSB変換LANアダプタを接続する必要がある。

 また、IPSパネルを採用しているため、マウスの入力に対して若干もっさりした印象を受ける。シビアにゲームをプレイしたい方には、少し違和感を感じるポイントとなるだろう。

第3位「Lenovo Legion Y720 - 80VR0018JP」

 基本的な性能にまったく問題がなく、かつクーポン使用時の値段が約16万円と非常にコストパフォーマンスが高い点が高評価。これからゲームをはじめたいが、なにを買っていいかわからない、という方にとっては非常におすすめである。

 また、電源ケーブル差込口、LANポート、USBポートが基本的に本体左側にまとめられていて、マウスを使用するであろう本体右側の部分にスペースを作ることができる点も、ゲーマーへの気配りを感じさせる。

 惜しい点としては、60Hzディスプレイを採用していることである。この性能で120Hzディスプレイが採用されていれば、間違いなく一番推したい製品となっただろう。


※以下、4位以降の製品を点数順で掲載。同点の場合は製品リスト順で並べている。

OMEN by HP 15-ce000パフォーマンスモデル

 IPSパネルを採用していながら、もっさり感を感じない点が高評価。ディスプレイの発色が良いため、ゲーム内の暗い場所や見えづらい場所でもしっかりと敵を発見することができる。

 また、しっかりとした打鍵感のキーボードを採用しており、非常に手に馴染む点も評価したい。とくにスペースバーが大きく親指が安定することから、左手の細かい操作が非常にやりやすい。WASDが赤いキートップになっている点も良好。

MSI GS63 7RD Stealth

 SteelSeries製キーボードを搭載し、しっかりとした打鍵感と耐久性を持たせた点が非常に高評価。キー1つ1つに遊びがなく、左手の操作が安定する印象を受けた。

 また、ハイレゾ対応DAコンバーターであるESS SABRE HiFiオーディオDACを採用し、それぞれの周波数において音がクリアである点も高評価。音が大切なFPS系のゲームをプレイする方は、一度試してみるといいかもしれない。

 欠点は60Hzディスプレイと、GeForce GTX1050を採用している点である。9製品のなかで一番ゲームプレイ中のフレームレートが低く、ゲーム内設定を最低にしてプレイすることが前提となる。競技的にゲームをプレイするさいは、基本的にゲーム内設定は可能なかぎり低くしてからプレイするので大きな影響はないが、スペック的な余裕がないことで予期せぬ高負荷におちいったさいに負ける可能性が上がってしまう。

GALLERIA GKF1060GF

 基本的な性能はまったく問題なく、値段も16万円台でコストパフォーマンス的には高評価。可もなく不可もなく、といった感じで、エントリーモデルとしてはこちらもおすすめ。

 値段的に60Hzディスプレイの採用は仕方ないだろうが、長時間使用していると本体に熱がこもってしまう点が気になった。キーボード部分が熱を持つため、ゲームをプレイしている最中に左手に汗をかきやすい印象だ。

G-Tune NEXTGEAR-NOTE i71130PA1

 GeForce GTX 1080を2基備え、SLIで構成できるモンスター級のゲーミングノートPC。しかし、ゲームによってはSLIに対応していないものもあるため、プレイしたいゲームをきちんと確認する必要がある(NVIDIAのSLI対応タイトル一覧)。

 競技向けのゲームは基本的にSLIを必要としないものが多く、オーバースペックになりやすい点がマイナスとなった。また、60Hzディスプレイを採用しているため、SLI接続のメリットを最大限生かしきれない点も残念である。

 GPUをシングルで使用するさいは納得のスペックであり、非常に快適にゲームをプレイすることができる。しかしSLI接続を使用しない人にとって、約60万円超えという値段はわりに合わないであろう。

iiyama PC LEVEL-13FH053-i7-RNSVI

 ディスクリートGPUをPC本体ではなく、外付けのGPUボックスに格納し、Thunderbolt 3接続でグラフィックス処理を行なうのが特徴。普段は仕事などでゲーミングノートPC本体のみを持ち歩き、家ではGPUボックスに接続してゲームを楽しみたいという方にとっては、非常に使い勝手が良いかもしれない。

 しかしゲームをプレイするさいには、本体右側にThunderbolt 3ポートがあり、マウスを振るスペースと被ってしまう点、ディスプレイサイズが13.3型しかない点がネックとなるだろう。

 とくにThunderbolt 3ポートの位置は致命的で、実際に検証したさいも満足にマウスを振ることができなかった。また、Thunderbolt 3を介して映像処理を行なっているせいか帯域が足りず、ゲーム内設定を最低にしないとフレームレートが満足に出なかったのが気になった。

Razer Blade Stealth + Razer Core V2

 Razerらしいスタイリッシュなデザイン、本体の軽さが非常に魅力的なPC。iiyama PCと同じように、Thunderbolt 3でディスクリートGPUを接続できる。ただし、こちらはGPUボックスとビデオカードが別売となるのでコストパフォーマンスは良くない。

 また、こちらもThunderbolt 3接続のためゲーム内設定を最低にしないとフレームレートが満足に出なかった。ディスプレイが光沢加工されており、周りの光などが非常に反射しやすいため、ゲームに集中することができない点も評価を下げている。