特集
2017年夏の激安ノートパソコンおすすめを探る
~老若男女6人が独自の視点で5万円以下の製品を徹底比較
2017年8月5日 06:00
結果発表
ライター 笠原一輝
おすすめ1位として選んだ製品: マウスコンピューター LuvBook J LB-J321E2-SSD32
マウスコンピューターの「LuvBook J LB-J321E2-SSD32」を1位に選んだ理由は、性能でダントツだったからだ。筆者がPCに求めているは生産性の高さであり、そのためにはそれなりの性能が必要になる。
今回の製品群はバリュー向けの製品となり、CPUもAtomベースだったり、AMDのCarrizo-Lベースだったりという製品が多いが、そのなかでLuvBook JはCeleronながら中身はBroadwell-UとCoreプロセッサと同等である。
さらに、ストレージもほかの製品がeMMCやHDDだったりするのに、SSDになっている点は見逃せない。32GBという容量は議論があると思うが、保証対象外ではあるものの、ユーザーが自分でSSDを交換することが可能な点は指摘しておきたい。
性能だけではなく、デザインに関しても筐体にヘアライン加工がされていて高級感ある製品になっていること、それに加えてキーボードがしっかり感があって入力しやすいことも重要なポイント。
これらを総合すれば、SSDが32GBしかないということを割り引いても、4万円以下という価格設定はかなりお買い得と言うことができるのではないだろうか。
ライター 平澤寿康
おすすめ1位として選んだ製品: レノボ ideapad Miix 320
今回の6製品は仕様が大きく異なるため、横並びでの比較は難しい。そこで自分は、大学生を中心とした学生が普段から使うPCという観点で見てみることにした。
イマドキの学生は、スマートフォンの利用がメインで、PCを使うシーンが大幅に減っているが、社会に出るとPCを使うシーンがどうしても出てくるため、PCのスキルが就職活動などに有利に働くのは間違いない。そして、PCスキルを高めるには、つねにPCを持ち歩いて講義のメモ取りなど日常的にPCを使うことが近道となる。となると、小型軽量で持ち運びに優れる製品がベスト。その上で、活用性が優れ、なるべくキーボードに癖がないものとして選んだのがideapad Miix 320だ。
確かに、キーボードにはファンクションキー列がないが、それ以外は標準的な配列で、打鍵感も含めほかの製品を上回る。また、2in1仕様でタブレットPCとしても利用でき、フルHD超で縦の表示領域が広いディスプレイは、Web動画の視聴や電子書籍の閲覧も快適だ。
PCを持ち運びしないというのであれば、トータルポイントでほかを圧倒するLuvBook J LB-J321E2-SSD32もおすすめだが、やはり学生にはいつでもどこでもPCを使ってスキルを高めてほしいという思いから、今回の選択となった。
主婦ライター 石井和美
MC/タレント 勝又楓
PC Watch編集長 若杉紀彦
おすすめ1位として選んだ製品: マウスコンピューター LuvBook J LB-J321E2-SSD32
製品の性格がそれぞれであるため、すべての評価項目でほかを圧倒するような製品はなかった。そういったなかで、頭ひとつ抜ける結果となったのは、マウスコンピューターの「LuvBook J LB-J321E2-SSD32」だった。
解像度やSSDの容量など、数値だけを見ると目立たないのだが、どの評価項目でも大きな不満を感じる点がなかったのが1位となった理由だ。4万円の製品でこれだけそつなく動いてくれれば御の字と言っていい。
今回の審査では審査員中3人がマウスコンピューターのLuvBook J LB-J321E2-SSD32を支持し、各社の製品を大きく突き放す29点で総合1位を獲得した。総合2位は小型ながら堅実な作りが好印象となったASUSのVivoBook E203NAで25.6点、総合3位はユニットコムのSTYLE-14HP012-C-CEで24.2点となった。
総評 ~審査を終えて
ライター 笠原一輝
バリュー向けPCの場合、何を重視するかで選択は違ってくると思う。筆者の場合はバリュー向けであろうが、プレミアム向けであろうが、生産性を向上させることこそPCを使う最大の理由だと思っているので、今回はその基準に照らし合わせて、マウスコンピューター LuvBook Jを1位に選んだ。
CPUはBroadwellという2世代前のCPUではあるが、今でもWindows 10を快適に利用できる性能を実現しており、SSDは32GBだが、保証がなくなることを覚悟すればユーザーが交換できるという“逃げ道”があることも高く評価した理由の1つだ。最初からより大容量のSSDを搭載したモデルも用意されているので、ちょっと予算を足してそちらを選ぶのも悪くないと思う。
もちろん、ほかの基準で見ていけばほかの選択肢があると思う。たとえば家族で使うということを考えると大画面と光学ドライブは必要となるのでHP 15-ba000 ベーシックモデルになるし、学生さんなどが日々持ち歩くクラムシェル型のPCと考えるとASUS VivoBook E203NAあたりがチョイスになると思う。
バリュー向けPCというと“安かろう悪かろう”というイメージを持っている読者も少なくないと思うが、低価格なレンジではあるがそれぞれのメーカーが知恵を絞って製品を設計しており、よく見ていけば結構違うことがわかっていただけるはずで、そのなかから予算と自分の目的に合った製品を選びたいところだ。
ライター 平澤寿康
税別4万円前後の低価格PCを集めて比較してみたが、全体的には数年前の低価格PCと比べて、性能面での不満はかなり減ってきたという印象を強く受けた。もちろん、ストレージ容量の少なさなど、価格的な制約も多くあるが、アプリ利用時のもたつきなどはどの製品も我慢できる範囲内で、十分に”使えるPC”という印象だった。
ベンチマーク結果ではLuvBook J LB-J321E2-SSD32が大きく飛び抜けているが、それはストレージに高速SSDを採用している点が強く影響していると考えられる。純粋な処理能力ではどの製品も大きな差はないが、内蔵ストレージの違いは体感性能に大きく影響するため、快適度も頭ひとつ抜け出しているという印象で、トータルスコアでもほかの製品を圧倒した。
今回筆者は、学生が普段使うPCという観点で評価したが、持ち運ばずにデスクに置いて使うPCということなら、サイズが大きく重量の重い製品でも問題がない。
ここで登場した6製品は、価格縛りで選ばれたものだ。本体サイズやタッチ対応の有無など仕様が大きく異なっており、用途によって各製品の向き不向きが大きく変わってくる。そのため、1位に選んだideapad Miix 320が、どういった用途にもベストということではない。PCをどういった用途に使いたいのかをしっかり見極めた上で、自分に合ったPCを見つけてもらいたい。
主婦ライター 石井和美
スマートフォンを家族ひとりひとりが持つようになり、今は「スマートフォンがあればいい」というママ友も少なくはない。しかし、PTAの書類作りや子どものPC教育のため、とりあえず安くてもいいから買っておきたいという声も聞く。友人の間でもエントリーモデルのPCは注目度が高い。
評価したのは、価格とのバランス。光学ドライブ付きの大きめのノートPCに興味があったので、HP 15-ba000 ベーシックモデルに期待したが、家で使うメインPCとして使用するには物足りない印象。そこで、“持ち歩くなら”という前提に基準を変更し、選んだのが低価格の2in1のドスパラ Diginnos DG-D11IWVL。タブレットとして使用でき、反応もよく、ちょっと使うのであれば、これで十分な気もする。ただ、キーボードドックをつけたときの重さは少々気になった。
娘はPCが好きでPCのパワーを必要とするソフトをよく使っており、Officeやブラウザを主に使用している私より評価が厳しい。今回試したラインナップでは、全体的に物足りなさを感じたようだ。
明日葉ちゃん(12歳中学生)のコメント「どれも反応がイマイチ。プログラミング用ソフトを入れたら、途端に重くなりそう。YouTubeを見たり、Wordをやったりするのなら問題なさそうだけれど、安いノートPCはプログラミングやゲームには向かないことがわかった。あと、クリックボタンが独立していないタッチパッドは、どこをクリックしていいのかわかりにくかった。なんとなく作りが安っぽく、デザインは惹かれるものは少なかった。自分が買うなら、もう少しハイスペックなノートPCがほしい」。
MC/タレント 勝又楓
今回初めて一挙にノートPCをさわってみて、全部同じように見えていたものの、実際に使ってみると全然違ったことにおどろいた。普段はMacBook Proを使っているが、この価格のPCでも十分に仕事に使えそうなものがあることがわかって勉強になった。
普段からノートPCは仕事用にWordやExcel、動画の確認などに使っており、打ち合わせで外に持っていくことも多い。デザイン面を重視するならASUSのVivoBook E203NAがお気に入りだが、仕事で使うとなるとアプリの動作が速くて、画面もきれいなものを使いたい。同年代で仕事用に安いノートPCを探している人にすすめるなら、今回1位に選んだマウスコンピューターのノートPCみたいに、13.3型という中くらいの大きさが内にも外にも適していると思う。
PC Watch編集長 若杉紀彦
2012年のClover Trail以降、それまではWindowsを動かすのがギリギリという感じだったAtomプロセッサも、軽めの用途なら問題なく利用できる性能になってきた。今回試した製品も、AtomクラスのCPUを採用するが、YouTubeのフルHD動画の視聴や、SNS・Webメールの利用程度なら、さほどストレスを感じずに利用できる。
ただし、ストレージが32GBというのは本当にギリギリだ。BTOで64GBに変更できるなら、そうしたほうが長期にわたり活用できるだろう。
冒頭でも書いたとおり、今回の製品は、2in1だったり、モバイル向けだったり、据え置き向けだったりと用途が異なるが、総合的な評価で大きな差はついていない。そういう意味で、まず自分の利用スタイルを想像し、たとえば「タブレットメインで使いたい」というのであれば、ドスパラやレノボの2in1を選ぶという方法でいいだろう。