やじうまPC Watch

産総研、360度どこから見ても画が正面に見えるディスプレイ

ディスプレイの試作模型(aとbは別角度から撮影)。cはその利用例

 産業技術総合研究所(産総研)は9日、360度どの角度から見ても、静止画像を観測者の正面に表示するディスプレイのプロトタイプを開発したと発表した。

 特殊なレンズ構造を使った独自の表示技術を利用することで実現したもので、複数人が見た場合でも画像が各々の正面に向いているように表示される。表示装置は今回試作された高さ80mm/直径8mm程度の小さなものから、高層ビルの壁面まで、あらゆるサイズに適用できる可能性があるという。

従来の表示方法との比較
赤の利用者には赤い面が見え、青の利用者には青い面が柱の中に設置されているかのような効果を実現できるという

 産総研は、従来見づらさや死角が生まれてしまう駅構内などにある円柱型ディスプレイなどに対して、この技術を使えば常に正面に表示できるという性格上、情報が伝えやすくなり、広告宣伝効果の向上が期待できるとする。

 今後は2年以内に公共施設などでの実用化を目指すとともに、国や民間企業と連携して技術移転を進めていく考え。また、動画用ディスプレイの試作も行なっており、2020年には公共スペースや商業施設などで業務用としての実用化を目指し、2030年までには民生用として家庭でも楽しめるように開発を進めていく構えだ。

どの方向からも画像が自分に向いて見えているように見えるディスプレイのプロトタイプ
どの方向からも画像が自分に向いているように見えるディスプレイを開発

(中村 真司)