やじうまPC Watch
17カ月間続いたSuperPi 100万桁の世界記録がついに破られる
(2014/2/25 00:00)
円周率計算ソフト「SuperPi」を用いた100万桁の円周率計算の世界記録が、17カ月を経てついに更新された。
これまでSuperPi 100万桁の記録はロシアのオーバークロッカー“Smoke”氏によるもの。Core i7-3770Kを7,043MHzで動作させ、5.094秒という記録だった。今回香港のHKEPCに属する“Chi-Kui Lam”氏は、Core i7-3770Kを7,136.6MHzで動作させることに成功し、これまでの記録を0.016秒上回る5.078秒を達成した。
Smoke氏の記録は2012年の10月4日に達成されていたので、実に17カ月ぶりに更新されたこととなる。
マザーボードにはASRockの「Z77 OC Formula」を用いている。メモリはTeamの「ProjectX」で、チップは元エルピーダメモリのBBSE(コールドバグなし)を搭載したもの。2,718MHzで動作し、レイテンシは7-11-7-24-1Tなどとかなり詰めた設定となっている。
メモリの冷却には、香港の1960年代の5セントコインをアルミ箔に包んだお手製の“銅製ポッド”を採用した。同氏によれば「一般的なメモリの冷却ポッドはアルミ製で性能は出ないため、自作した」という。
CPUのヒートスプレッダも銅が露出するまで鏡面加工し、冷却には独自の冷却ポッド「AlphaZero Cooling Project」を採用。コールドバグがないCPUでは、体積が多い銅でより多くの熱をバッファさせるよりも、表面積を増やすことで熱伝導を速くし、液体窒素でいかに効率的に冷却が行なえるのがカギだとしている。
このAlphaZero Cooling Projectは、液体ヘリウムの使用が禁じられている香港で、いかに液体窒素でも低温にCPUを冷却できるかを追求するために作られた。ベースの部分は液体窒素の流動をコンピュータでシミュレーションし、「ほかの冷却ポッドとはまったく違う流動を実現した」(Lam氏)という。
筒の部分は一般的な冷却ポッドのアルミではなく、グラスファイバーを採用。「アルミは銅とは物理的に異なり、液体窒素の-196℃の限界に達するのは不可能。銅のベースに接続してしまうと、CPU約1個分の熱を銅のベースを伝えることになり、負荷時に10℃以上の温度変化が発生。多くのCPUはこの温度変化に耐えられず、ボトルネックになる」という。
一方AlphaZero Cooling Projectでは液体窒素が熱を奪う性能を、即時に最大限発揮できるとしており、一般的な冷却ポッドでは20分以上かけてようやく温度が安定し記録が出せるのに対し、わずか4分ほどで世界記録が狙える冷却性能を実現できるという。ただし、そのためには温度をコントロールする必要がないコールドバグなしのCPUが必要となる。
このほか、ビデオカードにはビデオメモリが16MBしかないGeForce 6200や、あえて古いWindows XP SP2(64bit)を採用する点も同氏のこだわりだ。SSDはOCZの「Vector(256GB)」、電源はAntecの「High Current Pro 1,200W」などを採用した。