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SamsungかTSMCかで「Apple A9」に性能差、台湾では国家機関がAppleに開示を求める
(2015/10/16 13:47)
Appleの新型スマートフォン「iPhone 6s」および「iPhone 6s Plus」に搭載されるプロセッサ「A9」が、SamsungとTSMCの2つのファウンダリで製造されていることは周知の通りだ。しかしSamsungとTSMCはプロセスルールやデザインに相違があるため、プロセッサとして若干の“性能差”が存在するようだ。
台湾および香港系メディアによると、Appleが想定する一般使用においては数%しか性能差がないが、3Dアプリケーションなどによる連続負荷下では、TSMC製の方がSamsung製より長いバッテリ駆動時間を示したという。
日本ではその昔、大手PCメーカーでも、PCのカタログスペックのCPU欄に「486相当」などと記載されていることが多く、CPUとしてかなり性能差があるにも関わらず、Intel製なのかAMD製なのか、はたまたCyrix製なのか、買って蓋を開けてみるまで知る由もない時代があったのだが、どうやらお隣の台湾ではその違いに納得できないユーザーが多く、国家機関を挙げての騒動に発展しているようだ。
中華民国 国家通訊伝播委員会(Natinal Communications Commission:NCC)はこのほど、Appleに対してのこの問題に関する声明を発表した。これによれば、iPhone 6sおよびiPhone 6s Plusの性能は、A9がSamsung版なのかTSMC版という1項目だけでなく、NANDフラッシュ、メモリ、電池および液晶パネル全ての部品が影響しているとした。
その上で、Appleに対してそれぞれの部品の性能をベンチマークした上で委員会に報告し、消費者の疑いを晴らすよう指示したという。また、もしベンチマークを開示できない場合でも、パッケージにプロセッサがどこ製なのかを表記し、消費者の混乱を避けるようAppleに求めた。
なお、A9がSamsung製なのかTSMC製なのかを判断する非公式ツール「CPUIdentifier」(完全動作保証外)による統計を見ると、全世界的にはSamsung製が6割、TSMCが約4割なのだが、国別に見ると、台湾はSamsungが約8割を占めている。「TSMCの工場がある台湾本土でTSMCの製品が売られていない」というのは、台湾ユーザーにとって確かに皮肉だ。なお、日本はTSMC製の方が若干多いようである。