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エタノール燃料による再生可能エネルギーに新触媒

〜PEMFCから10倍以上の電流密度を達成

「TaPt3ナノ粒子」。透過電子顕微鏡で見ると、ナノ粒子の内部はタンタル原子とプラチナ原子が規則正しく整列している

 国立研究開発法人 物質・材料研究機構は21日、ナノ材料科学環境拠点および東北大学原子分子材料科学高等研究機構と共同で、常温常圧のエタノール燃料から有毒ガスを発生させずに電力を取り出せる新触媒「TaPt3(タンタルプラチナ)ナノ粒子触媒」の開発に成功したと発表した。

 エタノール燃料は、サトウキビといった穀物廃棄物などから合成でき、再生可能エネルギーとして注目されているが、エタノール燃料がよく利用される内燃機関(ディーゼルエンジンなど)で燃焼した際に、有毒ガス(酸化窒素や一酸化炭素)を排出するという問題を抱えている。

 そのため、内燃機関に頼らない高機能触媒「ポリマー電解質膜燃料電池」(PEMFC:Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cells)を使い、電気化学的に燃料を酸化させることで、エネルギーを電力として取り出す方法が脚光を浴びている。

 しかし、エタノールPEMFCには、炭素‐炭素結合を効率よく切断できない難点があり、エネルギーを使用し切れないことから、水素やメタノールを利用したPEMFCと比べて開発が遅れてしまっているという現状だった。

 今回、新開発のTaPt3ナノ粒子触媒を利用することで、常温常圧でのエタノール分子の炭素‐炭素結合の切断に成功、従来の触媒と比較して10倍以上の電流密度を達成した。なお、このタンタルとプラチナからなる触媒の開発は世界初。

 今後は、TaPt3ナノ粒子の合成収量向上を試みる計画で、地球上の炭素環境に影響を与えない「カーボンニュートラル燃料」として、バイオマス燃料技術との連携を進めると言う。

 本研究は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構の阿部英樹研究員、ナノ材料科学環境拠点の野口秀典研究員、東北大学原子分子材料科学高等研究機構の藤田武志准教授により行なわれている。

常温常圧の水溶液中におけるエタノール酸化反応に対するTaPt3ナノ粒子の触媒活性(左)と、TaPt3ナノ粒子またはPtナノ粒子を触媒に利用したPEMFCの出力特性(右)

(中村 真司)