イベントレポート
アクションカムを使った全天球撮影や360度パノラマ動画
~FUJIFILMやGoogleらが展示
(2014/9/24 06:00)
FUJIFILMは新コンセプトカメラとして「SWING CAM」を参考出展している。製品はプロトタイプとして展示された。水平方向に360度の回転に加えて、縦軸方向に180度のレンズ移動を行なうことで、ほぼ半球をカバーする撮影域を持つ。GoProなどのアクションカムが、撮影者を中心に移動するのに対し、こちらはカメラが固定された状態で被写体を追いかけることをコンセプトとしている。
操作はスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスから行なう。マニュアル操作でマウント部分の回転や縦軸方向のレンズの移動そしてズーム操作などを行なえるが、顔認識機能を併用することで自動的に被写体を追いかけて撮影するモードもある。カメラとの接続は無線LANを利用する。自由度を増すために乾電池、あるいはバッテリ駆動を基本にしているが、Micro USB接続、あるいはACアダプタを使って給電を続ける固定カメラとしても利用できる。
Photokinaの直前に開催されたIFAでは、こうした固定カメラはホームセキュリティの1つとして提案される展示が多かった。レンズを回転させるのではなく、より広角のレンズを搭載することで広い撮影範囲をカバーする。FUJIFILMの展示は、もちろんセキュリティカメラとしての利用も期待できるが、もう少しアクティブな使い道を提案したいとしている。一方でAppleがiOS 8から導入したHomeKitには対応する意向。特に日本や北米ではiPhoneのシェアが高いことから、一定のニーズが見込めるとしている。
同社はまた、複数のWi-Fi対応カメラを使ったマルチシューティング環境向けのアプリケーションも提案。こちらもタブレットなどをインターフェイスとして、リモート操作でズームや撮影機能を実現するとしている。
CyberLinkやDxOなど大手アプリケーションメーカーが自社ブースでの出展を行なう中、インディーズのアプリケーション開発者は、アプリエリアのスタンドでデモを行なっていた。とは言え出展社は2社。次回開催となる2016年までに、スマートフォンなどの市場がさらに成長すれば、こうした企画展示がさらに増えるかもしれない。
DIRE STUDIOが出展していたのは「Mark II Artist's Viewfinder」。iPhone 5/5s向けのアプリで、市販される多数のデジタル一眼レフにおけるレンズの画角をシミュレートして、プレビューする。
ハードウェアとしてはシュナイダー・オプティクスの「iPro Lens System」を利用。広角コンバージョンレンズで一定の画角を確保し、ソフトウェア的にプレビュー画面を表示する。使用するデジタル一眼レフカメラなどの種類を選べば、24mm、35mm、105mmなどそれぞれのレンズを使用した際に撮影可能な範囲が画面表示される仕組み。iPhone本体のセンサーを利用した水準器を備えているので、カメラのホットシューなどに固定してプレビュー用途などにも利用できる。アプリ内で地図を表示して撮影位置の情報なども記録する。
現在はβバージョンで英語、独語、仏語、中国語に対応するとしている。日本語対応は検討中とのこと。ただしハンガリー語訳と日本語訳の担当が同じということで、一抹の不安は拭えない。この点について聞いたところ、開発者は元Microsoftのエンジニアで、在職中は日本語として適切な翻訳の提供も日本法人から強く求められた経験があるそうだ。機械翻訳をはじめ下訳はなんらかのアウトソーシングでも構わないが、リリース前にテクニカルタームや当該ジャンルに詳しい日本人が一度目を通すだけで、日本語で書いてあるが意味の分からないものが劇的に変わるという主旨を伝え、開発の進行を期待しておいた。
アクションカムでは、業界標準の地位を確立したとも言える「GoPro」。自社純正で揃える各種マウントなどのアクセサリ類に加え、サードパーティからもさまざまな製品が出荷されている。またAPIを公開することで、サードパーティによる対応アプリも次々と登場し、単なるアクションカムにとどまらないツールとしての発展も見せている。
Photokinaでも、GoPro関連のアクセサリを扱うブースはそれなりに目立った。それらは下記の写真を参照して欲しい。
GoProを撮像素子搭載ユニットとして利用するサードパーティ製のレンズマウンタ。そのサイズ感から、ソニーがIFAで発表したレンズスタイルカメラのGoPro版にも見える。
GoProを使った全天球動画にさまざまなアプローチが採られる中、最初から全天球動画撮影を意図した製品もいくつか展示されている。スタートアップ企業が中心で、プロトタイプの展示をしながら、Kickstarterを始めとするクラウドファンディングサイトで製品化を目指している。
2014年のPhotokinaにはGoogleも出展している。Google Mapsを紹介するブースを構えて、ジオタグ情報の付いた写真の地図への掲載やストリートビュー、そして「Business View」として、店舗内写真などの撮影プロセスについて説明をしている。
またGoogleはPhotokinaの「アクションカメラゾーン」にも、SanDiskとともに協賛を行なっている。このアクションカメラゾーンでは、持参するアクションカムはもちろん、GoProシリーズを始めとするアクションカムを貸し出していて、アトラクションに臨む際は、それを身につけて挑戦する。記録されたデータはSanDiskのスポンサードにより、メモリカードで提供される。