イベントレポート
その1MHzに命をかけろ! 賞金25,000ドルのOC大会が開催
~発表されたばかりのDevil's Canyonが早くも液体窒素の洗礼を受ける
(2014/6/4 06:00)
- 会期:6月3日~7日
- 会場:Taipei World Trade Center Hall 1,3, NANGANG Exhibition Hall
- Taipei International Convention Center
IntelとCooler Masterスポンサーによるオーバークロック大会「Intel OC Challenge 2014 Overcloking Competition」が3日(現地時間)に開催された。
この日はIntelが「Devil's Canyon」こと「Core i7-4790K」を発表した日だが、さっそくその同日に、同CPUで採用された次世代ポリマーTIM(Thermal Interface Material)と追加のキャパシタの効果の程が限界まで試されることとなった。
大会は一般のアマチュア部門とマザーボードメーカースタッフで構成されるプロ部門に分けられ、後者にはGIGABYTE、ASUS、ASRock、EVGA、MSIの5チームがエントリーした。
各チームには2つのステーションが用意され、1つでは空冷か液冷、もう1つでは液体窒素を用いた極冷を行なう。プロチームには3.5時間の時間が与えられ、この制限時間内でCPUやメモリのクロック、あるいはベンチマークスコアの限界を目指す。
賞金総額は25,000ドル(現金)。挑戦する課題ごとに賞金は異なり、例えば4790Kについて、HT有効4コアの最高周波数達成チームは、空冷/液冷で5,000ドル、液体窒素冷却で4,000ドル、HT無効1コアの場合は、それぞれ1,250ドル、1,000ドルという具合。また、空冷/液冷で世界記録を破った場合は、さらに1,000ドルが追加される。
大会が開始されたのは17時15分。各チームは5つの4790Kを受け取り、このハイエンドCPUに遠慮なく高電圧や液体窒素をぶちまけていった。ちなみに、メモリとビデオカードは自前で、残りの部品はIntelとCooler Masterが提供のものを、OSはWindows 7を利用した。
プロチームというだけあって、作業は手慣れたもので、もくもくと気化する液体窒素をコップにビールを注ぐかのごとく、専用ヒートシンクに注ぎ込んでいく。素人目には、「こんな手荒な作業では怪我人すら出るのでは」とハラハラしたが、そういったトラブルは一切起こることなく、淡々と作業は進められていった。
とは言え、オーバークロックは、CPUやメモリ、マザーボードなど各部品固体の特性を掴んだ上で、微妙な設定と冷却の元に進める必要がある。同じような温度にして、同じような電圧にしたからといって、同じクロックになるわけではないのだ。その辺りは、スタッフの経験と勘が必要となってくる。そして、一度最高クロックを叩き出しても、そのそばからほかのチームがその記録を塗り替えていくので、さらなる高みを目指すわけだが、次はほんの0.1MHz上げただけでクラッシュという光景がそこかしこで起きる。ぐるりと各チームの様子を見て1周回ると、冷却構造が前と違っているというのもザラ。各チームとも、死力を尽くしての戦いとなった。
個人的に面白かったのは、これは極限オーバークロック大会では当たり前なのかもしれないが、空冷/液冷挑戦では、CPUを直接液体窒素で冷やさなければ、液体窒素を使うこと自体は許可されているようで、液体窒素の冷気をファンで取り込んだり、液冷のラジエータ冷却に使うなど、ルール的にも限界ギリギリの戦略が採られていた。
一進一退の攻防が続く中、3時間半のタイムリミット数秒前にも新記録が生まれ、4790K HT有り4コアについては、空冷/液冷でMSIが5,498.72MHzを、液体窒素ではGIGABYTEが6,331MHzを達成。HT無し1コアでは、ASUSが空冷/液冷で5,515MHz、液体窒素ではここでもGIGABYTEが6,409MHzを叩き出し、優勝を勝ち取った。