イベントレポート

【ストレージ編】PlextorはSSD「M6」の1TBを第4四半期に出荷

~ノートPCにもPCIe接続の超高速SSDが到来

会期:6月4日~8日(現地時間)

会場:

Taipei World Trade Center NANGANG Exhibition Hall

Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1

Taipei World Trade Center Exhibition Hall 3

Taipei International Convention Center

 本稿では、SSDを中心にCOMPUTEX TAIPEI 2013の会場に展示されたストレージ製品を紹介する。

 Plextorは、2.5インチSSDの新製品「M6」を展示。コントローラにMarvellの88SS9187を、NANDフラッシュには東芝の19nm世代のチップを採用した。展示されていたのは、128GB、256GB、512GBで、連続読み込み、連続書き込み、ランダム読み込み、ランダム書き込み性能はそれぞれ、540MB/sec、330MB/sec、92,000IOPS、82,000IOPS、540MB/sec、460MB/sec、100,000IOPS、86,000IOPS、540MB/sec、470MB/sec、100,000IOPS、88,000IOPSとなっており、同じNANDフラッシュを採用する「M5 Pro」からランダムアクセス性能が強化されている。また、速度の安定性などファームウェアも改良している。出荷時期は第4四半期。

 19nmチップの採用により、チップが小型化し、より多くのチップを搭載できるようになったことで、今回展示はなかったが同時期に1TBモデルも投入の予定という。

 また、「M.2」という、モバイル用のPCI Expressインターフェイスを採用した製品も展示。アフターマーケット用ではなく、OEM PCメーカー向けのものとなるが、SATA 6Gbpsの600MB/secを超える性能を発揮できるのが特徴。デスクトップPC向けには、すでにPCI Express用のSSD製品が存在するが、いよいよノートPCでもより高速なSSDが登場することになる。こちらも128GB、256GB、512GBがあり、性能は順に、770MB/sec、330MB/sec、94,000IOPS、82,000IOPS、770MB/sec、520MB/sec、100,000IOPS、85,000IOPS、780MB/sec、550MB/sec、100,000IOPS、85,000IOPS。

 このほか、mSATAや、ハーフサイズのSATA SSDも展示。以下にも紹介するように、同社だけでなく、薄型化が進むノートPCへの採用を見据えた製品が増えている。

M6
基板
M.2型ストレージ
ハーフサイズSATA SSD
mSATA SSD
既存製品だが、M5 ProとIntel 520を3台ずつRAID 0構成にした性能テストで、M5 Proが2倍以上の性能というデモ

 Apacerは、5mm厚のSSD「25A-M」を展示。先だって発表されたWestern Digitalの5mm厚HDDが組み込み用のSFF-8784エッジコネクタを採用するのに対し、Apacerの製品は、通常のSATAコネクタを採用している。容量は最大256GBで、連続読み込み速度は480MB/sec、連続書き込み速度は350MB/sec、ランダム書き込み速度は80,000IOPS。

 このほか同社は、企業向けのSSD製品をいくつか展示。「CSD (Combo SATA Drive」は、外見は通常の2.5インチSSDだが、内部に2系統のコントローラとNANDフラッシュを搭載。これにより、1台のドライブでRAID 0/1を構築できる。インターフェイスはSASで、RAID 0での連続読み込み速度は1,000MB/secを超える。連続書き込み速度は600MB/sec。また、特注で、SLCドライブとMLCドライブの構成にし、OSインストール用とデータ保存用を1台でまかなうといったことも想定されている。

 「CorePower」と呼ばれる技術を採用した「SFD 25S」と「SFD 25AT」は瞬電や電源断に対応するSSDで、基板上にコンデンサを搭載し、電源が切断されてもキャッシュ上のデータをNANDフラッシュに書き込むことができる。

 また、防水型のSSDも展示。一般的な防水コーティングを施したものと、IP57相当の防水を実現できるナノコーティングを施したものと、同じくIP57に対応するモールディングを施した3種類を用意。ナノコーティングのものと、モールディングのものは、実際に水槽に浸けた状態での稼働デモを行なっていた。

5mm厚で通常のSATAインターフェイスを採用する「25A-M」
内部2ドライブ構成のCSDのデモ。1GB/secを超える速度を実現
CorePower技術搭載のSSD 2製品
防水SSDのデモ
SSD 740

 Transcendは19nm Toggle MLC NANDフラッシュを採用した「SSD 740」を展示。コントローラはJMicronのJMF667H。連続読み込み速度は530MB/sec、連続書き込み速度は470MB/sec、4KBランダム読み込みは283MB/sec、4KBランダム書き込み速度267MB/sec。SATA-IOが規定する「DevSleep」に対応し、アイドル時にPHYやその他の回路を完全に電源オフにすることで、省電力化を図っている。

 すでに発表済みではあるが、Western Digitalは、5mm厚1プラッタの500GB HDD、7mm厚2プラッタの1TB HDDなどを展示。製品だけでなく、内部の構造が分かるよう、分解したモデルも展示していたので、ここに紹介する。

5mm厚の500GB HDD
インターフェイスは通常のSATAではない
その分解モデル
カバー
ヘッド
ディスク
筐体
基板
7mm厚1TB HDDは通常のSATA

 NASとしては、Thecusが家庭向け新製品の「N2520」と「N4520」を展示。共通の特徴として、CPUはAtom SoC(デュアルコア1.2GHz)を採用し、インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0、USB 2.0×2に加え、HDMI出力とS/PDIFを装備。各種メディアファイルを直接TVなどで再生することができる。また、写真サーバー機能、McAfeeとの協業によるアンチウイルス機能、Acronis製ソフトによるバックアップ機能、アプリを使ったモバイル端末アクセス機能などを搭載。N2520は2ドライブで、RAID 0/1に、N4520は4ドライブでRAID 0/1/5/6/10に対応する。出荷は6月から7月で、価格はN2520が400ドル以下、N4520が550ドル以下になる見込み。

N2520
N4520
HDMI出力とS/PDIFを搭載するのが特徴的

(若杉 紀彦)