CEATECで各社の最新PCや周辺機器、タブレットなどの実機が展示
~世界最速のスパコン「京」も披露

幕張メッセ

会期:10月4日~10月8日
会場:幕張メッセ



ホール1の様子

 国内最大規模となるIT・エレクトロニクス関連の展示会である「CEATEC JAPAN 2011」が10月4日から10月8日の会期で開幕した。会場は例年通り幕張メッセ。入場料は事前登録を行なうと無料。

 出展は、ホール1から3までが比較的大手コンシューマメーカーが集まるホーム&パーソナルゾーン、ホール4から5が通信系メーカーが集まるビジネス&ソサエティゾーン、ホール5から6が原材料・電源・装置ゾーンと受動部品ゾーン、ホール8が半導体・デバイスゾーンと機構・機能部品ゾーンという内訳。出展者数は586社/団体で、海外からも18カ国から158社/団体が参加している。

 PCに関連するものとしては、先だって発表された秋冬モデルの一部や、Ultrabook、タブレットなどが展示されている。また、6月のランキングで世界一となった理研・富士通のスパコン「京」といった、普段はなかなかお目にかかれないような展示もある。

 インテルブースには、各社のUltrabookが展示。具体的には東芝の「dynabook R631」、日本エイサーの「Aspire S3」のほか、ASUSTeKの「UX 21」、「UX 31」、レノボ・ジャパンの「IdeaPad U300s」といった未発表製品も参考展示。東芝とエイサーの製品も発表はされているが、発売は先なので購入を検討しているユーザーにとっては、使い勝手を比較しながら試してみる良い機会だろう。

インテルブース東芝の「dynabook R631」日本エイサーの「Aspire S3」
ASUSTeKの「UX 21」ASUSTeKの「UX 31」レノボ・ジャパンの「IdeaPad U300s」

 このほか、インテルブースでは、いくつかの近未来的なデモを行なっている。「バーチャル試着室」と銘打たれたステージに立つと、正面のディスプレイにカメラで撮影された自分の姿が映し出される。ここから、手振りでカーソル操作を行ない、試着したい服の柄や色を選ぶと、自分の着ている服がディスプレイ上でリアルタイムで変化する。単に、モデリングされた服を重ね合わせるのでなく、きちんと輪郭を検出した上で色の変更や、3Dテクスチャの貼り付けを行なっているのだが、追随性はかなり良い。

 未来の教室を模した一角では、机にタブレットが埋め込まれている。机には各生徒のIDカードを読み込むセンサーも内蔵され、生徒が着席して、IDカードを机に置くと、その個人を認識し、クラウドから教材データをダウンロードしてタブレットに表示する。自宅にもカードスキャナがあれば、自宅のPCなどでも授業の続きや宿題などができるといったシナリオも想定されている。

 さらに、CYBERDYNE製ロボットスーツHALの展示コーナーもある。その制御にAtomが使われているというつながりで展示されたそうだが、来場者が腕の部分を実際に装着して試すこともできるようになっている。

バーチャル試着室手振りでカーソルを操作リアルタイムで服の色や柄が変わる
未来の教室のコンセプトデモIDカードで個人識別し、各生徒向けの教材が表示ロボットスーツHAL
腕のパーツを体験することもできるWiDi(Wireless Display)のデモAR(拡張現実)でモデルの顔が変化する。インテルはやはり鳥が好きなようだ

 ソニーブースでは、今回新たに発表されたものはないが、「VAIO」最新モデル、電子書籍端末の「Reader」、「Sony Tablet」などのほか、未発売であるPS3用アクティブシャッター式3D対応液晶ディスプレイ「CECH-ZED1J」や、VAIO SA/SB用裸眼3D立体視のパネル「VGP-FL3D13A」など、少しPC系を離れたところでは、「PlayStaion Vita」、3D表示対応ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」、3DフルHD動画撮影対応デジタル双眼鏡「DEV-3」などもデモ機が用意。特に、PlayStaion Vita、HMZ-T1、DEV-3の試遊機には順番待ちの長蛇の列ができている。

 CECH-ZED1Jについては、単なる3D表示以外に、2人が眼鏡をかけ、2Dではあるが、それぞれのプレーヤー用の画面を交互に表示することで、1台のディスプレイにゲーム画面をフルスクリーン表示しながら、2人がそれぞれ異なる画面を見ることができるという使い方も訴求している。もちろん、これはゲーム側の対応が必要だが、「グランツーリスモ5」を皮切りに、2人同時プレイ対応ゲームについて、このモードへの対応を随時増やしていくという。

CECH-ZED1J。これは通常の3Dモード。視差のついた映像が表示されているのが分かるこちらは2Dの2人同時プレイモード。プレーヤー1と2の眼鏡を通じて見ると、全く違う画面が表示される
Sony Tablet SSony Tablet P3Gにも対応するReader
VAIOは独自ソフトをアピールPlayStaion Vitaソニー製品ではないがXperia PLAYなどスマートフォンも展示されている
VAIO SA/SBをレンチキュラーシートで3D化するパネルヘッドマウントディスプレイとデジタル双眼鏡には長蛇の列

 東芝ブースでは、「レグザタブレット」とUltrabookのdynabook R631をかなり強力に訴求している。どちらかというと、CEATECでは大手家電系メーカーの展示ではTVやレコーダーが主役で、PCなどは扱いが小さいのだが、東芝ブースでは、プレゼンステージにもTV/レコーダーと同列にタブレットとUltrabookが並べられ、多数のデモ機が用意されている。Ultrabookについては、内部機構を紹介するスケルトンモデルも展示され、いかにしてこの薄型が実現されたかを知ることができる。これ以外にも、グラスレス3Dノート「dynabook Qosmio T851」や、液晶一体型の「レグザPC」も展示されている。

レグザタブレットAT3S0レグザタブレットAT700レグザタブレットコーナーには人だかりができていた
レグザサーバーなどと組み合わせたTVの視聴デモdynabook R631も多数展示こちらはスケルトンの内部モデル
メインステージにもタブレットとUltrabookを展示dynabook Qosmio T851レグザPC

 富士通のブースは、前述のメーカーと比べるとビジネス色が強いが、コンシューマかビジネスかといった括りとは関係なく、世界一の性能を実現したスパコンである京の展示は異彩を放っている。

 ラックには、上部と下部にCPUやメモリが乗るシステムボード、中央にI/Oシステムボードと電源、サービスプロセッサ、システムディスクなどが並んでいる。1台のシステムボードは4基の「SPARC64 VIIIfx」が搭載。同CPUは8コアで、1ラックで800コアのCPUが搭載される。

 CPUやインターコネクトチップ、およびI/Oシステムボード上の一部のチップは水冷となっており、ボード前面からサイドにかけて伸びる水冷配管が印象的。一方、メモリは空冷となっているが、システムボードをやや斜めに配置することで効率的なエアフローを確保しているという。

 また、未発表のビジネス向け7型タブレットも展示。詳細は公開されていないが、3Gは非搭載で、今年度中の製品化を目指しているという。ビジネス向けと言うことで、利用後に訪問履歴やクッキーを削除するオリジナルWebブラウザや、現場での保守支援サービス、PCなどと同様にAndroidタブレットを資産管理するクラウドシステムなどと合わせて訴求する。

京のラック上部と下部にメインのシステムボード中央にI/Oシステムボードと電源、システムディスクなど
システムボード。CPUとインターコネクトチップが水冷になっているその概要TOP500世界1位の証書
未発表の法人向け7型Androidタブレット10型でも数が少ないフルのUSBを装備加えて堅牢性も確保したためか、厚さは少し厚く見える

 同社は4日付けでノートPC「LIFEBOOK」シリーズと液晶一体型の「ESPRIMO」シリーズを発表。ブースでの展示は小規模なのだが、今回の新製品の一部には、世界で初めてDTSのハイエンドオーディオ技術「DTS Ultra PC II Plus」が搭載されている。展示会場から離れたホテルにおいてだが、その説明をDTSから受けることができたので、ここに合わせて紹介したい。

 Ultra PC II Plusは、これまでのPremium Suiteの後継となる同社PC向けとして最上位のオーディオ技術。デコーダこそ省略されているが、VoIPなどを利用する時に周囲のノイズを低減して音声を明瞭にする「Clear Voice」、周囲で発生しているノイズを相殺するように音声を出力し、ノイズの影響を抑制する「Clear Audio」、圧縮された低ビットレートオーディオで失われた音を強調することで音質を改善する「Enhance」、リマスター時に失われた音源の情報を解析/復元する「Audio Restoration」が追加されている。

 これらの技術はソフトウェアによって実現されているが、Ultra PC II Plusの認定に当たっては、各技術の出力/効果レベルを各PCの筐体に合わせ込むチューニングがなされており、オンにするだけでそのPCでもっとも効果的な出力が得られるようになっている。

富士通ブースでのPCの展示は少なく、見かけたのはLIFEBOOK AHシリーズくらい本製品はDTSのUltra PC II Plusに対応
一体型でオンキヨー製スピーカーを搭載するESPRIMO FHも同技術に対応設定画面。すでに製品に合わせた最適化がなされているので、特に変更する必要はない

 このほか、NTTドコモのXi対応タブレット「GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D」と「ARROWS Tab LTE F-01D」、パナソニックの楽天による電子書籍サービスに対応するタブレット「UT-PB1」、日立のiPad 2用無線充電器「WP-CP10A」などを写真で紹介する。

「GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D」「ARROWS Tab LTE F-01D」「UT-PB1」
「WP-CP10A」。電解結合方式を採用したiPad 2用無線充電器。カバーをiPad 2にはめて使う。黒と白があり、縦置き、横置きどちらにも対応。カバーにはUSB端子もあり、PCとの同期もそのままできる(充電との同時利用は不可)。11月発売予定で、価格は15,000円前後となる見込み。カバーのサイズは191×265×15mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約240g。なお、Qiとは規格が異なるので対応しない
三菱はJR東日本と協力して、山手線で10月4日から11月2日まで車内ディスプレイに表示される情報プラスアルファをスマートフォン(Android/iOS)に無線LANで配信する実験を行なう。最寄り駅近辺の情報、クーポン、車内混雑情報、列車遅延情報など、自分が知りたい情報を自由に取得できる三菱のメインステージでは、小型の有機ELモジュールを多数組み合わせて作った半球型ディスプレイを使っている

(2011年 10月 4日)

[Reported by 若杉 紀彦]