理研のスーパーコンピュータ「京」が世界最速に

「京」の整備状況

6月20日 発表



 独立行政法人理化学研究所と富士通株式会社は20日、共同開発したスーパーコンピュータ「京」(けい)が、スーパーコンピュータベンチマークランキングTOP500のリストにおいて1位を獲得したと発表した。日本のスパコンが首位になったのは2004年の地球シミュレータ以来。

 京は、文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」の計画のもと、2012年11月の供用開始を目指して開発されたもの。高性能/低消費電力CPUを搭載した800台以上の計算機筐体を、超大規模接続が可能なネットワークで接続した構成となっている。

 今回、整備途中の段階で、672筐体(CPU数68,544個、548,352コア)の構成において、システム性能を確認するために計測した「LINPACK」ベンチマークをTOP500に登録したところ、世界最高性能の8.162PFLOPS(ペタフロップス、毎秒8,162兆回の浮動小数点演算)を達成した。実行効率は93%だった。メインで使われるCPUは、富士通が開発/製造した「SPARC64 VIIIfx 2.0GHz」。

整備中の状況「京」の筐体

 理研と富士通によれば、これは数万個に及ぶCPUと、それらを相互に接続するインターコネクト、ハードウェア性能を極限まで引き出すソフトウェアのすべての技術が結びついて実現したものとしている。

 京は、2012年の完成時にはLINPACK性能で10PFLOPSを目指しており、高いシミュレーション性能や速度により、高効率な太陽光発電に資する新材料開発や、精密な気象予測や地震/津波影響予測などでの分野の活躍が期待される。

 なお、ランキング2位は中国・天津にある「Tianhe-1A-NUDT TH MPP」で、同機はCPUにXeon X5670 2.93GHzを使用し、総コア数は186,368個、さらにはNVIDIAのGPUを活用したものだが、性能は2.566PFLOPSと、京のおよそ3分の1の性能となっている。

 このほか、東工大にあるXeon+NVIDIA GPU構成のスパコン「TSUBAME 2.0」が、1.192PFLOPSで5位につけた。

(2011年 6月 21日)

[Reported by 劉 尭]