【DEMOfall 09レポート】その他編
~企業向けの管理機能を搭載したTwitter向けサービス

Hashwork共同創業者のWendell Lansford氏

会期:9月21日~23日(現地時間)
会場:Sheraton San Diego Hotel & Marina



 本稿では、前回の作業を効率化するツール/サービス編で入りきらなかったものと、お金をより効率的に使う編から気になったものを取り上げる。

●企業向けの管理機能を搭載したTwitter向けサービス「Hashwork」

 Hashworkは、Twitterを活用して企業の従業員と顧客との結びつきやコミュニケーションを強化する同名のサービスを発表した。

 Haswworkの使い方は簡単で、会社で使っているメールアドレスとパスワードを登録するだけ。登録を行なうと、「http://企業のドメイン名.hashwork.com/メールアカウント名」というURLが作成される。つまり、誰か1人が使うだけでその企業専用のフィードまでもが即座に作成されることになる。

 これにより、同一企業の誰かが「つぶやく」と、その個人のURLにつぶやきが投稿されるが、企業のドメイン名.hashwork.comにアクセスすると、その企業の全ユーザーのつぶやきを一度に見ることができる。

 つぶやきは、Hashwork上で行なうと、Twitterにも同じものが生成され、逆にTwitter上でつぶやくとHashworkにも反映される。

利用するには会社のメールアドレスを登録するだけHashworkの自分のページ。Steve@jotbase.comを登録したので、URLはhttp://jotbase.hashwork.com/steveとなっているhttp://jotbase.hashwork.com/にアクセスすると、他の従業員のつぶやきを見ることができる

 Hashworkの特徴の1つは、プライベートとパブリックの2種類のつぶやきを行なえる点。Twitterでは、基本的に特定ユーザーへのつぶやき以外、全てパブリックになるが、Hashwork上でつぶやく際、プライベートとパブリックのどちらかを選択できる。プライベートに設定したつぶやきは、同じ企業のユーザーにしか見えない。また、ユーザーのグループを作成し、そのグループだけにプライベートなつぶやきを送信することもできる。

 もう1つが、あらゆるファイルをつぶやきに添付できる点。Hashwork上でつぶやく際に、添付ファイルを設定すると、Hashwork上にファイルがアップロードされ、他のユーザーがダウンロードできる。Twitter上からは直接これらのファイルにアクセスできないが、つぶやきにHashworkへの短縮RULが挿入されるようになっている。

 これらのサービスは無償で利用できるが、同社ではより高度な管理機能を搭載したバージョンを有償で用意している。これも大きな特徴の1つで、つぶやきの管理機能を利用すると、企業の管理者は、各ユーザーがつぶやくと、それがパブリックに公開される前に、チェック/削除できるようになる。Twitterは利用が簡単で手軽であるがために、企業でのアカウントを使っていても、不用意なつぶやきを行なってしまうことがあるが、Hashworkのサービスを使うことで、そういった事故を未然に防ぐことができるようになる。

つぶやく時はプライベートとパブリックを指定できる有償版サービスでは、管理者がつぶやきをチェックできる

□Hashworkのページ(英文)
http://hashwork.com/

 

●メールの内容の重要度を判断し、まとめ上げる「Liaise」

 Liaiseは、メールの内容の重要性を判断し、必要に応じてまとめる機能を搭載した同名のOutlook用プラグインを発表した。現在、限定ベータテストを行なっている。

 Liaiseを使うと、送受信するメールの本文に含まれる、「誰」、「いつ」、「優先度」といったキーワードを自動的に見つけて、それらのフラグを立てる。具体的にどのように動作するのか、デモ内容に沿って説明する。

 まず、メールを新規作成し、「Hi guys. Hope all is well [訳: やあ、みんな。(仕事が)うまくいっているといいんだが]」と入力するが、ここまでのところは何も起きない。

 続けて「I'm upset the specs are late. [訳: 仕様書が届くのが遅れているので、私は怒っている]」と入力すると、その真下に「Issue for Me, due: [???], priority: Normal (訳: 私に関する問題。〆切り[?]。優先度[?])」というメッセージが自動的に現われた。

 さらに続けて「Luke make sure you get this to me asap.[訳: ルーク、必ず大至急これを私に届けるように]」と入力すると、先ほどの自動挿入されたメッセージが「Issue for Luke, due: Thursday, September 24, 2009, priority: High [訳: Lukeに関する問題。〆切り 2009年9月24日木曜日。優先度 高]」に変化した。

 つまり、この2つの文章から、Liaiseはこれが「ルークが高優先度で9月24日までに終わらせなければいけない作業」と認識したのである。単語だけを拾って解析していたのではこのような結果にはならないはずで、ここにLiaiseの高度な文脈解析技術が見て取れる。もちろん、この解析が誤っていることもある。そういう時は、「誰」や「いつ」の表示をクリックして、リストから正しいものを選択して修正できる。

 こうしてフラグ付けされたメッセージは、Liaiseのコンソール画面で、案件ごとや、「確認が必要」といった種類ごとに一覧表示させ、進捗を管理できる。

 なお、Liaiseは、メールをやりとりする相手が持っていなくても機能する。また、近日中にWeb版も登場予定。

Liaise CEO兼共同創業者のSidney Minassian氏LiaiseをインストールしたOutlookでメールを作成。冒頭の2文については何も起きないが3行目の文を書いた時点で、Liaiseが内容を判断して自動的にフラグ付けを行ない、それを表示した
さらにその後に、文章を続けると、フラグの内容が文脈に応じて自動的に変化フラグの内容は手動で修正できるコンソール画面で、案件ごとなどにメッセージを統合的に把握できる

□Liaiseのページ(英文)
http://www.liaise.com/

 

●あらゆるサイトを横断し、リストを作り上げる価格比較サイト「Cazoodle」
Cazoodle社長のDr. Kevin C. Chang氏

 Cazoodleは、賃貸および家電に関するあらゆる販売サイトの情報を自動的に収集することで運営する同名の価格比較サイトを発表した。

 同サイトは現在、賃貸と家電の2つの情報を提供しているが、ここでは家電の場合を例に挙げて説明する。

 Cazoodleは、検索エンジンのように、あらゆるサイトをクロールし、情報を収集する。検索エンジンであれば、基本的に集められた情報はキーワードがインデックス化されるだけだが、Cazoodleでは、キーワードの意味を解析し、それを元に、製品の仕様情報を作り上げる。

 例えば、製品カテゴリで「Laptop」を選び、キーワード入力欄に「ThinkPad」と入れて検索する。すると、各種ThinkPadのリストが、何ドル~何ドルという価格情報とともに表示される。

 Cazoodleが特徴的なのは、ここで左側に、Price、Processor Brand、Processor Type、Processor Speed、RAM Type、RAM(容量)、Hard Disk(容量)、Screen(サイズ)、Colorなどについての選択肢が表示され、それを自由に変更できる点。つまり、同じThinkPadでも、メモリは4GB、HDDは250GBといった指定をした上で、価格比較を行なえるのだ。

 当然、Cazoodleが参照する各販売サイトでは、製品の仕様について異なる表記を行なっているはずだが、Cazoodleはそこに含まれる情報の意味を分析することで、一元的な情報に作り替えて表示している。

 また、Cazoodleでは、「Caddy」と呼ばれるブラウザプラグインも提供している。これを利用すると、任意の販売サイトを開くと、Caddyがそのことを検知し、虫眼鏡のアイコンが表示される。これをクリックすると、そのページに重ね合わせる形で、今開いている製品の価格比較のリストがその場に表示される。これにより、Cazoodleへ移動することなく、価格比較を行なえる。

Cazoodleがクロールしているサイトの一部。スクロールバーを見ると分かる通り、この数倍の数のサイトを見ているLaptopのカテゴリでR400を検索した結果。左側で製品の細かな仕様を指定できるのが特徴Caddyを使うと、今見ている製品についての価格比較がその場で行なえる

□Cazoodleのページ(英文)
http://www.cazoodle.com/

 

(2009年 9月 28日)

[Reported by 若杉 紀彦]