【DEMOfall 09レポート】バーチャルスペース編
HPがリッチコンテンツ対応が進むビデオ会議システムを紹介

会期:9月21日~23日(現地時間)
会場:Sheraton San Diego Hotel & Marina



●3Dや動画対応のデスクトップ共有対応のビデオ会議システム
HP VP&GM Global Workstation BusinessのJim Zafarana氏

 Hewlett-Packardがデモを行なった「SkyRoom」は、高解像度ビデオによる会議システムだ。ビデオは最大960×720ドットの解像度を利用可能で、異なる3つのロケーションにいる人、つまり自分を含めて4つのカメラで会話が行なえる。

 さらに、ドラッグ&ドロップするだけで簡単に共有するエリアを指定できるデスクトップ共有機能を備える。この機能が非常に強力で、プレゼンテーションやドキュメントファイルなどの一般的なアプリケーション画面だけでなく、DirectXやOpenGLを使った3Dグラフィックや、HD動画も再生させることができる。この3DやHD動画に対応したデスクトップ共有が本製品の技術的なポイントで、同社が開発したイメージエンジンより実現されているという。動作は非常にスムースで、動画などもスライドショーのような状態になることなく、ちゃんと再生される様子がデモで示された。

 SkyRoomはWindows XP/Vista/7上で動作が可能で、Core 2 Duo 2.33GHz、2GB RAM以上の環境が最小構成とされる。また、クアッドコア環境にも最適化されているほか、日本語環境にも対応している。価格は149ドル。10月1日には本アプリケーションをバンドルしたワークステーションが発表される予定となっている。720p対応のWebカメラが増えつつあるなか、こうした安価なソフトウェアで高解像度のビデオ会議システムを構築できるという点で注目できる製品だ。

960×720ドットの解像度で、4人までのビデオ会議を利用できるOpenGL、DirectXの3Dアプリケーションの画面も共有可能こちらはHD動画の再生画面を共有しているところ

●ショッピングモールなどの内部のマップを表示するサービス
Micello CEOのAnkit Agarwal氏

 Micelloがデモを行なったのは、同社がこの先数週間でサービスを開始する予定の、ビル内などのマップを参照するiPhoneアプリケーションである。多くの人がGoogle Mapを利用してショッピングモールや空港へ行くものの、Google Mapで参照できるのは目的地のドアの前までで、ラストマイルすなわちその内部は参照できない、という問題を解決するものとする。

 iPhoneで参照可能なビル内の地図はタグ情報も埋め込まれており、例えばモール内の靴屋さんを検索して色分け表示するといった機能もデモで示された。マップのパーソナライズも可能で、ソーシャルネットワースサービスと連携して、ショッピングモールなどのリアルタイムな情報も共有できるという。

 さらに今回のDEMOでは、Google Mapとの連携機能もデモが行なわれ、Google Map上にオーバーレイする格好で、ショッピングモールの内部が表示される様子が示された。今後は、駐車場で自分の車を見つけるといったことも機能として提供される予定だ。

 こうしたサービスでは情報量が勝負の決め手となるが、サービス開始時点でベイエリアのショッピングセンターなどを中心に100を超えるマップを提供。来年中には全米5,000のショッピングモール、1,000の大学キャンパス、400のコンベンションセンターのマップを提供するとしている。

ショッピングモールの中(インドア)を表示できるWebサービスタギングもされているので、キーワードに合致したショップを抽出することもできるGoogle Mapにオーバーレイする形で内部のショップの配置を表示できる

●クラウドベースのローコスト監視カメラシステム
Third Iris CEOのSteve Roskowski氏

 Third Irisがデモを行なった「VIAAS(Video Intelligence as a Serviceの略)」は、SaaS型の監視カメラシステムである。いくつかの目立った特徴がある。

 1つはゼロコンフィグで利用できる点で、専用のネットワークカメラは「1.箱から出し、2.台座をマウントして 3.LANケーブルにつなぐ」だけで利用することができる。電源供給もPower over Ethernetを利用する。

 このカメラは非常に高機能で、デイライト撮影のほか赤外線撮影も可能。カメラ単体でH.264へのエンコードを行なうだけでなく、低ビットレートの画像をサーバ側へアップし、高ビットレートの動画はmicroSDに記録しておくことができる。この高ビットレートの映像は、ユーザがリクエストした場合にのみサーバへアップロードすることができる。狭帯域環境に適応させるための機能だ。

 上述のゼロコンフィグでは、同社のWebサービスへ自動的に接続される設定がなされる。このWebサービスへは、撮影した画像、静止画が順次アップロードされていき、ユーザはWebサービスへログインすることで参照することができる。1つのアカウントに割り当てるネットワークカメラは何台でもOKとする。

 Webサービス上の機能も豊富で、4週間分の映像、静止画を記録しておき、ワンクリックで簡単に閲覧できる。画像などにタグ情報を振っておくこともでき、そのタグに基づいた絞り込みなども可能だ。

 そして、もっとも強くアピールされたのがコスト面で、プロフェッショナルな監視カメラ環境としては従来の4分の1程度のコストで済むという。具体的にはカメラが249.95ドル(今週中なら199.95ドルとのこと)、Webサービスの月額使用料が24.95ドル。現在は北米のみでのサービスとなっている。

専用のネットワークカメラはLANケーブルをつなぐだけで自動的にWebサービスへ接続されるWebサービス上では複数台のカメラの情報を参照することもできる各カメラで撮影された情報も一覧表示からクリックするだけで拡大表示できる

●iPhoneやBlackBerryも活用できるオンラインミーティングシステム
Fuze Box CEOのJeff Cavins氏

 Fuze Boxがデモを行なった「Fuze Metting」は、ブラウザベースで提供されるオンライン会議システムだ。ブラウザベースなのでWindows、Macを問わず利用できるほか、iPhoneやBlackBerryといったモバイル端末での利用が行なえるのを大きな特徴とする。特にiPhoneではホストとしてミーティングを開催することができる。

 会議は音声のほか、ドキュメントファイル、プレゼンテーションファイル、HD動画の共有が可能。デモでは、PCのWebブラウザからiPhoneユーザをミーティングに招待し、そのユーザーが共有した動画ファイルを再生するデモが実施された。

 その他の機能としては、Gmail、Windows Live Messenger、AIMなどのさまざまなWebサービスのコンタクトリストを1つのアドレス帳として管理し、そのリストからミーティングへの招待を出すことができるほか、TwitterやFaceBookなどにワンボタンでリンクを投稿しソーシャルネットワークでの結びつきによるミーティングを開催することもできる。

 サービスは有料で提供され、月額29.95ドル、23.25ドル、1分19セントの従量制という3種類の料金プランが用意されている。

Webベースで提供されるオンライン会議システムで、iPheneやBlackBerryでも会議に参加できるiPhoneやBlackBerryでもデスクトップ/ファイル共有が可能。HD動画の共有再生も行なえるさまざまなWebサービスのコンタクトリストを利用して、iPhoneをホストに会議を開ける

●旅の情報を共有するWebサービス
TravelTrac CEOのJohn Noller氏

 TravelTracがデモを行なったのは、同社が提供を開始した旅行記録に関するWebサービスだ。旅行の際の写真や動画などをアップロードし、そうした旅の記録を自由に共有するというコンセプトのサービスとなる。Webだけでなく、本サービス用のiPhoneアプリも提供。、BlackBerry、Android端末にも対応予定としている。

 写真や20MBまでの動画ファイルのアップロードに対応。ジオタグやGPSの現在位置を参照して、自動的にGoogle Mapのカスタムマップに配置される。そうしたコンテンツが複数ある場合は、スライドショーで閲覧する機能も提供されている。

 旅先ではインターネットへの接続環境が無い状況も考えられるが、オフラインでアップロード作業を行なっておけば、再接続された際にWebサービスへ自動的にコンテンツをアップロードしてくれるオフラインモードと呼ばれる機能を備えているのも特徴となっている。

同社が提供するiPhoneアプリから、Webサービスで旅の情報をアップロードする。単なるテキストの情報だけなく、写真や動画にも対応TravelTrac以外にも、旅の種類に応じて、MotoTrac、TrekTrac、SailTracといったWebサービスも展開GoogleMapでカスタムマップを作成。アップロードした写真はジオタグを参照して配置されていく

(2009年 9月 24日)

[Reported by 多和田 新也]