イベントレポート

COMPUTEX会場の秘密部屋で早速Core i7-6950Xを5GHz超でぶん回す

当日解禁したばかりと言われようが1,569ドルの石と言われようが容赦なく液体窒素をぶっかける清水貴裕氏

 COMPUTEX会場で普通に取材をしていたが、オーバークロッカーの清水貴裕氏にバッタリ出会った。会うや否や「お疲れ様です。裏の秘密部屋でCore i7-6950Xを冷やしてるんですが、来てそれ記事にしませんか」と誘われる。15時解禁のCPUがもう冷やされてるとなれば、記事にしないわけにはいかない。

 会場を出て部屋の前まで案内され、清水氏は部屋に入るためのパスワードをスマホでチェックして入力。その秘密部屋の鍵が開き、ようやく入れた。部屋の中にはマザーボードやらメモリやら、液体窒素の缶が散乱している。なんだこのバイオハザードの世界は。

 机の上には、Core i7-6950XをASRockの「Fatal1ty X99M Killer」に載せ、液体窒素を冷やすための「升」が装着された状態のシステムが置かれていた。どうやら今日はこれを使うらしい。

 ASRockのオーバークロック向けマザーボードと言えば、Nick Shih氏が開発したOC Formulaシリーズなのだが、清水氏によるとこのゲーミングマザーにはOC Formulaと同等の機能を実現するBIOSモジュールが組み込まれており、そのため極冷オーバークロックに十分耐える仕様になっているという。

秘密部屋の端に置かれていたシステム
機材をセットアップする清水氏
OC FormulaシリーズのDNAを取り入れたFatal1ty X99M KillerのBIOS
Broadwell-EはSkylakeとは異なり、ベースクロックのストラップは存在する

 「残念ながらこの6950Xはベンチマークであまり高クロックで回らないんですよ。5GHz以下ですね」と漏らす清水氏。先ほどのHWBOTの記者会見で、コールドバグなしで-190℃以下を実現しているといったことを告げると、「うーんそれは当たりの別の石なのかもしれないですね。僕が試した石はベンチで5GHz回れば良い方で、-100℃がコールドバグ発生のポイントでした。この石で言えば4.93GHzが重いベンチマークの限界ですね」。

 とりあえず、先ほどHWBOTでの発表時にCPU-Zのベンチマークが取れているので、オーバークロック時で同じベンチマークをお願いしてみた。CPU-Zのベンチマークは比較的軽く、「5GHzでも動作しそうですね」ということで動かしてみたところ、無事結果を残せた。

 シングルスレッドのスコアは2,429、マルチスレッドのスコアは25,504。先ほど定格での数字はそれぞれ1,693、17,816だったので、ほぼ43%の性能アップだ。クロックが66%向上していることを考えると控えめな数字だが、これは6950Xは新たにTurbo Boost 3.0の採用により、定格設定でも高いクロックを達成しているため。清水氏によれば、2コア動作時は最大4GHzで動作するようになっているとのことで、このためスコア差が若干縮まっている。

 ちなみに空冷に関してはさほど高クロック動作は期待できず、清水氏によると「空冷で4GHzで回れば良い方」とのことだ。これはコア数が増えていることが大きく影響していると見て良いだろう。また、メモリの高クロックに関しても「6950Xに関してはあまり期待できず、コア数が少ない下位モデルの方が高クロックを達成できる可能性が高い」とのことだ。特にDDR4-3000以上の高クロックメモリを使っている場合、Haswell-Eからのアップグレードでは、そのまま設定しても動かない可能性が高いという。

 もちろん、6950Xに関しては、コア数を減らすことで高いCPU/メモリクロックを達成できる可能性もあるのだが、せっかくのコンシューマ向け初の10コアCPUなので、10コア全てを有効にして利用したいところ。ただその多コアが逆にオーバークロックの足かせとなりそうだ。

CPU-Zのベンチマークは5GHzで結果を残せた。シングルスレッドのスコアは2,429、マルチスレッドのスコアは25,504
ベンチマークを回さない状態では5,379.5MHzまで上がった