イベントレポート

ASUSの最新2in1 PC「Transformer」シリーズ3モデル実機レポート

~既報2モデルに加え、10.1型2in1「Transformer Mini T102」も展示

 ASUSの発表会「Zenvolution」では、キーボード着脱式2in1 PC「Transformer」シリーズ2機種「Transformer 3 Pro」および「Transformer 3」が発表された。本稿では、ハンズオンでのそれら2機種のインプレッションと実機写真を紹介する。またハンズオンでは、発表会で触れられなかった2in1の新モデル「Transformer Mini T102」も展示されていたので、そちらも合わせて紹介する。

Transformer 3 Pro

Transformer 3 Pro

 「Transformer 3 Pro」は、スペック重視型の2in1で、Microsoftの「Surface Pro 4」をかなり意識した仕様となっている。プレゼンテーションでも、Surface Pro 4との比較を中心に行なわれたが、実際の製品を見ても、Surface Pro 4にかなり近いという印象を強く受ける。

 角度を自由に調節できるキックスタンドを備える点はもちろん、2段階の角度調節が可能な専用キーボードカバー、1,024段階の筆圧検知に対応するスタイラスペン「ASUS Pen」など、Surface Pro 4と同等の特徴が並んでいる。本体デザインこそ、Transformer 3 Proは垂直に切り落とされているが、見た目の印象はSurface Pro 4に限りなく近いと感じる。

 手に取った印象も、Surface Pro 4にかなり近い。本体重量は795g、本体サイズは299×210×8.35mm(幅×奥行き×高さ)となっており、手に持っても、Surface Pro 4との違いはほとんど分からないほどだった。

 ただ、スペックを見ると、後発ということもあって、強化されている部分が多くなっている。CPUは第6世代Core i7またはCore i5を採用し、メインメモリは最大16GB(LPDDR3-2166と発表されている)を搭載可能。内蔵ストレージは、最大1TBのPCI Express x4接続SSDが搭載される。

 液晶は、2,880×1,920ドット表示対応の12.6型IPS液晶を採用。この液晶は、sRGBカバー率121%と広色域表示に対応する。短時間の試用だったため、細かな部分までチェックはできなかったが、数枚画像を表示させてみたところ、表示品質はかなり優れていると感じた。

 側面のポートは、USB 3.1/Thunderbolt 3対応のUSB Type-Cコネクタ×1と、USB 3.0×1、HDMI×1、microSDカードスロット、オーディオジャックを備える。内蔵バッテリの充電はUSB Type-Cポート経由となる。

下部側面。高さは8.35mm
左側面。こちらにはオーディオジャックとボリュームボタン、microSDカードスロットがある
上部側面。排気口のスリットが見える。また、右に電源ボタンがある
右側面。USB 3.1 Gen2/Thunderbolt 3対応のUSB Type-C、HDMI、USB 3.0の各ポートを備える
2,880×1,920ドット表示対応の12.6型IPS液晶。広色域表示対応で、映像を鮮やかに表示できる。フットプリントは299×210mm(幅×奥行き)
背面。キックスタンドを備えるため、中央に筋が見える
キックスタンドを開いた状態
キックスタンドの角度は自在に調節可能

 キーボードカバーのキーボードは、キーがアイソレーションタイプとなっているため扱いやすく、ストロークもまずまず深いと感じた。また、手前のタッチパッドも、面積が広く、ジェスチャー操作もサポートしており、申し分ないという印象。多少しなりは感じるが、Surface Pro 4のキーボードカバーとほぼ同等の利便性だ。ASUS Penは、追従性も申し分なく、細かな入力も軽快に行なえそうだ。

 このほか、ハンズオンではGeForce GTX 1080も搭載できる外付けビデオカード拡張ボックス「R.O.G. XG Station 2」を接続した状態でのデモも行なわれていた。外部ディスプレイを繋ぎ、最新3Dゲームが軽快に動作する様子を見ると、もはや2in1とは思えないほど。こういった使い方を提案するという点は、ゲーミングPCブランド「R.O.G.」を擁するASUSらしい部分と言えるが、高い拡張性は大きな魅力となりそうだ。

 価格は、北米市場で999ドルから。フルスペックでは2,000ドル近くになるものと思われるが、用途と予算に合わせて構成を選べると思われるので、この点も嬉しい。日本も含めた発売時期は未定だ。

液晶上部のカメラ
キーボードカバーのキーボードは、アイソレーションタイプ
キーボードカバーは、本体底面にマグネットで固定
キーボード面の角度は2段階に変更できる
キーボードカバーは複数のカラーを用意している
1,024段階の筆圧検知に対応するスタイラスペン「ASUS Pen」に対応
ペン先への追従性も優れ、軽快な入力が行えた
Transformer 3 Proに、GeForce GTX 1080搭載のR.O.G. XG Station 2と外付けディスプレイを接続している様子

Transformer 3

Transformer 3

 「Transformer 3」は、未発表の第7世代Coreプロセッサを搭載するとされる2in1だ。Transformer 3 Proと異なり、背面のキックスタンドはなく、仕様はピュアタブレットに近い。キーボードカバーにスタンド機構が用意されており、そちらを利用して本体を立てかけ、クラムシェルスタイルで利用可能となるが、細かな角度調節には非対応だ。

 本体サイズは303×202×6.9mm(同)と、Transformer 3 Proよりわずかに面積が狭く、薄くなっている。重量も695gとわずかに軽くなっており、手にするとTransformer 3 Proよりも軽快に感じる。ただ、キックスタンドがなく、クラムシェルPCとしての利便性は大きく落ちる印象だ。

 液晶は、2,880×1,920ドット表示対応の12.6型IPS液晶を採用しており、sRGBカバー率121%の広色域表示対応など、仕様はTransformer 3 Proと同じだ。また、1,024段階の筆圧検知に対応するASUS Penも利用可能。USB 3.1/Thunderbolt 3対応のUSB Type-Cコネクタを備え、R.O.G. XG Station 2による拡張が可能な点も同様で、下位モデルではあるが、上位モデルの魅力をそのまま受け継いでいる点は魅力となりそうだ。

 このほか、本体側面に指紋認証センサーを搭載しており、Windows 10のWindows Helloをサポートする。ただし、側面ポート類はUSB Type-Cとオーディオジャックのみとなっており、各種周辺機器を利用する場合には、オプションとして用意されているドック「Expansion Dock」の利用が不可欠となる。

 キーボードカバーは、マグネットで本体と装着する点は同様だが、本体全体をくるむ仕様となっており、背面もしっかりカバーできる。アイソレーションキーでタッチパッドも大きく、キーボード自体の利便性はTransformer 3 Proのキーボードと遜色ないが、キーボード面の角度は変更できない。

 価格は、北米市場で799ドルからと、Transformer 3 Proよりも安価となっている。クラムシェルよりもタブレットとして利用する場面が多いというユーザーに魅力的な製品と感じた。

液晶はTransformer 3 Proと同じ、2,880×1,920ドット表示対応の12.6型IPS液晶。広色域表示対応など、表示品質も同等。フットプリントは303×202mm(幅×奥行き)
本体下部側面。中央のコネクタはキーボードカバーの接点
左側面。オーディオジャックが見える
上部側面。高さは6.9mmと薄い
右側面。こちらにはUSB 3.1/Thunderbolt 3対応のUSB Type-Cコネクタを備える
背面。キックスタンドは備えず、ZenBookシリーズでもおなじみの同心円状のヘアライン処理が施されている
背面にはカメラを搭載
上部側面には、電源ボタンに加えて指紋認証センサーを備える
キーボードカバーのキーボードは、こちらもアイソレーションタイプ
カバーを山形に折ることで、本体を支えクラムシェルスタイルで利用可能となる
カバーで本体全体をくるんで持ち運べる
オプションの「Expansion Dock」。周辺機器利用時に欠かせない
SDカードスロットやUSB Type-C、USB 3.0×2など豊富にポートを用意
Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMIなども備える

Transformer Mini T102

Transformer Mini T102

 「Transformer Mini T102」は、プレゼンテーションでは触れられなかったが、同じく今回発表となった新モデルだ。

 1,280×800ドット表示対応の10.1型液晶を搭載する小型モデルだが、こちらには背面に角度を自由に調節できるキックスタンドを備えており、クラムシェルでの利便性も優れている。着脱式キーボードは、カバーに樹脂製の薄型キーボードを貼り付けたような仕様となっており、剛性はTransformer 3および3 Proのキーボードよりも優れている。横幅が狭いため、やや窮屈な印象もあるが、アイソレーションキーで、キーボード面を2段階に角度調節できる点と合わせ、比較的軽快に入力できると感じた。

 本体サイズは、タブレット単体で259×170×8.2mm(同)、キーボード装着(収納)時で259×170×13.2mm(同)。重量はタブレット単体で530g、キーボード装着時で790g。Transformer 3 Pro/3よりも軽快に持ち歩けるという印象だった。

 CPUはAtom x5を採用し、メインメモリは最大4GB、内蔵ストレージは最大128GBのeMMC。側面ポートは、USB 3.0×1、Micro USB 2.0×1、Micro HDMI×1、microSDカードスロット、オーディオジャックと、小型ながら豊富に備える。さらに背面には指紋認証センサーも備え、Windows 10のWindows Helloが利用可能だ。

 現時点での発売時期や価格は未定とのことだが、日本も含めて発売を計画しているという。

本体下部側面。高さは8.2mm
左側面。オーディオジャック、USB 3.0、Micro HDMI、Micro USB 2.0などのポートを備える
上部側面。電源ボタンとmicroSDカードスロットがある
右側面。ボリュームボタンがある
1,280×800ドット表示対応の10.1型液晶を搭載。フットプリントは259×170mm(同)
背面。キックスタンドを備えるため、中央に溝がある
キックスタンドを開いた様子
キックスタンドの角度は自在に調節可能
キーボードカバーのキーボードはアイソレーションタイプ。樹脂製の薄型キーボードを装着した感じで、剛性が高い
キーボードカバーは、本体底面にマグネットで固定
キーボードの角度は2段階に調節可能
背面に指紋認証センサーを搭載

(平澤 寿康)