イベントレポート

AMD、PolarisアーキテクチャのGPUをライブデモ

〜GeForce GTX 950と比較して3分の2の消費電力

Polarisは既にゲームができるぐらいの滑らかさで動いていた

 AMDは、CES開幕前にプレスリリースを発行し、2016年中にリリースを予定している新世代GPUアーキテクチャの開発コードネームが「Polaris」(ポラリス、英語で北極星の意味)であることを明らかにした(発表時の記事はこちら)。

 AMDはCES 2016期間中に開設している同社ブースにおいて、顧客や報道関係者を対象にPolarisアーキテクチャに基づく試作品GPUを利用したデモを行なった。PolarisアーキテクチャのGPUは、今年(2016年)の半ば頃までに出荷を開始したい意向だ。

GPUアーキテクチャ全体の世代を示すコードネームとなる「Polaris」

 従来AMD製GPUの開発コードネームは、世代ごとに「Southern Island」(サザンアイランド)などの島嶼名が付けられ、製品のダイに関してはFijiといった島名を、そしてGPUの内部アーキテクチャに対して“第2世代GCN”というように開発コードネームが付けられていた。非常に細分化されており、分かりにくいという声があった。

 社内で使われるコードネームに分かりやすい、分かりにくいなんて議論は必要ないと思う方もいると思うが、現実的には半導体メーカーは、開発コードネームをブランドのように扱ってマーケティングすることも少なくなく、その時にコードネームが分かりにくいとマーケティング活動がやりにくいという課題があったのだ。

 そこでAMDは、GPUのグラフィックスの内部アーキテクチャ、ディスプレイ出力、ビデオエンコード/デコードエンジン、プロセスルールなど全てを含めて1つのアーキテクチャにまとめ、それに対して開発コードネームを付けることにした。それが今回のPolarisになる。ちょうど、NVIDIAがGPUアーキテクチャの世代に「Maxwell」や「Pascal」などと名付けて、そのアーキテクチャに基づく製品の開発コードネームを「GM200」(GeForce GTX TITAN Xなど)としているのと同じようなスキームだ。

 なお、AMDはそうしたPolarisアーキテクチャにどのような製品があるのかは説明していない。あくまでアーキテクチャとしての開発コードネームであると概要を発表しただけで、今後どのような製品が出るかは別途明らかにしていくと説明している。プロセスルールが14nm FinFETであることは明かされたが、それがどこのファウンダリのものであるかもノーコメントを貫いており、現地でも公開されなかった。

 ただ、Global Foundriesは、昨年(2015年)の11月の時点でAMD製品を14nm FinFETプロセスルールで生産開始したことを公式に明らか(別記事)にしており、製造がGlobal Foundriesによるものである可能性は高いだろう。

Polarisの開発コードネームはあくまでアーキテクチャ全体の名前。NVIDIAのMaxwellやPascalなどに相当するコードネームだと考えれば分かりやすい
Polarisの機能。HDMI 2.0aやDisplayPort 1.3への対応などにより、4Kや5Kディスプレイの利用がより容易になる
ハイレベルなブロックダイアグラム

Polarisのライブデモでは、GeForce GTX 950の3分の2程度の消費電力で動作

 AMDはPolarisについて「14nm FinFETプロセスルールを採用したことにより、ジオメトリやシェーダの効率が向上している」と説明しており、電力あたりの性能が大きな特徴になるとしている。

 実際、AMDブースで行なわれたデモでも、NVIDIAのGeForce GTX 950との比較で、同程度のフレームレートになるゲームを動作させた時に、システム全体の消費電力がPolarisは85W前後であるのに対して、GeForce GTX 950は140〜150W前後となっていた。半分とまではいかないが3分の2程度の低い消費電力で動いていることが確認できた。

 前述の通り、AMDは今年の半ばまでにはPolarisの製品化を行ないたいという意向を示しているため、そうなると今年の6月に台湾で開催されるCOMPUTEX TAIPEI辺りで発表するのではないかと考えられる。楽しみに待ちたいところだ。

テストの詳細
左がGeForce GTX 950、右がPolaris、同じフレームレートで表示されている
左側がGeForce GTX 950の消費電力、右側がPolarisの消費電力

(笠原 一輝)