イベントレポート

【詳報】Skylakeは第6世代Coreプロセッサとして2015年後半に投入

〜BraswellはPentium/Celeronブランドで発表

Intel CEO ブライアン・クルザニッチ氏

 Intelは、中華人民共和国深セン市内のホテルにおいて、開発者向けのイベント“IDF15 Shenzhen”を開催している。中国のODMメーカーの工場などが集中している“モノ作りの本場”とも言える深センで開催されていることもあり、ハードウェア関連の話題が多数説明される。

 初日となる4月8日(現地時間)の午前中には、Intel CEOのブライアン・クルザニッチ氏による基調講演が行なわれ、新製品やロードマップなどについて説明がなされた。この中でクルザニッチ氏は、Intelが今年(2015年)後半に投入する予定の“Skylake”(スカイレイク:開発コードネーム)が、第6世代Coreプロセッサというブランド名になることを明らかにした。

 また、基調講演の中では紹介しなかったが、Intelは“Braswell”(ブラスウェル:開発コードネーム)で知られる2-in-1デバイス向けのSoCを、PentiumおよびCeleronのブランド名でリリースすることも明らかにした。

第6世代CoreプロセッサとなるSkylakeは今年後半に投入へ

 クルザニッチ氏は、IDF15 Shenzhenの基調講演の中で、今年後半に投入を計画している次世代プロセッサ“Skylake”に関するデモを行なった。Skylakeは、昨年(2014年)の9月に発表された「Core M」や、今年の1月に発表された第5世代Coreプロセッサ(Broadwell)の後継で、14nmプロセスの新アーキテクチャ製品となる。デモ自体は、昨年の9月にサンフランシスコで開催されたIDF14 San Franciscoでも公開されていたが、今回のIDF15 Shenzhenではそれに次ぐデモとなった。

 今回、このSkylakeが“第6世代Coreプロセッサ”というブランドになることを明らかにし、同時にMicrosoftが今夏にリリースを予定しているWindows 10の新機能であるWindows Hello(別記事参照)を動作させる様子を公開した。Windows Helloの生体認証機能は、Intelの3Dカメラ「RealSense」を利用して実現されているという。

 また、今後Skylakeと同時に導入されるワイヤレス給電(Rezence)やWiGigなどと組み合わせて利用すると、フルワイヤレスなPCが実現できるとアピールした。

Skylake世代で重要になる3つの技術、RealSense、WiGig、そしてRezence
Skylakeのブランド名は第6世代Coreプロセッサに。
Windows 10のWindows HelloのデモをSkylakeを搭載したノートPCで行なうクルザニッチ氏

Cherry TrailのPC版となるBraswellはPentium/Celeronブランドで投入

 基調講演では触れられなかったが、Intelのプレスリリースの中で、“Braswell”のコードネームで開発を続けてきた2-in-1 PC向けのSoCを、PentiumとCeleronのブランド名で投入したことを明らかにした。具体的には以下の4つのSKUが追加されている


Celeron N3000 Celeron N3050 Celeron N3150 Pentium N3700
コードネーム Braswell
製造プロセスルール 14nm
CPU CPUコア 2 2 4 4

ベースクロック 1.04GHz 1.6GHz

最大クロック 2.08GHz 2.16GHz 2.08GHz 2.4GHz

L2キャッシュ 2MB
GPU EU数 12 16

ベースクロック 320MHz 400MHz

最大クロック 600MHz 640MHz 700MHz
メモリ 最大メモリ 8GB

メモリタイプ DDR3L-1600
TDP(SDP) 4W(3W) 6W(4W)

 Braswellは、3月のMWCで発表されたAtom x7/x5(開発コードネーム:Cherry Trail)のPC向けバージョンで、14nmプロセスで製造され、SoCであるなど基本的なアーキテクチャはCherry Trailと同一だ。Cherry TrailのSDPが2Wであるのに対して、BraswellはSDPで3〜4W、TDPで4〜6Wになっており、ファンレス設計も可能。つまり、従来のBay Trail-MベースのPentium/Celeronを置き替える製品という位置付けになる。

 IntelはこのBraswellコアのPentium/Celeronを2-in-1デバイス、ノートPC、小型デスクトップ向けと位置付けており、今年の終わりまでに40デザインの製品が登場する予定であることなどを明らかにしている。

スマートフォン向けとなるより小型のIntel RealSenseモジュールを公開

 クルザニッチ氏の基調講演では、モバイルやIoTといった近年Intelが力を入れている分野に多くの時間が割かれた。中でも多くの時間が割かれたのはモバイル分野で、3月にスペインで行なわれたMWCで発表されたAtom x7/x5(Cherry Trail)やAtom x3(SoFIA)に関する紹介を行なった。

 クルザニッチ氏は「2014年に我々は4,000万台のIAベースタブレットの出荷を目指すことをターゲットにおいてきたが、最終的にはWindowsとAndroidを合わせると4,600万台のIAタブレットを出荷できた」と述べ、中国、特に当地の深センに多い中国のODMメーカーなどの協力によりその目標を達成できたことに謝意を示した。

 そして、Atom x3こと、SoFIAに話を移し、「Atom x3はAtomとしては初めてWi-Fi、Bluetooth、セルラーなどすべての無線通信機能が標準で搭載されている製品となる。既に20社/45デバイスのデザインウインを獲得している」と述べ、SoFIAが今月中に出荷開始されると、MWCの時と同じ見通しを明らかにした。その上で、現在開発中のSoFIA LTE(SoFIAのLTE版)のライブデモを行ない、内蔵されているLTEモデムでLTE-TDDモードで中国の通信キャリアChina Mobileの回線に接続してデータ通信できるという様子を披露した。

 また、Intelが推進する3DカメラのIntel RealSenseについても紹介し、IntelとしてはPCだけで、今後は積極的にモバイルへと進化させていくと説明した。クルザニッチ氏が行なったのは、JD.comというパートナーシップで開発した、倉庫管理のシステム。Intel RealSenseには、深度センサーが用意されており、それを活用すると、物体の縦横高さを計測することが可能になっている。その機能を利用して、倉庫にあるパッケージの大きさを計測して、効率の良い積み上げ方を仮想的に示すことが可能になっているという。クルザニッチ氏は「こうした例はあくまで一例で、今後さまざまなアプリケーションが登場するだろう」と述べ、RealSenseに対応したソフトウェアの開発を促した。

 クルザニッチ氏は「我々は今後より小さなRealSenseカメラを導入する計画がある。これにより、さらに多くの製品に対応できるようになる」と述べ、現在同社が開発中という小型のRealSenseモジュールを公開した。その上で、おそらくその小型RealSenseモジュールを使っているのであろうスマートフォンを公開し、今後はスマートフォンでもRealSenseが利用できるようになるとアピールした。

3月のMWCで発表されたCherry TrailとSoFIAが紹介される
SoFIA LTEをLTE-TDD(TD-LTE)モードでChina Mobileの回線に接続した
物体の大きさを測れるRealSenseの機能を利用したJD.comのアプリケーション。箱の大きさを計算して、積み方などをシミュレーションできる
Intel RealSenseの3Dカメラが実装されたスマートフォン
左が従来のIntel RealSenseのカメラ、右が今後登場するより小型のカメラ

SoFIA 3G-Rはスマホ/ファブレット向けだけでなく、IoT向けバージョンも投入予定

 次いで、クルザニッチ氏は、Atom x3で戦略的に提携した、中国の半導体メーカーRockchipを紹介した。RockchipはARMアーキテクチャのSoCを販売する半導体メーカーで、低価格製品をODM/OEMメーカーに供給しており、中国では大きなシェアを持っている。Intelは、昨年にこのRockchipと戦略的提携をすることを発表しており、SoFIA 3G-Rの開発コードネームを持つ、クアッドコア版SoFIA 3G(Atom x3-C3230RK)をRockchipが販売、サポートなどを担当する形になっている。クルザニッチ氏は「Rockchipはここ深センを始めとする中国のメーカーと良い関係を持っており、既に10のODMメーカーと契約を取り付けている。今後もIntelはRockchipと関係を深めていきたい」と述べ、RockchipのCEOのステージによび、その良好な関係をアピールした。

 クルザニッチ氏は「SoFIA 3G-Rは今月中に出荷されるが、それはまだスタートに過ぎない。我々はSoFIA 3G-RのIoT版を計画しており、AndroidやLinuxを使えるようにする。また、今年の後半に開発者向けのキットを提供する予定だ」と述べ、全天候向けの特別な稼働温度保証と7年間の継続製品提供を保証するSoFIA 3G-RをIoT(Internet Of Things)向けに提供することを明らかにした。

IntelとRockchipの戦略的提携
Rockchip CEOのミン・リー氏

メイカー向けのEdisonやCurieを採用した機器をデモ

 クルザニッチ氏が直接リーダーシップを執りビジネスを強化しているIoTについて話題を移した。Intelの半導体を搭載したゲートウェイを利用して、15のビルの温度などをセンサーで計測し、細かくエアコンをコントロールすることで、15%のエネルギーコストの削減に成功した北京のホテルの例などを紹介して、中国の産業界と協力していくことなどをアピールした。

 また、EdisonやCurieといった、いわゆるメイカー(Maker)と呼ばれる、小規模のハードウェア事業者や個人などをターゲットにした組み込みモジュールについても時間を割いてデモを行なった。

 Edisonは既に販売が開始されており、Curieは今年1月に行なわれたInternational CESで発表された新製品で、今年後半に投入が予定されている。クルザニッチ氏が行なったデモは、Curieが入っているリストバンドを利用して、Edisonをベースに作られているクリーチャーのラジコンを操作するもので、クルザニッチ氏が腕を突き上げるとクリーチャーも腕を上げたり、手を突き出すと停止するデモは聴衆に大きく受けていた。

 クルザニッチ氏は「IntelはMass Makerspace Acceleratorというプログラムを実行していく、これには1億2,000万人民元の投資を含んでいる」と述べ、日本円で約24億円もの投資を中国で行ない、それを開発者や学生などに対して提供していくことで、メイカー向けのビジネスに繋げていきたいと述べて講演を締めくくった。

北京のホテルでのIntelのゲートウェイの機能を利用した温度管理の例
中国でのコンテストで入賞したEdisonを採用したIoT製品の例
1月のCESで発表された、ボタン型コンピュータのCurie
Curieを搭載したブレスレットを着用し
ジェスチャーでラジコンのクリチャーが起立
クルザニッチ氏が腕を上げると、クリーチャーも腕を上げる
伏せのポーズをすると、クリーチャーが伏せ……本当に犬を調教しているようだった……
Mass Makerspace Acceleratorプログラムにより日本円で総額24億円にもなる投資を行い、中国のメイカーなどを育成する

Intel Reference Design for Androidの提供で、ODM/OEMメーカーの開発期間を短縮

 クルザニッチ氏の後には、Intel 上席副社長兼ソフトウェア・サービス事業本部 本部長 ダグ・フィッシャー氏の講演が引き続き行なわれた。

 フィッシャー氏は「昨年4,600万台のIAタブレットが出荷されたが、今後もその勢いを持続するために、さらにOEM/ODMメーカーが製造を容易にする仕組みを導入する」と述べ、いくつかのソリューションを紹介した。例えば「Intel Firmware Engine」は、OEM/ODMメーカーがAtomベースのタブレット、IoT、組み込み機器などを製造する際に簡単にファームウェア(PC的に言えばBIOS)を作るためのGUIツールで、無償で利用することができる。

 また、Androidデバイス向けには「Intel Reference Design for Android」というキットを用意し、それを使えばOEM/ODMメーカーが、ドライバなどを含んだAndroidのOSイメージを簡単に作ることができるという。フィッシャー氏は「GoogleがAndroidをアップデートしてから2週間以内に、Intel Reference Design for Androidにアップデートを適用する」と述べ、GoogleのAndroidアップデートと連動して、このリファレンスデザインのキットをアップデートすることで、OEM/ODMメーカーが素早く最新版のAndroid機器を設計、製造することができるようになるとアピールした。現在は、Bay TrailやCherry Trailなどがターゲットとなっているが、今後はそれをSoFIAのラインナップにも拡張していくという。

Intel 上席副社長兼ソフトウェア・サービス事業本部 本部長 ダグ・フィッシャー氏
IAのメリットは、複数のOSを1つのプラットフォーム上で利用できること。Intel Firmware Engineはそのファームウェアを簡単に作れるようにするツール
Windows向けには、BOMコストの削減、OSコストの削減、製造かかる時間の削減などにより低価格の製品が製造可能な環境を実現してきた。
IA AndroidのOSイメージをリファレンスとして提供するIntel Reference Design for Android、GoogleのOSアップデートから2週間でそれを反映していくという

(笠原 一輝)