イベントレポート

国内開発者向けイベントにもナデラCEO登場

~Windows Phone投入にも前向き

サティア・ナデラCEO

 日本マイクロソフトは10月2日、開発者向けシークレットイベント「de:code Special Edition ~マイクロソフト本社のエグゼクティブが語るエンジニアの未来~」を開催した。

 会場には米本社のCEOであるサティア・ナデラ氏が登場し、Windows 10について「私にとっては最も重要なWindowsのリリースとなる。ユーザーは携帯電話、PC、TVと利用するデバイスを移動しながらも、一貫性のある体験ができる。そして一番重要なのはユニバーサルアプリケーションに対応しているということだ。タッチ操作、音声操作など色々なモードで利用できる。マウスとキーボードを使いながらも、リッチなフォームファクタにまたがって操作ができる」と新しい方向性をアピールした。

 今回のイベントは一部の開発者を対象に開催されたもので、ナデラCEOが登場したのはイベントの冒頭の1時間弱。客席から登場したナデラ氏は、立ち上がった参加者のハイタッチに迎えられてステージに上がった。

伊藤かつら氏

 日本マイクロソフトの執行役 デベロッパー エクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏からの質問に答える形式で日本の開発者に向けたメッセージを送った。

 まず、前日の記者会見でも言及したMicrosoftのコアを、「プロダクティビティとプラットフォーム」と改めて説明した。

 そしてプラットフォームとして従来のようにWindowsだけでなく、Azureがオープンソース、Linuxにも対応していることを挙げ、「一体、どこの会社の開発者イベントに来たのかと戸惑う人もいるかもしれないが、これまでWindowsの開発をしてこなかった皆さんにも、既存の資産を活かして、素晴らしい仕事をしてもらいたい。開発者の皆さんに、一番広いチャンスを提供しているのが我々だ」とオープンな姿勢でプラットフォームビジネスを行なっていることをアピールした。

Microsoftの“コア”
ナデラCEO

 伊藤氏から、「改めて、これまで日本マイクロソフトとは全く付き合いのない開発者の皆さんにとって魅力とはどんなものか?」と質問を受けると、ナデラ氏は「我々は大きなチャンスを提供することができる」と返答した。

 「我々のプラットフォームを活用することで、日本で開発を始め、リリースを行ない、その後、世界展開をすることも可能となる。我々のクラウドはオープンソースであり、Linuxでも高いレベルのサービスを提供することも可能で、IoTとの連動などほかのプラットフォームにはない差別化要因もある。ビジネス向けだけでなく、Unityのようなゲーム開発のために必要なエンジンにまで、幅広く対応している」。

 「Windows 10についてコメントを」というリクエストに対しては、最初に「ワーオ!」と声をあげて笑顔を見せた。

 「Windows 10は、私とって最も重要なWindowsのリリースとなる。10にはこれまでにはなかった一貫性のある体験をさまざまなデバイスで実現する。モビリティの際にデバイスではなく、人間のモビリティそのものに対応している。ユーザーが携帯電話、PC、TVと移動していく際に、体験が一貫していること大事だ。この体験の一貫性は法人向けでも重要なポイントであり、Windows 10によってすべてのフォームファクタで実現していく」。

 体験の一貫性と共に、ナデラ氏が強調したWindows 10のポイントが、ユニバーサルWindowsアプリケーションだった。

ユニバーサルWindowsアプリケーション
ナデラCEO

 「タッチや音声など色々な操作モードを利用していくことが可能で、マウスとキーボードを使って操作している場合でも、リッチなフォームファクタにまたがって作業が行なえる」。

 しかも、Windows 10のテストプログラムがすでに提供開始されていることから、「待つことなく、今日からスタートができる」とすぐに取り組みを開始することを開発者に呼びかけた。

 日本での提供が遅れているWindows Phoneについて質問されると、「Windows Phoneの日本での投入をどうすべきか、日本で会議をするたび、話題になっている。今回の来日で、新たに投入したWindowsタブレットのシェアが伸びていることを聞いて嬉しく思った。NEC、富士通といった日本のベンダーがとても良い仕事をしてくれていることも聞いて、大変嬉しく思っている。こうした実績があるだけに、Windows Phoneにも期待できる。Windows Phoneのための日本でのエコシステムが必要とされている。どうすれば日本で差別化されたビジネスができるのか、色々なフィードバックから学んでいきたい」と前向きに取り組んでいることを強調した。

 日本の若者に向けたメッセージとしては、「今は投資など、新しいことを起こすための環境が揃っている大きなチャンスがあるタイミングではないか」と話し、新たなビジネスに踏み出すことを呼びかけた。

(三浦 優子)