イベントレポート
Xeon E5-2600 v3がデータセンターの変革を加速する
~IDFで発表会開催。従来に比べて最大3倍の性能を実現
(2014/9/9 12:02)
Intelは9月9日~11日(現地時間)の3日間に渡り、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市にあるモスコーンセンターウェストにおいて、Intel Developer Forum(IDF)を開催する。IDFは、製品の開発者や担当者などに対してIntelの技術や戦略を説明する場となっている。
それに先立つ9月8日(現地時間)には、世界各国から集まっている報道関係者向けに、8日に発表された2ソケット向けサーバー製品「Xeon E5-2600 v3」(開発コードネーム:Haswell-EP)の発表会が行なわれた。
Xeon E5-2600 v3の詳細な説明に関しては、別記事が詳しいのでそちらを参照していただくとして、ここではXeon E5-2600 v3の発表会の模様と、その中で公開された性能データについて紹介していきたい。
前世代に比べて最大で3倍の性能向上を実現しているXeon E5-2600 v3
Xeon E5-2600 v3は、複数あるIntelのサーバー向けマイクロプロセッサの中で、2ソケットの主力モデルという位置づけになる。開発コードネームはHaswell-EPで、現行製品のXeon E5-2600 v2(開発コードネーム:Ivy Bridge-EP)の後継製品だ。
発表会で壇上に立ったIntel 上席副社長兼データセンター事業本部 事業本部長 ダイアン・ブライアント氏は「Xeon E5-2600 v3は、CPUコアが最大で18個、キャッシュが最大45MB、メモリがDDR4-2133に対応するなど強化され、電力効率も改善している。また、サーバー向けだけでなく、ストレージや通信機器用としても同じインフラを利用できる」と述べ、その性能の高さと柔軟性をアピールした。
「Xeon E5-2600 v3では従来世代と比較して最大で3倍の性能向上を実現しており、さらに最新のIntel SSDソリューションと組み合わせることで、スループットは6倍に、レイテンシは2分の1になる。さらに同時に発表した40Gbit Ethernetコントローラと組み合わせることで、仮想化時のネットワーク性能を引き上げられる」と数字に言及しながら性能の高さをアピールした。
Xeon E5-2600 v3を搭載したOEMメーカーのシステムでベンチマークを行なったところ、世界記録を27も破ったとのこと。さらに電力効率を測るベンチマークプログラムSPECpower_ssj2008では、公式なデータとして公開されているどのシステムよりも高いスコアを出したとして「世界で最も電力効率に優れたサーバー」(ブライアント氏)とした。なお、性能データの詳細に関してはWebサイトで公開されている。
「ビッグデータ分析で110%、科学分野で47%、金融で54%、製造業のシミュレーションで78%、通信で36%の性能向上を果たしている」として、具体的なアプリケーションを挙げた。ブライアント氏が紹介したソフトウェアやその数値は以下のようになる。
・Cloudera Hadoop(ビッグデータ分析):110%
・Neusoft CT(科学演算):47%
・Sungard(金融):54%
・LS DYNA(製造業シミュレーション):78%
・Huawei FusionSphere(通信):36%
32の標準SKUだけでなく、20もの特定顧客向けオフSKUが用意されている
次いでブライアント氏は、同社がSDI(Software Defined Infrastructure)と呼んでいる、サーバーだけでなく、ネットワーク機器やストレージなどをソフトウェア+Xeonの組み合わせで実現することで、より柔軟なITのインフラを構築できるビジョンに話を移した。現在IT業界は、ハードウェアで実現されているネットワーク機器から、ソフトウェアにより機能を増せるソリューションへと転換が進んでおり、Intelはその分野にXeon E5-2600 v3を売り込んでいる状態だ。
ブライアント氏は「コンピュートサーバーに利用するには高性能で低消費電力のDDR4や、LINPACKで19%の性能向上を実現するAVX2が利用できるというメリットがある。ストレージに利用するなら、CPUからI/Oのスループットを改善するData Direct I/Oや、ソフトウェア開発を容易にするIntelligent Storage Acceleration Libraryがメリットになる。さらにネットワーク機器に利用するならQuickAssist テクノロジが36%性能を改善でき、Data plane Development Kit V1.7により開発が容易になる。共通のアーキテクチャを複数の用途に利用できるのが大きなメリットだ」と、Xeon E5-2600 v3を利用してSDIを構築するメリットをアピールした。
また、「Xeon E5-2600 v3では32の標準SKUを用意するほか、特定用途向けの追加SKUを特定の顧客に提供する。昨年(2013年)の11月には15の特定顧客向けSKUを用意していたが、Xeon E5-2600 v3ではそれに加えて20の特定顧客向けSKUを提供する。これにより、特定の顧客のニーズに合わせた製品を提供できるようになると考えている」と述べ、Intelが近年対応を進めている特定顧客へのオフSKU(標準提供品ではないSKUのこと)の提供プログラムをさらに拡大していく方針を示した。
このほか、ブライアント氏はサーバーの状態をこれまでよりも詳しく管理することが可能になる「ノードマネージャ3.0」や、ノイジーネイバーと呼ばれるキャッシュなどのリソースを占有してしまう現象に対応するキャッシュモニタリングなどに関しての説明を行なった。
OEMメーカーから65のシステムが即日出荷開始、その後250システムが出荷
最後にブライアント氏は製品スケジュールについて触れ、「すでにOEMメーカーからの65のシステムが出荷準備が整っており、今後30日以内にさらに77の出荷準備が整い、さらにそれ以後には250のシステムの出荷準備が整う予定だ」と述べ、即日OEMメーカーから搭載システムが発表、出荷される見通しであることが明らかにされた。
Intelのリリースによれば、Bull、Cray、Cisco、Dell、富士通、日立製作所、HP、Huawei、IBM、Inspur、Lenovo、NEC、Oracle、Quanta、Radisys、SGI、Sugon、Supermicroなどからサーバー、ストレージ、ネットワーク機器などが発表、出荷される見通しだ。