イベントレポート

【詳報】NVIDIA、KeplerアーキテクチャGPUの次世代SoC「Tegra K1」

〜PS3、Xbox 360の性能を超える

NVIDIAの社長兼CEOのジェンスン・ファン氏により、Tegra K1が発表された
会期:1月7日〜10日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center、The Venetian、Pallazo

 米NVIDIAは1月5日(現地時間)、ラスベガスで記者会見を行ない、SoC「Tegra」シリーズの新モデル「Tegra K1」を発表した。

 NVIDIAの社長兼CEOのジェンスン・ファン氏は、NVIDIAは世界初のデュアルコアSoC「Tegra 2」、世界初のクアッドコアSoC「Tegra 3」、さらに性能を2倍に向上させた「Tegra 4」と、Androidモバイル機器の性能向上に力を注いできたと指摘。そして、その次の世界を切り開くSoCとして発表されたのが、Tegra K1だ。

 Tegra K1の最大の特徴は、192個のCUDAコアGPUを内蔵している点だ。このGPUは、PC向けGPU「GeForce GTX 780 Ti」などと同じ、「Kepler」アーキテクチャを採用している。これにより、モバイルからスーパーコンピュータまで同じKeplerアーキテクチャでのGPUコンピューティングが可能になるとともに、モバイルの描画環境が、PCやスーパーコンピュータと同等の、シネマクオリティの3D描画が可能なまでに一気に向上されることになる。

 DirectX 11やOpenGL 4.4などもフルサポートしており、最新のPCゲームなどで採用されている高度な3G描画機能もそのまま利用可能。性能は、GFXBench 3.0でAppleのA7約3倍に達し、旧世代据え置きゲーム機のPlayStation 3やXbox 360の性能をも上回るという。

192 CUDAコア内蔵の次世代SoC「Tegra K1」
Tegra K1の描画性能は、GFXBench 3.0の結果でApple A7の約3倍
CPUやGPUの性能は、Playstation 3やXbox 360をも上回り、消費電力はわずか5Wとなる

 また、PCやスーパーコンピュータと同じアーキテクチャになることで、モバイル向け開発環境の垣根が取り払われ、どのプラットフォームでも動作するようなアプリが簡単に開発できるようになるという。これは、特に開発費が高騰しているゲームなどで、簡単にマルチプラットフォーム化ができ、より多くの顧客獲得のチャンスにつながるという意味で、非常に大きな利点になると指摘した。

 その言葉を裏付けるように、Epic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine 4」のTegra K1への提供が発表された。完全な物理演算、ジオメトリシェーダーやHDR、マルチレンダーターゲットといったPCのGPUで実現されている多くの3D描画機能の多くをそのまま実装しており、従来までのSoCとは次元の異なる映像表現が可能だとする。実際にUnrealEngine4を利用したリアルタイムデモ画像が公開されたが、人間の顔の肌の質感や表情の変化、物体への光の反射や周辺環境の映り込みなど、モバイル向けSoCで描画されているとは思えないほどクオリティの高い映像が実現されていた。

Epic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine 4」がTegra K1にも提供されると発表
Unreal Engine 3がモバイル環境に対応するのに約8年かかったのに対し、Tegra K1の登場でUnreal Engine 4は2年で対応。開発環境の垣根が取り払われ、モバイルも含めたマルチプラットフォームの開発が容易になると指摘
Tegra K1によるリアルタイム描画デモの画像。肌の質感や影、表情など写真クオリティが実現されていることが分かる
PCゲームで使われている高度な描画機能もそのまま利用可能。PCクオリティのゲームが容易に実現できる
【動画】Tegra K1描画デモ その1
【動画】Tegra K1描画デモ その2

 Tegra K1には、CPUとしてARM Cortex-A15を4コア内蔵する32bit版モデルと、64bit ARMアーキテクチャベースのNVIDIA独自開発CPU「Denver」コアを2コア内蔵する64bit版モデルが用意され、双方とも完全ピン互換となる。動作クロックは、32bitモデルが最大2.3GHz、Denverデュアルコアの64bitモデルが最大2.5GHz。GPUの仕様はどちらも同じ。消費電力は5Wとされている。搭載製品の発売時期は、32bit CPUモデル搭載製品が2014年上半期、64bit CPU搭載製品が2014年下半期を予定している。

ARM Cortex-A15を4コア内蔵する32bit版Tegra K1。詳細は未発表だが、4コアCPUにコンパニオンコアのような小さなコアも1つ搭載されるようだ
こちらは、Denverコアを2コア内蔵する64bit版Tegra K1。64bit版にはコンパニオンコアのようなものは搭載されないようだ。GPUの構造は32bit版、64bit版とも同じ
動作クロックは、A15クアッドコアモデルが最大2.3GHz、Denverデュアルコアモデルが最大2.5GHz
発表会では、Denverデュアルコアの64bit版Tegra K1でAndroidを動作させるデモも行なわれた
Tegra K1を搭載するタブレットの試作機も展示

 発表会ではこのほかに、車載向けSoCの新モデル「Tegtra K1 VCM」が発表されるとともに、PCゲームをTV画面でプレイできる「GameStream」や、GPUと液晶モニターとの間で描画の同期を調整しスムーズな表示を可能にする「G-SYNC」なども紹介された。それらは写真で紹介する。

GameStream
PCゲームをNVIDIAの携帯ゲーム端末「SHIELD」経由でTVで楽しめる「GameStream」
家庭用ゲーム機のように、大型TVでSHIELDをコントローラ代わりにPCゲームをプレイできる
ゲーム自体は離れた場所のPCで動作。1080pの映像でも遅延も少なく快適にプレイできるという
SHIELDでグリッドサーバ上で動作するゲームをプレイするデモも行なわれた
発表会では、フランスに設置されたグリッドサーバ上のゲームをプレイするデモを行なったが、コマンド入力から画面の表示まで遅延は30ms程度とのこと。実際にスムーズにプレイできていた
G-SYNC
GPUと液晶ディスプレイの間で同期タイミングを合わせスムーズな表示を可能とする「G-SYNC」。従来の発表時より対応メーカーが増えた。また対応製品の発売時期も公表され、27型WQHD(2,560×1,440ドット)、27型フルHD(1,920×1,080ドット)、24型フルHD対応モデルが2014年第2四半期に登場となる
Tegra K1 VCM
車載向けSoC「Tegra K1 VCM」。384GFLOPSの処理能力を発揮する
カメラやセンサーなどを利用し、前方の車や車線、標識などを認識し、ドライバーにさまざまな情報をリアルタイムに提供する
いわゆる「高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)」のようなものも用意に実現できる処理能力を誇る
Tegra K1 VCMの優れた演算能力を活用し、ダッシュボードのパネルをCG化し自由にカスタマイズできる「Projest Mercury」も紹介された

(平澤 寿康)