イベントレポート
Intel、2013年のPCプラットフォームに関する記者向け説明会を開催
(2013/3/8 00:30)
Intelは、ドイツで開催中のCeBIT 2013の会場において記者説明会を開催し、2013年のクライアントPC向けプラットフォームに関する計画を説明した。
UltrabookがノートPC全体の薄型化のトレンドを牽引する
記者説明会では、モバイルPC、デスクトップPCそれぞれの担当者が登壇し、同社の製品計画に関して概要を説明。レジス氏は同社が計画している第4世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Haswell)ベースのUltrabookの計画を紹介した。
「2011年に最初のUltrabookを世に送り出し、現在は第3世代Coreプロセッサを搭載した製品を出荷済みだ。そして今年は第4世代Coreプロセッサを搭載したUltrabookを発表する予定で、シリコンに多くの改良を加えることで、より長時間バッテリ駆動ができるようになる」と、Ultrabookがより魅力的な製品になるとアピールした。
さらに「従来のノートPCは35mmが平均的な厚さだったが、今やそれが20mm台になっている。また、採用されているプロセッサも、従来はULVと呼んでいた17WのUプロセッサの全体に占める割合は増え続けている。こうしたトレンドを牽引しているのがUltrabookだ」と述べた。
その上で、Intelが2013年1月のInternational CESで発表したSDP(Scenario Design Power)で7Wを実現するYプロセッサの存在について触れ「第3世代Coreプロセッサで導入を開始したSDP 7Wのプロセッサにより、OEMはさらに小型化を進めることができる」と述べ、その例としてAcerのAspire、LenovoのIdeaPad Yogaなどを紹介した。
第4世代Coreプロセッサ世代のUltrabookではタッチが標準搭載
レジス氏は「IntelがUltrabookの推進において何よりも重視しているのはよりよいユーザー体験だ。ユーザーに調査をしたところ、タッチ機能を求めるユーザーがほとんどであることが分かったので、Haswell世代では標準搭載する」と説明し、CESで発表された計画を引き続き強調した。
「我々の調査では80%近いユーザーがWindows 8ではタッチがあった方がよいと考えている。フォームファクタで見ていくと、44%がコンバーチブル型のUltrabook、31%がタッチ対応クラムシェル、22%がピュアタブレット、そして4%がタッチなしのUltrabookだった。だから我々は第4世代Coreプロセッサ世代のUltrabookではタッチが必要だと考え、それが搭載されるように手を打った。ユーザーが購入する第4世代Coreプロセッサ搭載Ultrabookはタッチ対応であることが保障されている」(レジス氏)と述べ、Intelが“Ultrabook=タッチ”というイメージを打ち出していきたいことを盛んにアピールしている。
そして、第4世代Coreプロセッサを搭載した製品の例として、1月のInternational CES(別記事参照)でも紹介したハイブリッドPCのリファレンスデザイン「North Cape」(開発コードネーム:ノースケープ)を紹介した。
デスクトップPCには引き続き投資を続けるが、従来の形ではないではないPCに
Intelデスクトップクライアントプラットフォーム部長のアナンド・シェリーバトゥサ氏は、同社が今年の半ばにリリースを予定している第4世代Coreプロセッサに関して「デスクトップPCでは、特にマニア向け製品がより柔軟にオーバークロックをできるようになることが特徴。GPUに関してはここ数年非常に大きな性能向上をしているが、さらに前世代に比べて2倍の性能向上を実現するだろう」とアピールした。
また、普及に向けてIntelが盛んにアピールを続けてきたThunderboltに関しても、引き続き普及を目指す姿勢を明らかにし、2013年にはデスクトップPCやマザーボードレベルでThunderboltを搭載した製品が増えていくだろうとした。
シェリーバトゥサ氏は製品開発について「我々は引き続きデスクトップPC向けの投資を続けていく。すでに多くのセグメントに多数のSKUを用意しており、消費電力の選択肢も増えている。現在でも米国の80%の家庭にはデスクトップPCがあり、それがもっと便利に、よりセキュアに使えることが求められている」と述べている。
ただし、それは従来の形のタワー型のデスクトップPC向けのソリューションを提供し続けていくということではないという。
「デスクトップPCにも新しいニーズが出てきている。液晶一体型PCもそうだし、ビジネス向けによりセキュアなPCも求められている。そのような新しいデスクトップPCのソリューションを提供していきたい」と述べ、例としてLenovoやソニーなどが提供している、画面を机に水平においてゲームなどを楽しめるAdaptive AIO(環境適応性の高い液晶一体型PC)と呼ばれるソリューションをOEMメーカーと一緒に推進していくと述べた。
CeBITで許可されていたこと、許可されていなかったこと
なお、CeBITの会場ではすでにいくつかのマザーボードベンダーによって「Intel 8」シリーズ・チップセット(開発コードネーム:Lynx Point)を搭載したマザーボードの展示が行なわれていたのだが、それらに関する具体的な説明は今回はなかった。
すでに別記事でも触れている通り、今回のCeBITではいくつかのマザーボードベンダーが、第4世代Coreプロセッサに対応するIntel 8シリーズ・チップセットを搭載したマザーボードを展示した。
やや奇妙だったのは、出展してIntel 8シリーズ・チップセット搭載マザーボードを展示したベンダー(ASRockやBIOSTAR)、出展はしたが展示しなかったベンダー(MSI)、出展はしなかったが会場外で特定の顧客や報道関係者にのみ見せていたベンダー(GIGABYTE)、出展したにも関わらず展示しなかったがネットでのティザー広告を始めたベンダー(ASUSTeK)とそれぞれ対応が分かれたことだ。
このように対応が別れた理由は、今回のCeBITでIntel 8シリーズ・チップセットへ焦点を当てた発表や報道関係者向けの説明などをしないとIntelが決めたためだ。そのため、保守的なベンダー、積極的なベンダー、その中間のベンダーとで対応が分かれたのである。
なお、あるOEMメーカーの関係者によれば「Intelのガイドラインでは、実際に動作するデモは禁止されているが、動いていない状態でのデモは禁止されていない。ただし、一般的には正式発表前の製品には秘密保持契約を結ばされており、Intelの許可が出ない限りは展示できない」ということだったようで、前半の“動かなければOK”という部分を拡大解釈したベンダーは展示したし、後者の包括的な秘密保持契約を遵守するという姿勢のベンダーはしなかったというのが真相のようだ。
ただ、今回どこのブースでも第4世代CoreプロセッサとIntel 8シリーズ・チップセット搭載マザーボードで動作しているデモを行なったベンダーはなく、いずれも“最低限”の決まりは守って展示が行なわれていた、とは言えるだろう。