イベントレポート

ASUS、通話機能付き7型タブレット「Fonepad」を249ドルで発売

〜フルHD液晶の「PadFone Infinity」も

Fonepad
会場:スペイン バルセロナ Fira Gran Via

会期:2013年2月25日〜28日(現地時間)

 台湾ASUSは25日(スペイン時間)、MWC 2013が行なわれている会場近くのホテルで記者会見を開催し、通話機能も搭載したSIMロックフリーの7型液晶タブレット「Fonepad」を発表し、3月よりアジア太平洋地域において249ドルという格安価格で販売することを明らかにした。

 Fonepadは、IntelのAtom Z2420(1.2GHz)+XMM6265(3Gモデム)を搭載しており、1GBメモリ、8GBないしは16GBのストレージを備えた7型タブレット。タブレットながらスマートフォンと同じような通話機能を備えている。タブレット用途がメインで、電話はたまにしか使わないというユーザーにとっては魅力的な製品だ。

 また、現在日本でも販売されている「PadFone 2」の後継となる「PadFone Infinity」も発表した。PadFone Infinityは、従来の720p液晶が1080pへと強化されているのが最大の特徴だ。

通話機能付きで249ドルという衝撃的な価格設定

 発表会において、ASUS会長のジョニー・シー氏は「我々はPadFoneのような画期的な製品を出してきた。1つの契約(1枚のSIMカード)があることで、スマートフォンとしてもタブレットとしても利用することができる。この使い勝手をタブレット単体でも実現する製品を作ることにした。それがFonepadだ」と開発の背景を紹介した。

 Fonepadのコンセプトは、7型のタブレットだが、音声通話もできるというものだ。逆に言えば、7型液晶を搭載したスマートフォンとも言える。こうしたコンセプトは別に珍しいものではなく、例えばSamsungがMWCの開幕前日に発表した「Galaxy Note 8.0」にも通話機能が用意されている。しかしFonepadが他製品と一線を画しているのは価格だ。シー氏が「音声通話ができるスマートフォンと7型のタブレット、併せて買ったらいくらになるだろうか……。我々はこれを249ドルという画期的な価格で販売する」と述べると、詰めかけた報道関係者からは賞賛の拍手が起きた。

 現在7型のタブレット市場は、非常にハイレベルな価格競争が起こっており、ASUS自身がGoogleと組んで販売したNexus 7は、199ドル(8GBモデル、日本では19,800円)という価格で販売されており、市場に大きな衝撃を与えた。また、Nexus 7の3Gモデム内蔵版は299ドルの価格で販売されているが、このFonepadはそれを下回っており、十分驚くに値する価格設定と言えるだろう(ただしNexus7の3Gモデム版は内部ストレージが32GB)。

【表1】ASUSが公表したFonepadのスペック
Fonepad
SoC Intel Atom Z2420(1.2GHz)
モデム XMM6265
帯域 WCDMA(850/900/1,900/2,100MHz)
GSM/EDGE(850/900/1,800/1,900MHz)
SIMカード microSIM
OS Android 4.1
スクリーン 7型(1,280×800ドット、IPS)
メモリ 1GB
ストレージ 8GB/16GB
外部メモリ Micro SDHC
サイズ 196.4×120.1×10.4mm(幅×奥行き×高さ)
背面カメラ 300万画素(一部モデルのみ)
前面カメラ 120万画素
通信 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0
ポート Micro USB(OTG)、ヘッドフォン
バッテリ 16Wh(4,270mAh、リチウムポリマー)
重量 340g
センサーその他 GPS with GLONASS、加速度、近接センサー、環境光、コンパス
Fonepadを手に持ちアピールするASUS 会長のジョニー・シー氏
PadFoneがあるのだから、Fonepadがあってもいいだろうと、シー氏
このように音声通話をタブレットだけでしてしまうという発想で作られている
Nexus 7の3G版が299ドル、HDパネルのスマートフォンが399ドルで、Fonepadがいくらになるのか、とシー氏は謎かけを行ない……
8GB/3Gモデム内蔵で249ドルからと発表すると、会場からは歓声が起こった
アジア太平洋地域でリアカメラが付いて249ドルの価格で3月より販売開始

IntelのLexingtonことAtom Z2420を採用してローコストな設計を実現

 Fonepadで低価格を実現した最大の理由は、IntelのAtom Z2420(1.2GHz)と3Gモデムである「XMM6265(3G)」を採用した点である。コードネーム「Lexington」で知られるこのプラットフォームは、もともと100ドルを切るような低価格なスマートフォン向けに開発されたものだ。

 ただ、Atom Z2420はシングルコアながらHyper-Threadingに対応していて、シングルコアでも高い性能を発揮することができる。一般的なAndroidデバイスに採用されているARMアーキテクチャとは異なり、Intelアーキテクチャ(IA)となるが、最新のAndroidではARMとIAの差は小さくなっているほか、ほとんどのGoogle Playで公開されているアプリはIAに対応し、そのまま利用することができる。

 ただ、動画のアクセラレーションを行なうような、ハードウェアを直接叩くタイプのアプリケーションではIAへの対応が必要になる。例えば、有名な「MX動画プレイヤー」はIA用の動画コーデックが別途用意されており、それを導入することで動画デコードをハードウェアを利用して行なうことができる。そのため、実際のユーザーの環境ではその違いを実感することはほとんどない。

 その他のハードウェアの仕様としては、メインメモリが1GB、内部ストレージは8GBまたは16GBとなる。microSDカードスロットが用意されており、最大32GBを増設することが可能だ。背面カメラは一部のモデルで300万画素のセンサーが用意されている。前面カメラは120万画素で、すべてのモデルに装着されている。

 内蔵バッテリは16Wh(4,270mAh)とかなり大容量で、一般的な用途には十分すぎるバッテリを搭載している。シー氏は「3Gの音声通話で31時間、HDビデオの再生では9.8時間の再生が可能だ」と述べ、30Wh近いバッテリを搭載する10型タブレットに匹敵するようなバッテリ駆動時間を実現していると説明した。

 なお、本体の厚さは10.4mmと、最新のタブレットとしては決して薄いほうではないが、低価格な7型タブレットとしては十分な薄さを実現している。Nexus 7が10.45mmであるので、ほぼ同じ厚さと考えていいだろう。重量は340gとNexus 7の334gと比べると若干の増加となっているが、こちらもほぼ同じである。

 3月からアジア地域で販売を開始する。なお、ASUSがアジア太平洋地域という場合には、本拠地の台湾が最初で、それから中国などに広げていくことが通例で、日本がその中に含まれることは少ない。日本でいつ頃から販売開始されるかなどに関しては未定で、現地のASUSの関係者も日本で販売されるかどうかは分からないということだった。日本でも7型のタブレットは非常に熱い市場の1つになっているので、ぜひとも販売されることに期待したい。

大容量のバッテリを積んでいることもあり、長時間のバッテリ駆動が可能
Fonepad。7型のHD液晶(IPS)を搭載している
IntelのSoCを使っている製品に入っているIntelロゴが彫り込まれている底面。このモデルは背面カメラなしだが、249ドルのモデルには300万画素の背面カメラが用意される
充電はMicro USBポートから行なう。右側に見える穴はヘッドフォン端子
左側面には電源ボタンとボリュームボタン
底面上部の蓋を外すとmicroSDカードスロットとmicroSIMスロットにアクセスできる
OSはAndroid 4.1.2、もちろんIA版となる
3Gモデムを内蔵しているので、3Gネットワークの設定項目も用意されている
展示されているグローバルモデルにも日本語の選択肢が用意されている。日本でも無線の認定さえ取得できればすぐに販売できそうな状態だった

PadFone 2がフルHDに進化したPadFone Infinity

 ASUSのシー氏はFonepadのアナウンスの前に、PadFone Infinityを発表した。ASUSのPadFoneシリーズは、単体のスマートフォンとしても使えるほか、ディスプレイを備えたドッキングステーションにドッキングすることでタブレットとして使える製品。日本でも第2世代のPadFone 2から販売が開始されている。

 従来のPadFone 2では、本体側もディスプレイ側も720p対応HD液晶(1,280×720ドットまたは800ドット)を採用していたのに対して、PadFone InfinityではフルHD対応の液晶を採用しており、より高精細なコンテンツ再生を楽しめることが特徴。本体側は1,920×1,080ドット(フルHD)の5型で、ディスプレイドック側の方はフルHDを上回る1,920×1,200ドット(WUXGA)の10.1型ディスプレイだ。

 SoCにはQualcommが1月に発表したSnapdragon 600が採用されており、1.7GHzでクアッドコアの構成となっている。シー氏によれば「世界で最初に出荷されるSnapdragon 600搭載スマートフォンだ」とのことで、発表会にはQualcomm CEOのポール・ジェイコブズ氏も呼ばれ、その発表を共に祝福するというセレモニーが行なわれた。

【表2】Padfone Infinityのスペック
PadFone Infinity(本体のみ) PadFone Infinity(ドック)
SoC Qualcomm Snapdragon 600(1.7GHz)
モデム 内蔵
帯域 EDGE/GPRS/GSM (850/900/1,800/1,900MHz)
WCDMA (900/2,100MHz)
LTE (800/1,800/2,100/2,600MHz)
SIMカード nanoSIM
OS Android 4.2
スクリーン 5型(1,920×1,080ドット、SuperIPS) 10.1型(1,920×1,200ドット、SuperIPS)
メモリ 2GB
ストレージ 32/64GB
外部メモリ - -
サイズ 143.5×72.8×6.3〜8.9mm(同) 264.6×181.6×10.7mm(同)
背面カメラ 1,300万画素(ソニー BSIセンサー)
前面カメラ 200万画素 100万画素
通信 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、NFC
ポート MyDP(Micro USB)、ヘッドフォン Micro USB
バッテリ 2,400mAh 5,000mAh
重量 141g 530g
センサーその他 GPS with GLONASS, 加速度, 近接センサー, 環境光, ジャイロ、コンパス 環境光、コンパス

 シー氏によればPadfone Infinityの予定価格は999ユーロ(日本円で約12万円強)で、2013年の4月にヨーロッパでは出荷予定だという。その他の地域に関しては具体的に触れられておらず、日本で発売されるのかに関しても現地のASUSスタッフは情報を持ち合わせていないとのことだった。

Qualcomm CEOのポール・ジェイコブズ氏(左)と、シー氏(中央)、中国でPadFone Infinityを販売するキャリア(China Unicom)の関係者がよばれてセレモニーが行なわれた
PadFone InfinityはQualcomm Snapdragon 600を世界で初めて搭載し、LTE(下り100Mbps)に対応
価格が999ユーロ(日本円で12万円強)だと発表されると、報道関係者の間からは“高い”の声が飛び交っていた。スペックを考えれば不思議ではないが、Fonepadでは逆の路線なので、そういった声が大きいのは否定できない
PadFone Infinityの本体部分、5型のフルHD液晶を搭載している
ドッキングコネクタ部分
左端に穴が空いているソケットにnanoSIMを挿入して利用する
ヘッドフォン端子
ボリュームボタンと電源ボタン
このようにドッキングしてタブレットにして使う。前モデルと比較してドッキング時の出っ張りの処理がスムーズになった印象
ドッキング後はWUXGAのタブレットとして利用できる
OSはAndroid 4.1.2
グローバルモデルにも言語選択で日本語が用意されている

(笠原 一輝)