イベントレポート
ソニー、フラッグシップスマートフォン「Xperia Z」や新型Ultrabookを発表
(2013/1/8 17:21)
Sonyは、International CESの開催前日となる1月7日(現地時間)に、会場となるLas Vegas Convention Center内のSonyブースにおいて発表会を開催。映像関連の新製品に加えて、スマートフォン「Xperia」シリーズの最新モデルや、ノートPC「VAIO」の北米市場向け2013年春モデルなどを発表した。
Xperiaシリーズのフラッグシップモデル「Xperia Z」
通常、International CESでのSonyプレスカンファレンスでは、映像関連の新製品を最初に発表されることが多い。しかし今回は、トップバッターとしてスマートフォンの最新モデル「Xperia Z」および「Xperia ZL」が発表された。
Xperia Zは、LTE対応Xperiaシリーズのフラッグシップモデルとして、2013年第1四半期に日本を含めた世界市場で発売予定のスマートフォン(日本での対応キャリアは未発表)。
本体デザインは、従来までの弧を描くような背面のArcデザインではなく、フラットな形状を採用している。ただ、液晶面だけでなく背面側にも強化ガラスが採用されており、シンプルながらデザイン性に優れる。カラーは黒、白、パープルの3色が用意される。
スペック面は、フラッグシップモデルらしくかなり充実している。プロセッサはQualcommのクアッドコアプロセッサ「Snapdragon S4 Pro」(APQ8064 1.5GHz)を採用し、RAMは2GB、ROMは16GB。外部メモリとして32GBまでのmicroSDを利用可能。
液晶は、フルHD表示対応の5型TFT液晶を採用。Xperiaシリーズでおなじみの、液晶と表面ガラスを密着させて乱反射を防ぎ、表示品質に優れるReality Displayで、高画質化機能の「モバイルBRAVIAエンジン2」も採用しており、発色は非常に鮮やかだ。5型でフルHD表示に対応しているため、画素は全くと言っていいほど認識できず、非常に滑らかな文字や映像が表示される。
【お詫びと訂正】初出時に、IPS液晶としておりましたが、TFT液晶の誤りです。お詫びして訂正させて頂きます。
カメラは、積層型CMOSセンサ「Exmor RS for mobile」を初採用。画素数は約1,310万画素で、HDRや高速連写機能をサポート。日本向けスマートフォンではおなじみの、IPX5/7相当の防水機能、IP5X相当の防塵機能にも対応。実際にブースでも、本体を水没させるデモ展示が行なわれていた。
対応する通信方式は、LTE(Bands 1/3/5/7/8/20)、UMTS HSPA+(850/900/2100MHz)、GSM GPRS/EDGE(850/900/1800/1900MHz)。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0。NFCも搭載し、日本向けモデルではおサイフケータイもサポートされる。NFCに関しては、スピーカーやヘッドフォンなどにかざすだけで簡単にBluetooth接続できる機能も実現されており、周辺機器としてNFC搭載のBluetoothヘッドフォンの新モデルも合わせて発表された。内蔵バッテリ容量は2,330mAh。
本体サイズは、71×139×7.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は146g。同じ5型フルHD液晶搭載のHTC J Butterflyと比べると、幅は同じで、奥行きはXperia Zが短く、高さもXperia Zが薄い。ただ、重量はXperia Zの方が重く、これは背面の強化ガラス採用が影響しているものと思われる。OSはAndroid 4.1で、早い段階でAndroid 4.2へアップデートを予定している。
もう1機種発表されたXperia ZLは、Xperia Zをベースとしたバリエーションモデルで、背面デザインなど一部仕様が異なっている。こちらは日本での発売は予定していないそうだ。
Ultrabook「VAIO T」シリーズの北米向け2013年春モデルを展示
プレスカンファレンスでは触れられなかったが、ブースではVAIOシリーズのUltrabook「VAIO T」シリーズの、北米市場向け2013年春モデルの新製品が2機種展示されていた。
まず、完全な新モデルとなるのが、タッチパネル対応の15型液晶を搭載する「VAIO T15 Touch」だ。液晶は、VAIO Tシリーズ初となるフルHD表示に対応。また、本体サイズが大きいため、キーボードにはテンキーが用意されている。加えてこのキーボードはバックライトも内蔵している。
右側面には光学式ドライブも内蔵しており、DVDスーパーマルチドライブまたはBDドライブを搭載可能。側面ポートは、USB 3.0/USB 2.0やHDMI、アナログRGB、Ethernet、SDカードスロットなどを確認できた。詳しいスペックは未公開となっており、搭載CPUやメモリ、内蔵ストレージの種類や容量、本体サイズ、重量などは不明。ちなみに、システムはIvy Bridgeベースだそうで、パームレストにはCore i7のシールが貼られていた。
もう1機種が、タッチパネル対応の14型液晶を搭載する「VAIO T14 Touch」だ。14型液晶搭載のVAIO Tシリーズは日本でも発売済みだが、こちらはそれをベースにタッチ操作に対応させたものだ。
製品のデザインはタッチ非対応モデルとほぼ同じで、見た目にはあまり違いは分からないが、タッチ操作に対応したことでWindows 8の操作性が向上している。それ以外の仕様は従来モデルと大きく変わらないそうで、光学式ドライブを内蔵する点も同じだ。ただし、こちらも詳しいスペックは未公開のため、基本スペックやサイズ、重量などは不明。
また、スライド型のコンバーチブル型Ultrabook「VAIO Duo 11」の新色となるシルバーモデルも展示されていた。液晶面および底面は従来同様ブラックだが、キーボード面がシルバーとなっており、やや明るい印象となっている。カラー以外のスペックは従来から変わらない。
これら3機種の新モデルは、全て北米市場の2013年春モデルとして発売が予定されているもので、日本での発売は未定だ。
ところで、今年は昨年のSonyブースで展示されていたような、VAIOのデザインコンセプトモデルなどはなかった。代わりに、VAIO関連の技術デモ展示コーナーが用意されており、VAIO向けの新液晶ディスプレイ「TRILUMINOS Display for Mobile」のプロトタイプが展示されていた。
TRILUMINOSは、過去にハイエンド液晶TVで採用されていた、赤緑青の3原色の独立したLEDバックライトを利用したSony独自のバックライトシステムのこと。それに対しTRILUMINOS Display for Mobileでは、3原色独立LEDのバックライトを利用しているわけではなく、一般的な液晶ディスプレイと同じエッジタイプのLEDバックライトの光を、導光板で液晶パネル裏側前面に届けるという構造となっている。しかし、光が拡散せず、中央に集まるような独自の構造を持つ導光板を採用することによって、輝度を高めるとともに、液晶パネルにも特別なものを採用することで、従来よりも鮮やかな発色を実現しているという。
実際に、TNパネルを採用する一般的な方式の液晶パネルと並べて展示されていたが、発色の鮮やかさはひと目見ただけで分かるほどの違いがある。特に、TRILUMINOS Display for Mobileは赤の発色が非常に鮮烈だ。しかも、液晶パネルはIPS方式のため視野角が広く、大きく視点をずらしても鮮やかな発色が確認できた。
さらに、構造的に輝度を高められるので、通常よりも消費電力を低減できるという。つまり、ノートPCの液晶表示品質を高めるだけでなく、バッテリ駆動時間も延ばせるわけだ。この点も、TRILUMINOS Display for Mobileの大きな利点としている。
このTRILUMINOS Display for Mobileは、今年度中に実際に製品への搭載を目指して開発が進められているそうだ。おそらくハイエンド製品への搭載が中心になるものと思われるが、搭載製品の登場が今から楽しみだ。