【build Windowsレポート】
Windows 8はMicrosoft再構築とBallmer氏

2日目の基調講演スタートを待つ観衆は、こぞって前日配布されたスレートを手にしていた

会期:9月13日〜16日(現地時間)

会場:米国カリフォルニア州 Anaheim Convention Center



 アメリカ カリフォルニア州 アナハイムにおいて Microsoftが開催する開発者向けイベント「build Windows」。2日目の基調講演は、Satya Nadella(President, Server & Tools business)氏がバックエンドプラットフォームの製品群について多くのアナウンスをした。最後にはCEOのSteve Ballmer氏が登場し、観衆に新たな時代の到来を告げるというハプニングも演出された。

●無限に拡大するビジネスチャンスをものにしよう

 「昨日は、Windows 8のPreviewの話でもちきりでしたが、今日は、ちょっとギアを変えて、Windowsのバックエンドプラットフォームについて話をしましょう」。

2日目の基調講演はSatya Nadella(President, Server & Tools business)氏が担当、多くの製品群のアップデートをアナウンスした

 ステージに登ったSatya Nadella(president, Server & Tools business)氏はこう切り出した。Windows 8が大々的に公開された翌日とあって、ちょっとやりにくそうなのは仕方がないだろう。

 新しいデバイスやフォームファクタ、そしてそこに生まれる対話と、それによる新たなユーザー体験。それらが常時接続されているということは、それが接続する、より高度なサービスやアプリケーションが求められるということでもあるとNadella氏はいう。そしてそのニーズはデベロッパーにとって新たなビジネスチャンスであるとした。

 そして、developer previews of Visual Studio 11や、Team Foundation Service (TFS)、コードネームWindows Server 8、さらにはWindows Azure Platformの新機能など、数多くの製品のリニューアルを発表した。

 Nadella氏は「オペレーションマトリックスによるハイブリッドインフラストラクチャ」という言葉を使いながら、プラットフォームの異なる複数のデバイスがクラウドにつながる、新しいクライアントサービスの形を紹介した。

 デモンストレーションでは、Windows Phoneのゲームを携帯端末で楽しむときに、PCの前にいる友人を招待し、対戦プレイをするようなケースが紹介された。ゲームロジックはクラウド側でもち、さまざまなデバイスを使い、デバイスごとに多少の表現力は異なっても、同じようにゲームを楽しむわけだ。もちろん、新しいメトロスタイルのゲームアプリもその中に含まれる。

 アプリケーションプラットフォームを、いかに堅牢なものでするかは重要なテーマであるとNadella氏。そのためにも、メッセージワークフローを拡張しなければならないという。デバイスごとにアプリケーションを最適化するのは古い考え方であるということなのだろう。さまざまなデバイスのさまざまな解像度にフレキシブルに対応するHTML5ページは、こうしたテーマをうまく解決していくことになりそうだ。

 多くの新製品が矢継ぎ早にアナウンスされた同氏の基調講演は、紹介とデモにほとんどの時間が費やされたが、常に、デベロッパーを支援するための姿勢が貫かれ、Microsoftの現在の成功が、いかにデベロッパーとの強い結びつきで得られているものであるかを如実に示すものだった。そして、開発者らに対して、新製品を吹聴するだけではなく、今このビジネスチャンスを逃してはならないとし、スピードを加速し、数週間、数カ月でイノベーションを起こすことを期待する。そのための基盤は今、目の前にあるとして、基調講演を終えた。

●developers, developers, developers

 これで2日目の基調講演が終わったと思い、席を立とうとした瞬間、アナウンスが流れ、飛び入りのゲストが登場した。Microsoft CEOのSteve Ballmer氏だ。突然の登場に、会場は大騒ぎだ。

突然登場して会場を沸かせたCEOのSteve Ballmer氏

 「みんなの興味は昨日の話題かな、今日の話題かな。それを確かめたくて来たんだよ」とBallmer氏。

 同氏は公開されたばかりのWindows 8のPreview版が、たった一晩で50万回もダウンロードされたことを告げ、また、前日に配布されたPreview PCについても触れ、きっと、みんな、昨夜はこれにかかりっきりだったんじゃないかと聴衆を冷やかした。

 Windows 8がマスコミ報道で賞賛されていることを紹介し、完成まではまだ長い道のりがあるけれども、今回配布されたx86版に加え、ARM版もしっかり仕上げなければならないと同氏。それは、同社にとって、きわめて重要なことであると念を押し、異なるアーキテクチャの異なるデバイスが、それぞれの分野で使われていく時代の到来を再確認した。同氏にいわせれば、シリコン共和国から秘密兵器の登場というわけだ。

 同氏は、今はまだクラウド時代の幕が開いたにすぎないタイミングだという。Microsoftでさえ、クラウドの表層的な部分を垣間見たに過ぎないのだと。ビジネスチャンスは大きく広がっていて、そこにアプローチする秘密兵器がWindows、つまりは、Windows 8なのだ。そして、Windows LiveもWindows PhoneもWindows Azureも、新しいハードウェアとクラウドによるビジネスチャンスにピタリと照準を合わせている。そして、デベロッパーに対して新たな機会を創成する。

 Windows Phoneについては、Windows 8との共通点が多々あることに言及し、ファミリーとしてのアプローチであると見られることを認めた。そして、Windowsが対応するハードウェアを拡げていくことを宣言した。x86もARMも両方ともに、Microsoftが前に進むために重要な役割を果たしてくれるはずだと。

 携帯電話だけに注力するのはばかげたことで、そんなつもりはない。ただ、タブレットや携帯電話のフォームファクターは、多岐にわたる利用シナリオを生み出し、新たな入力のパラダイムを作るだろうとした。まるで、Xbox 360の周辺機器であったKinectが、別のパラダイムを生み出したのと同じだと。Windows 8のためにMetroスタイルのアプリを書けば、それはタブレットやスレートでも動く。それが、どれだけのビジネスにつながるのかは想像に難くない。

 2011年は3億5,000万台のWindowsデバイスが売れることになるだろうと同氏。現時点ではその中には携帯電話やタブレットはほとんど入っていない。でも、こんな数量のデバイスが売れるOSは地球上でWindowsだけだ。そして、それは開発者たちに機会を与えることになるはずだと強調する。Windows 8が出荷されるころには、その数は5億台になっていて、それらはすべてWindows 8にアップグレードすることができる。それをビジネスの対象にしない手はないというわけだ。

 Windows 8はWindowsの再構築だが、それは、Microsoftを再構築することでもあるとBallmer氏。そして、こうも言った。互換性はとても重要なことだが、本当に投資に対する最大限の対価を得たいのならMicrosoftといっしょに前に進もうと。

 とにかくみんなにこのステージに来て欲しい。個人経営のデベロッパー、自宅で稼ぐ14歳のデベロッパー、フルタイムで働くデベロッパー、パートタイムデベロッパー、小さなソフトベンダー、Webサイト、アプリケーション、SIer、大きなWebサイト、大きなソフトベンダー、大企業で働く人々まで、みんなに来て欲しい。今こそ、まさに、デベロッパーの時代だ。Windowsデベロッパーの時代だ。前に進もう。

 そして、いつものように、けれども、少し恥ずかしそうに「developers, developers, developers」と繰り返してステージを去って行くBallmer氏が印象的だった。

もはや好例となったdevelopers, developers, developersを叫ぶBallmer氏 デモショーケース会場には各社のARM版Windowsスレートが展示され、来場者の興味をひいていたが、実際に操作することは許可されていなかった

(2011年 9月 16日)

[Reported by 山田 祥平]