【IDF 2010レポート】
GIGABYTEからSandy Bridge対応マザーボードが展示

Sandy Bridgeが利用できるLGA1155。既存のLGA1156用プロセッサは利用できない

会期:9月13日~15日(現地時間)
会場:米国サンフランシスコ モスコーンセンター



 IDFは大きく分けて3つのパートから構成されている。1つは基調講演で、こちらではIntelの幹部が登場して、今後Intelがどういった方向に向かうのかなどに関して説明してくれる。2つ目がテクニカルトラックで、こちらは現場に近いビジネスユニット単位の責任者やエンジニアなどが技術的詳細やマーケットトレンドなどを解説してくれる。今年(2010年)は“Sandy Bridge”に関する技術的詳細を説明した。

 そして3つ目がショーケースで、基調講演やテクニカルトラックで紹介された新製品などが展示されており、実際に触って見たりすることができる。本レポートではそうしたショーケースで展示された注目製品について紹介していきたい。

●Sandy Bridge対応のマザーボードが展示される

 すでにお伝えしているとおり、IDF 2010最大の話題はIntelの次世代プロセッサSandy Bridgeだった。展示会でもそうした状況に合わせて、Sandy Bridgeに対応した製品が展示されていた。

 中でもマザーボードは新しいプラットフォームに必須の製品となる。Sandy BridgeのCPUソケットはSocket H2と呼ばれるLGA1155になる。LGA1155は、現在のCore iシリーズ(Lynnfield、Clarkdale)で利用されているSocket H(LGA1156)から1ピン減っている形状になっている。

 LGA1156から1ピン減っただけだから、LGA1155対応のSandy Bridgeがそのまま使えそうな気もするが実はそうではない。LGA1156とLGA1155では電気的なピン配置がまったく異なっており、Sandy BridgeがLGA1156マザーボードで使えないのはもちろんこと、現行のCore iシリーズ(Lynnfield、Clarkdale)もLGA1155マザーボードでは利用できない。つまり、現在Core iシリーズの自作PCを持っているユーザーが、Sandy Bridgeに乗り換えたい場合にはマザーボードごと交換する必要があるということだ。

 別記事でも触れているとおり、LGA1155用のチップセットは開発コードネームCouger Pointになる。ブランド名ではIntel 6 Series Chipsetとなり、H67、P67、H61、Q67、Q65、B65というSKUが用意されている。

 今回IDFの会場で展示されたのはP67をベースにした製品で、IDFのスポンサーでもあるGIGABYTEのブースに展示されていた。展示されていたのはGA-P67A-UD7とGA-P67A-UD5の2製品で、いずれも4スロットのメモリソケット、追加のUSB 3.0ポートなどが搭載されている。UD7にはPCI Express x16が4スロットついており、NVIDIAのSLIやAMDのCrossFireなどで利用することが可能になっているが、すべてのスロットでx16接続できるかどうかは現時点では非公開とのことだった。

LGA1155ソケットGIGABYTEのGA-P67A-UD5、チップセットはP67
GIGABYTEのGA-P67A-UD7、チップセットはP67
Sandy Bridge用のバリュー用Mini-ITXマザーボード。チップセットは非公開だが、スペックからH61であると予想されるぱっと見同じに見えるが、下はH57を搭載したLGA1156マザーボード、上はH67を搭載していると思われるLGA1155マザーボード。PCBのデザインに変更がほとんどないことがよくわかる

●サーバー用チップセットIntel C204搭載マザーボードが展示

 Super Microのブースに展示されたいたのは、UP(Uni-Processor、シングルソケット)サーバー/ワークステーション用のSandy Bridge-ENに対応したIntel C204 Chipsetを搭載したマザーボードとベアボーンキットだ。

 Sandy Bridge-ENという別のコードネームはついているが、基本的にはデスクトップPC用のSandy Bridgeとまったく同等で、Xeonブランドがつく以外はデスクトップPCと同じものとなる。チップセットもC204とついているが、コードネームはCouger Pointであり、基本的にはIntel 6 Series Chipsetと同じものだと考えてよい。つまり、Sandy Bridge+Couger PointのXeon版がSandy Bridge-EN+C204だと考えていいだろう。

 マザーボードのほうは、UPの小規模サーバー向けマザーボードとなるため、PCI Express x16などのスロットはなくPCI Express x4(Gen2)が4スロットあるという構成になっているほか、Gigabit Ethernetのスロットが2ポートある構成になっている。

Intel C204 Chipsetを搭載したマザーボード(左)とベアボーンキット。Sandy Bridge-ENが利用できる

●Sandy Bridgeの内蔵GPUで電子シャッター方式の3DメガネとHDMI 1.4に対応

 Intelのブースでは、Sandy Bridgeに内蔵されたGPUを利用した3D立体視のデモが行なわれていた。Intelは現行のCore i7/5/3シリーズに内蔵されているIntel HD Graphics(Ironlake)でも3D立体視をサポートしているが、サポートしているのは偏光メガネ方式(ポラロイズド方式)だけで、NVIDIAの3D Visionのように電子シャッター方式には対応していなかった。

 しかし、IntelはIDF 2010で、Sandy Bridgeの内蔵GPUでは電子シャッター方式にも対応していくことを明らかにした。すでにOEMメーカーなどには電子シャッター方式の仕様などが公開されており、OEMメーカーはそれに対応した電子シャッター方式のメガネを自社製品に添付して販売することができるようになるという。

 このため、マザーボードメーカーなどが望めば、そうした電子シャッター方式のメガネとエミッター(メガネと同期をとるのに必要になる)を製品に添付したり、オプションで販売することが可能になる。Sandy Bridge発売後には3Dステレオの導入もディスクリートのGPU無しでも可能になるようになるため、導入コストはぐっとさがることになるので、予算の少ないユーザーであれば要注目だ。

 また、IntelはSandy BridgeのHDMI出力がHDMI 1.4に対応していることを明らかにしており、HDMI 1.4に対応した入力を持つ3D TVとの組み合わせで3Dステレオが楽しめるようになる。単体GPUを追加することなく対応できるだけに、これも要注目と言えるだろう。

Sandy Bridgeの内蔵GPUを利用して電子シャッター方式のメガネを利用したデモ再生ソフトウェアは、ArcSoft、CyberLink、Corel、Sonicの4社が対応予定デモではメガネはテレビに付属のモノを利用していた

●USB 3.0のUSBディスプレイアダプタ向けLSIの展示を2社が行なう

 DisplayLinkとSMSCは、いずれもUSB 3.0に対応したUSBディスプレイアダプタのコントロールLSIを展示した。

 USBディスプレイアダプタの大手と言えるDisplayLinkはIDF 2010の初日にプレスリリースを発表し、USB 3.0のコントローラを開発したことを明らかにした。現時点ではプロトタイプのボックスに入っているが、将来的には現在発売されているような商品の箱に入る程度に小さくすることができるということだった。USB 3.0に対応することで、PCから転送するデータ量が増えても対応できるようになるため、より高解像度や解像度の大きなビデオなどにも対応することができるとのことだった。

 もう1つSMSCはViewSpan 5Gと呼ばれるチップを出展しており、こちらもUSB 3.0で接続して画面出力することができていた。

USB 3.0のケーブルを利用してUSBディスプレイアダプタと接続するDisplayLinkのデモSMSCのViewSpan 5GもUSB 3.0に対応したUSBディスプレイアダプタのLSI。2,048×1,152ドットまで対応可能
LightPeakを利用した高速データ転送のデモ。来年には出荷が予定されているので、だいぶ製品に近い形になってきた

(2010年 9月 17日)

[Reported by 笠原 一輝]