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富士通、彫刻をコンセプトに独自性演出の新arrows製品群

~Windows 7継続のためのBroadwell/Haswell搭載PC展開など

 富士通クライアントコンピューティング株式会社と富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社は16日、都内にてPC/スマートフォン/タブレットの新製品説明会を開催した。両社は2016年2月1日に富士通株式会社が分社化した子会社で、前者はPC事業を、後者は携帯端末事業を軸にしている。

 今回説明会で披露されたのは、本日(16日)弊誌にて掲載した2機種のノートPCとデスクトップ、そして11日のNTTドコモの発表会に登場したスマートフォンとタブレットで、以下がその製品となる。仕様などに関してはリンクの別記事を参照して欲しい。

15.6型のスタンダードノート「AH77/Y」
15.6型のエントリーノート「AH42/Y」
一体型の「FH53/YD」
スマートフォン「arrows SV F-03H」
タブレット「arrows Tab F-04H」

独自性に強くこだわったスマートフォン

 分社化後初の発表会となった今回は、最初に携帯事業を手掛ける富士通コネクテッドテクノロジーズの執行役員である林田健氏が登壇。新製品のスマートフォン「arrows SV F-03H」とタブレット「arrows Tab F-04H」の説明を行なった。

 林田氏はスマートフォンのarrows SV F-03Hに冠した「SV」の意味について、上質の「Superior」と価値の「Value」であると述べ、従来機のarrows Fit F-01Hの良い点を継承するとともに、ワンランク上のデザインを採用し、これまでとは違うスマートフォンであることを強調した。

「arrows SV F-03H」と「arrows Tab F-04H」
上質(Superior)と価値(Value)を意味するarrows SV

 arrows SV F-03Hのデザインは富士通デザイン株式会社のチーフデザイナー吉橋健太郎氏が担当しており、吉橋氏は通常通り板状からデザインを考えると型にはまったものにになりがちなことから、原石からダイヤモンドを磨くように、鉱石から“彫刻”として生み出すことをコンセプトに、オリジナリティと持ちやすさ、ストーリー性を追求した製品であると語った。

 オリジナリティはその形に現れており、硬質感や強度感を感じさせるために金属の質感を高め、側面部分にはノミで削り上げたかのような加工を施したという。また、ただ独自性の強い形状にしたわけではなく、持ちやすさも考慮した上でのデザインであることも述べ、横画面で使う場合に保持しやすいように、4隅にくぼみが設けられていることも説明した。ストーリー性という点では“彫刻”というデザインコンセプトから外れないように、本体の正面と背面で硬質さを感じさせる意匠を施している。

arrows SV F-03Hはsculpture(彫刻)がデザインコンセプト
オリジナリティ、手当たりと持ちやすさ、ストーリー性にこだわったという
硬質感を重視して独自性を出した
持ちやすい形状を意識
硬質なデザインの表面と背面でコンセプトの一貫性を演出
金属を意識しているため、本体色はゴールド/ブラック/ホワイトとした
富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社 執行役員 林田健氏
富士通デザイン株式会社 チーフデザイナー吉橋健太郎氏

 林田氏はarrows SV F-03Hの機能に関する訴求点として、F2.0の明るいレンズと1,310万画素のSONY製CMOSセンサーの搭載、MIL規格の落下試験よりも過酷な高さ1.5mからのコンクリート落下試験のパス、スループットを判断してWi-FiとLTEの切り替えを行なうマルチコネクション機能など、新スマートフォンがデザイン、カメラ、堅牢性において優れていることを強調した。

従来機から背面カメラのレンズとセンサーの性能をアップ
暗所での撮影が強力に
レンズが22mmとさらに広角化した
前面カメラも性能が上がり、23mmと広角化したほか、500万画素に上がっている
表面に傷が付きにくいハードコートを採用。ガラスはCorning Gorilla Glass 3
MIL規格の落下試験よりも厳しい基準で耐性を評価した
日本語入力はATOKを採用
Wi-FiとLTEのマルチコネクション機能を利用することで、Wi-Fiの電波強度が強いにもかかわらず通信できない場合はLTEに自動的に切り替えるというスループットを見ての切り替え方式を採用
動画のストリーミング再生にマルチセクションを利用するため、読み込み時の動作が速い
arrows SV F-03Hの訴求ポイント

 一方の10.5型タブレット「arrows Tab F-04H」については、キッチンやお風呂場など、さまざま場所で立てかけやすいように3辺に摩擦力の高い「grip edge」を採用していることや、ロック画面からユーザーを切り替え可能なマルチユーザー機能、そして世界初とする虹彩認証機能の搭載をアピールした。

家庭内のさまざまな場所でタブレットを立てかけて使用することを想定
摩擦力の高い「grip edge」を採用。立てかけてもずるずると滑らないようになっている
立てかけができない場所でも立てられるように、4段階調整のスタンドが同梱されている
ユーザー選択をロック画面から行なえるため、素早い切り替えが可能
タブレットでは世界初とする虹彩認証機能を搭載
arrows Tab F-04Hの訴求ポイント

Windows 7のサポートを続けるため、BroadwellとHaswell搭載モデルを法人向けに提供

 次に、富士通クライアントコンピューティング株式会社 事業本部 プロダクト企画統括部 統括部長の平野和敏氏が登壇し、法人向けおよび個人向けPCについて説明。

 法人向けPCでは、Microsoftが2018年7月17日に新たに定めたSkylake採用のWindows 7およびWindows 8/8.1搭載PCのサポート期限について言及し、依然としてWindows 7利用企業が多いことを踏まえ、Windows 7をサポートし続けるために、1世代前のBroadwell、2世代前のHaswellを搭載したPCを展開していくと述べた。

 このほか、ストレージを外部に持つシンクライアントPCの国内における成長予測を語り、2015年時点で導入率30.4%だったシンクライアントPCは、2019年には47.2%まで上昇すると予想。同社が長年手掛けている生体認証技術やサーバー技術を活かしたトータルソリューションを提供できるとした。

Skylake世代のCPUを搭載するWindows 7/8/8.1のPCはサポート期限が2018年7月17日までに短縮された
富士通の顧客でWindows 7/8/8.1を利用するユーザーは現状まだ多い
富士通ではシンクライアントにも力を入れており、2019年には国内での導入率が47.2%に上がると予測した
富士通が強みとする生体認証機能やサーバーシステムなど、シンクライアントの導入を包括的に提供する
法人向けシンクライアントの新ラインナップ
富士通クライアントコンピューティング株式会社 事業本部 プロダクト企画統括部 統括部長 平野和敏氏

 個人向けPCについては既報の通りで、あまり詳細な説明も行なわれなかった。以下は、説明会場にて展示されていた製品の写真群となる。

15.6型のスタンダードノート「AH77/Y」
左側面
右側面
天板
内蔵のオンキヨー製ODMDスピーカー
15.6型のエントリーノート「AH42/Y」
左側面
右側面
天板
キーボードは一体成型になり、スピーカーはオンキヨー製のものに変更された
一体型の「FH53/YD」
左側面に光学ドライブ
右側面にインターフェイス類
背面
ハイレゾ音源対応のスピーカーとツイーターを内蔵している
arrows SV F-03H
4隅を窪ませたデザインを採用。横持ちしやすくなっている
左側面
右側面
上面
背面
ブラック、ゴールド、ホワイトの3色
防水性能を備える
ハードアルマイト加工により傷が付きにくい。写真の器具で10円玉でF-03Hをこすっても傷が付かないことが確認できる
F2.0の明るいレンズを搭載し、暗所での撮影が従来機(F-01H)などと比べて強くなった。薄暗いボックス内にあるオブジェクトも綺麗に撮れる
arrows Tab F-04H
上面
底面
左側面
右側面
防水対応
立てかけ用のスタンドが付属している

(中村 真司)