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「stohsypi」と打っても「ありがとう」に変換できる「ATOK 2016」

~iOS/Android向けの一太郎ビューアアプリも無償配信へ

 ジャストシステム株式会社は、日本語入力ソフト「ATOK 2016 for Windows」、および日本語ワープロソフト「一太郎2016」を2016年2月5日に発売する。ラインナップおよび機能の違い、価格は下表の通り。

【表1】一太郎のラインナップ
一太郎2016一太郎2016 プレミアム一太郎2016 スーパープレミアム
税別価格20,000円25,000円38,000円
一太郎2016
ATOK 2016 for Windows
らくらく新聞テンプレート、本格新聞書体
モトヤフォント-
精選版日本国語大辞典 for ATOK-
ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK-
詠太6-
花子2016-
Shuriken 2016-
JUST PDF 3 [作成・編集]-
ブリタニカ国際大百科事典 小項目版 2016--
ブリタニカ・オンライン・ジャパン利用権--
一太郎開発者監修ガイドブック「とことん一太郎」--
Zoner Photo Studio 17 HOME J--
JUST Calc 3--
JUST Focus 3--
【表2】ATOKのラインナップ
 パッケージ版ATOK Passport
 オールインワンパックプレミアムベーシックプレミアム通常版
機能
ATOK 2016 for Windows
Office連携ツール for ATOK
ATOKダイレクト for Excel---
ATOKクラウドサービス
ATOK Syncアドバンス
ATOKキーワードExpress
8カ国語クラウド翻訳変換 for ATOK--
ATOKクラウド推測変換サービス---
ATOKナントカ変換サービス---
ATOKクラウド辞典サービス----
ATOKクラウド文章校正サービス----
ATOK辞書・辞典-----
乗換案内 駅名変換辞書 for ATOK
精選版日本国語大辞典 for ATOK---
ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK---
広辞苑 第六版 for ATOK----
角川類語新辞典 for ATOK----
ロングマン英英/英和辞典 for ATOK----
【表3】ATOK 2016パッケージ版の税別価格
ベーシックプレミアムオールインワンパックオールインワン辞書・辞典パック2016 for ATOK
通常版8,000円12,000円--
AAA優待版5,000円9,000円18,000円-
アカデミック版5,000円---
優待版-9,400円-13,200円

ホームポジションがずれても訂正変換するATOK 2016

記者説明会でATOKの解説を行なったCPS事業開発部の下岡美由紀氏

 ATOK 2016 for Windowsでは、“ユーザーの意図をくみ取り、効率的な入力を支援する”ことを目指し、さまざまな新機能を実装した。

 1つ目は、指をキーボードに置いた時にホームポジションからずれ、ずれたまま入力した場合や、母音の押し損ね時でも適切な訂正候補を提示する「ATOKタイプコレクト」を搭載。例えば「stohsypi」と打っても「ありがとう」と変換できる。前バージョンと比較して約2倍の入力補正を実現するという。

 また変換を間違えて確定した場合、Backspaceキーでの削除や、確定アンドゥを実行すると、学習内容を取り消し、次回から学習結果が候補ウィンドウに表示されないようにした。

 2つ目は、他の文書や同一文書内を参照しながら文字入力をする際、参照している間のみ、自動的にその文書内の言葉やフレーズを優先して変換候補や推測候補として提示する「ATOKインサイト」の搭載。

 対応アプリは一太郎2016、Shuriken 2016、Microsoft Word/Excel/Outlook、および主要ブラウザ。例えばExcelで人名リストを参照している場合、Wordでその人名を入力しようとすると、ATOKがExcelの人名リストに基づいた変換候補を提示する。また、その時に例えば2通りの読み方がある場合、どの読み方でも入力できる(例:河野は“かわの”でも“こうの”でも入力可能)。

 3つ目は「ATOKイミクル」と呼ばれる辞典検索機能。従来は入力時に辞典を検索できたが、ATOKイミクルではホームページや文書閲覧中に、該当の単語を選択し、Ctrlキーを2回押すことで辞典検索ができる。

 最後はユーザーの健康を考えた機能の搭載。高dpiの画面では変換候補ウィンドウの行間を広く取るようになり、視認性を高めた。また、変換候補の文字サイズの調整もすぐに行なえるようにした。

 新たに「リフレッシュナビ」も導入された。これは過去に入力した文字数や入力ミス回数、入力精度、指の移動距離、連続入力時間などを統計し、ATOK独自で疲労感を判定。一定値を超えた場合、「少し休憩しませんか」といったメッセージをポップアップさせる。

ATOK 2016の開発コンセプト
ATOKタイプコレクトは、ホームポジションがずれている場合も検出し変換できる
ATOK 2015では(当然)別のアプリで参照して入力していることを検出できない
ATOK 2016に搭載されたATOKインサイトでは、別のアプリを参照して入力していることを認知し、それに合った入力候補を提示する
ATOKインサイトは、参照するアプリを終了した場合自動的に参照がオフになる
同一アプリで参照している場合も認識する
WebブラウザはInternet Explorer、Edge、Firefox、Google Chromeに対応する
ATOKイミクル。ホームページなどで単語を選択し、Ctrlキーを2回押すと起動する
入力中はEndキー、閲覧中はCtrlキー2回で辞典検索する
高dpiの画面に対応し、候補の間隔を空けるなど視認性を向上
入力文字数や入力ミス回数などから疲れを自動的に判定し、一定時間で休憩を促すポップアップ

デザイン機能を強化した一太郎2016、モバイル版のビューワも

一太郎の機能解説を行なったCPS事業部 開発部の吉住康弘氏

 一太郎2016では、Windows 10への対応に加え、タブレットPC向けに指で操作しやすく、文書を読むことに集中できる「タブレットビューア」を搭載。2-in-1のPCではキーボードを外してタブレットモードになることを検知し、自動的にタブレットビューアに切り替えることも可能。また、高dpiディスプレイに対応し、メニューバーのアイコンやフォントを再設計した。

 iOSやAndroid向けに、新たに「一太郎モバイルビューイング」と呼ばれるモバイルアプリを提供。これによりスマートフォンやタブレットで一太郎の文書を表示できるようになった。価格は無料となっている。

 機能面では、1文字ずつサイズや配置を自動でレイアウトし、おしゃれなタイトル文字が作成できる「モジグラフィ」を搭載。デザインサンプルを100種類用意し、これから選んで作成でき、その後も1文字ずつ形状や線、塗り、回転などを設定できる。

 会報誌や学級だよりの作成の際に役立つ「らくらく新聞テンプレート」を20点添付。また、新聞社で広く採用されているモトヤの新聞書体を2書体(モトヤUP新聞明朝 Otf W2、モトヤUP新聞ゴシ Otf W3)を同梱する。新聞タイトル背景画像も30点収録した。

 文章校正エンジンは、文章校正支援ツール「Just Right!5 Pro」に基づいたエンジンを搭載。誤字脱字、同音語誤りなど、指摘精度が向上。さらに、助詞の用法誤りも新たに対応した。

 このほか、電子書籍のEPUB機能も強化し、「EPUB編集ツールパレット」を新たに搭載。テンプレート、文書スタイル、表紙、ページスタイル、保存形式などの機能をひとまとめにした。加えて、表紙のテンプレートも40点追加提供。このほか、写真の切り抜きツールや、まとめて改行削除などの機能を搭載した。

 「一太郎2016 プレミアム」に含まれるドローソフト「花子」も2016にバージョンアップし、同じ図形を縦横に並べる「アレイ図」を簡単に作成できる機能を搭載。座席表や時間割といった図形を容易に作成できる。加えて、図面の一部をポップアップウィンドウで拡大表示する「拡大鏡」、部品一覧画面のマウスオーバーで部品をポップアップで拡大表示する「部品一覧ポップアップ表示」などの機能を備えた。

 メールソフト「Shuriken 2016」では、見出し忘れや敬称抜け、社内メールの社外送信を防ぐ「送信メールの確認」、設定した時間内であれば送信処理を取り消せる機能を搭載。また、新たにドコモメールの受信や、Gmailで使われるOAuth2対応を図った。

 読み上げソフト「詠太」は6となり、新たに英文読み上げに対応した。

 なお、花子2016とShuriken 2016は単体でも販売される。税別価格はそれぞれ9,800円、4,800円。

 最上位の「一太郎2016 スーパープレミアム」では、「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版2016」を搭載。加えて、個人では契約できないオンラインサービス「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」の利用権3年分が付属。さらに、96ページのガイドブック「とことん一太郎」、フォトレタッチソフト「Zoner Photo Studio 17 HOME J」を同梱する。

高dpiのディスプレイに対応し、フォントやアイコンなどを一新
文字表示なども綺麗になっている
Windows 10に対応し、キーボードの着脱を検知し、自動的に編集画面からタブレットビューアに遷移する
iOS/Android版の一太郎モバイルビューイングも2月5日に公開予定
1文字ずつ文字の大きさや色をデザインできる「モジグラフィ」
写真の切り抜きツールを搭載
文書校正エンジンがJust Right!5 Proベースとなった
まとめて改行削除
EPUB向けの表紙ギャラリー
新聞テンプレートと新聞書体の搭載
モトヤの新聞書体2種類を搭載
一太郎2016 プレミアムでは、8種類のモトヤフォントも収録
一太郎2016 プレミアムの辞書・辞典
詠太6では新たに英文の読み上げに対応。日本語との読み分けも可能だ
花子2016の新機能
Shuriken 2016の新機能
一太郎2016 スーパープレミアムでは、ブリタニカ国際大百科事典を同梱
個人ユーザーが契約できないオンライン利用権も3年分付属する

(劉 尭)