ニュース
NVIDIA、GM200ベースの「Quadro M6000」を発表
~LowProfileのQuadro K1200も発表
(2015/3/19 23:00)
NVIDIAは3月16日~20日の5日間に渡ってGPUソフトウェア開発者向けのイベントGTC(GPU Technology Conference)を開催しているが、その中で同社のワークステーション向けGPUとなるQuadroの最新製品として、「Quadro M6000」を発表した。Quadro M6000は、従来のQuadroシリーズの最上位製品となる「Quadro K6000」を置き換える製品で、最大の特徴は内部アーキテクチャがMaxwellとなっていることだ。
また、同時にそのQuadro M6000を8枚搭載したレンダリングアプライアンスの「Quadro VCA」、「Quadro K2200」のLowProfile版となる「Quadro K1200」を追加した。
GeForce GTX TITAN Xと同じGM200ベースのQuadro M6000
Quadro M6000は、これまでNVIDIAのQuadroシリーズの最上位製品だったQuadro K6000を置き換える製品。製品のモデルナンバーに「M」がついていることから分かるように、最新GPUアーキテクチャMaxwellに基づいており、ダイはGeForce GTX TITAN Xと同じGM200ベースとなっている。
Quadro M6000 | Quadro K6000 | |
---|---|---|
ダイ | GM200 | GK110 |
製造プロセス | 28nm | 28nm |
CUDAコア | 3,072 | 2,880 |
メモリ | 12GB GDDR5 | 12GB GDDR5 |
メモリ帯域幅 | 317GB/sec | 288GB/sec |
単精度浮動小数点演算 | 7TFLOPS | 5.2TFLOPS |
最大消費電力 | 250W | 225W |
スペックとしては、ほぼGeForce GTX TITAN Xと同じになっており、3,072個のCUDAコア、12GBのGDDR5メモリ、250Wの消費電力という仕様。単精度の浮動小数点演算の性能は7TFLOPSと、M6000の5.2TFLOPSよりも大きく向上している。
ただし、倍精度浮動小数点演算向けの特別な機能が搭載されていないMaxwellアーキテクチャになったことで、その演算性能はKepler世代のK6000に比べて減っている。M6000の倍精度浮動小数点性能は発表されていないが、GeForce GTX TITAN Xは0.2TFLOPSと発表されており、M6000もほぼ同じだと考えられる。NVIDIAは、倍精度の浮動小数点演算を重視する場合は引き続きK6000を薦める。
NVIDIAはこのQuadro M6000で、I-RAYを利用した物理ベースレンダリングを訴求していく方針で、REVIT、3DS MAX、MAYAなどの著名なソフトウェアが今年(2015年)中に対応する予定だと説明している。また、Material Definition Language(MDL)という中間言語を導入し、異なるアプリ間で物理データを共有できるようにするなどの仕組みを導入し、利用促進を目指す。
価格は未公表だが、NVIDIAによればK6000と同レンジの価格帯になると予想している。出荷は4月6日以降に、各ワークスーテーションベンダーのほか、エルザのようなボードパートナーから提供される予定だ。
LowProfileカードなQuadro K1200、M6000を8枚搭載したQuadro VCAも追加
このほか、NVIDIAはQuadro K2200のLowProfile版となるQuadro K1200を発表した。基本的なスペックはほぼQuadro K2200と同じで、それがLowProfileになっていることが大きな特徴となっている。Mini DisplayPortが4ポートついており、LowProfileのスリムワークステーションでも多画面出力できるを実現できる。価格は350~370ドル(日本円で約4万2千円~約4万4千円)程度と予想されており、こちらも4月6日以降にワークステーションPCメーカーやボードパートナーから出荷される見通し。
また、NVIDIAは複数のQuadroを内蔵したワークステーションアプライアンスとなるVCAを訴求しているが、Quadro M6000のリリースに伴い、内蔵しているビデオカードをQuadro M6000が8枚にアップグレードした製品をリリースする。ブランド名も従来の単なるVCAと呼んでいたのを、Quadro VCAと変え、Quadroファミリの1製品であることを強調する形となる。
スペックはQuadro M6000を8枚で、1つのVCAあたりのCUDAコアは24,576個、1つのGPUあたり12GBのメモリ、CPUは20コア(10コアCPU×2)、システムメモリは256GB、ストレージは2TB SSDとなる。自動車メーカーなど、物理レンダリングを多用するような産業に向けた製品となり、価格は50,000ドル(日本円で約600万円)という想定価格となっている。