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NVIDIA、GM200ベースの「Quadro M6000」を発表

~LowProfileのQuadro K1200も発表

Quadro M6000

 NVIDIAは3月16日~20日の5日間に渡ってGPUソフトウェア開発者向けのイベントGTC(GPU Technology Conference)を開催しているが、その中で同社のワークステーション向けGPUとなるQuadroの最新製品として、「Quadro M6000」を発表した。Quadro M6000は、従来のQuadroシリーズの最上位製品となる「Quadro K6000」を置き換える製品で、最大の特徴は内部アーキテクチャがMaxwellとなっていることだ。

 また、同時にそのQuadro M6000を8枚搭載したレンダリングアプライアンスの「Quadro VCA」、「Quadro K2200」のLowProfile版となる「Quadro K1200」を追加した。

GeForce GTX TITAN Xと同じGM200ベースのQuadro M6000

 Quadro M6000は、これまでNVIDIAのQuadroシリーズの最上位製品だったQuadro K6000を置き換える製品。製品のモデルナンバーに「M」がついていることから分かるように、最新GPUアーキテクチャMaxwellに基づいており、ダイはGeForce GTX TITAN Xと同じGM200ベースとなっている。

【表1】Quadro M6000とQuadro K6000の比較
Quadro M6000Quadro K6000
ダイGM200GK110
製造プロセス28nm28nm
CUDAコア3,0722,880
メモリ12GB GDDR512GB GDDR5
メモリ帯域幅317GB/sec288GB/sec
単精度浮動小数点演算7TFLOPS5.2TFLOPS
最大消費電力250W225W

 スペックとしては、ほぼGeForce GTX TITAN Xと同じになっており、3,072個のCUDAコア、12GBのGDDR5メモリ、250Wの消費電力という仕様。単精度の浮動小数点演算の性能は7TFLOPSと、M6000の5.2TFLOPSよりも大きく向上している。

 ただし、倍精度浮動小数点演算向けの特別な機能が搭載されていないMaxwellアーキテクチャになったことで、その演算性能はKepler世代のK6000に比べて減っている。M6000の倍精度浮動小数点性能は発表されていないが、GeForce GTX TITAN Xは0.2TFLOPSと発表されており、M6000もほぼ同じだと考えられる。NVIDIAは、倍精度の浮動小数点演算を重視する場合は引き続きK6000を薦める。

 NVIDIAはこのQuadro M6000で、I-RAYを利用した物理ベースレンダリングを訴求していく方針で、REVIT、3DS MAX、MAYAなどの著名なソフトウェアが今年(2015年)中に対応する予定だと説明している。また、Material Definition Language(MDL)という中間言語を導入し、異なるアプリ間で物理データを共有できるようにするなどの仕組みを導入し、利用促進を目指す。

 価格は未公表だが、NVIDIAによればK6000と同レンジの価格帯になると予想している。出荷は4月6日以降に、各ワークスーテーションベンダーのほか、エルザのようなボードパートナーから提供される予定だ。

Quadro M6000の特徴を説明するスライド
Quadro M6000のスペック
Quadro M6000では引き続き物理ベースレンダリングが訴求されていく。自動車メーカーなどが写真品質のモデルカーを3Dで作成する時などの用途が考えられている
I-RAYの機能を3DS MAXやMAYAなどで利用できるほか、MDLという中間言語を利用して物体の情報などを異なるソフトウェア間でやりとりできるような仕組みを導入する

LowProfileカードなQuadro K1200、M6000を8枚搭載したQuadro VCAも追加

 このほか、NVIDIAはQuadro K2200のLowProfile版となるQuadro K1200を発表した。基本的なスペックはほぼQuadro K2200と同じで、それがLowProfileになっていることが大きな特徴となっている。Mini DisplayPortが4ポートついており、LowProfileのスリムワークステーションでも多画面出力できるを実現できる。価格は350~370ドル(日本円で約4万2千円~約4万4千円)程度と予想されており、こちらも4月6日以降にワークステーションPCメーカーやボードパートナーから出荷される見通し。

 また、NVIDIAは複数のQuadroを内蔵したワークステーションアプライアンスとなるVCAを訴求しているが、Quadro M6000のリリースに伴い、内蔵しているビデオカードをQuadro M6000が8枚にアップグレードした製品をリリースする。ブランド名も従来の単なるVCAと呼んでいたのを、Quadro VCAと変え、Quadroファミリの1製品であることを強調する形となる。

 スペックはQuadro M6000を8枚で、1つのVCAあたりのCUDAコアは24,576個、1つのGPUあたり12GBのメモリ、CPUは20コア(10コアCPU×2)、システムメモリは256GB、ストレージは2TB SSDとなる。自動車メーカーなど、物理レンダリングを多用するような産業に向けた製品となり、価格は50,000ドル(日本円で約600万円)という想定価格となっている。

Quadro K1200
Quadro VCA
Quadro K1200は、Quadro K2200のLowProfileカード版という位置づけの製品
Quadro VCAは、VCAのQuadro M6000搭載バージョン

(笠原 一輝)