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キヤノン、世界初テンキー電卓50周年記念の100台限定モデル
(2014/9/18 13:00)
キヤノンは、同社初の電卓「キヤノーラ130」(Canola 130)を1964年10月に発売してから50周年を迎えるのを記念した電卓「KS-50TH」を、100台限定で発売する。価格は5,000円(税別)、発売日は10月20日。キヤノンオンラインショップでのみ販売する。
記念モデルは、既存の「実務シリーズプロ仕様」にラインナップされる「BS-2200TG」をベースに、シャンパンゴールドの上品な色合いにしたもの。“50th Anniversary”の銘も描かれる。
機能はBS-2200TGに準拠。液晶部はチルト調整に対応し、表示桁数は12桁。同社が「早打ち機能」と呼ぶキーロールオーバーに対応。しかも、2キーロールオーバーまでに対応する電卓が多い中、完全な3キーロールオーバーとなる「新・3キー早打ち機能」に対応する。
電卓のキーロールオーバーは、例えば、[1]キーを押す(“1”を入力)→[1]キーを押したまま[2]キーを押し、[1]キーのみを離すと“2”が入力される機能となる。これにより、素早く数字入力を行なっていてもキー入力の取りこぼしが少なくなる。本製品では、3キーロールオーバーに対応するので、[1]→[2]→[3]のように同時押しと順に離していく操作をすると“123”が入力される。しかも、どのような順序で押下しても機能する、完全な3キーロールオーバーとなっている。
レンズ設計への必要性から生まれ、同社の販売チャネルを開拓する存在へ
電卓50周年と言えば、今年(2014年)3月にシャープも電卓事業50周年に合わせて記者会見を実施しているが、キヤノンも1964年10月に最初の電卓を発売してから50周年を迎える。現在の電卓事業は、1992年に事業部ごと香港へ移転。キヤノン電産香港有限公司(CEBM)として続けられてきた。
電卓開発前のキヤノンでは、レンズ設計者1名につき専任の計算担当女性2名を配属するという体制で、膨大な計算を要する光学機器開発を進めていた。その効率化のために計算機の必要性が高まったことから、事業化に失敗したシンクロリーダーの技術者により開発が進められた。
その結果生まれたのが同社初の「キヤノーラ130」である。シャープが世界で初めて発売した電卓「CS-10A」は、桁ごとに[1]~[9]の数字キーが並ぶ仕組みだったのに対し、キヤノーラ130は、テンキー入力を採用した電卓として世界で初めてのものとなる。
そして、1964年5月に行なわれたビジネスショウで発表、展示を行ない、10月に発売した。当時の価格は395,000円(北海道では415,000円)で、最終的な生産台数は6,334台。
ちなみに、キヤノーラの製品名は、元々カメラの愛称として出された案だったといい、現在でも金融機関向けのプリンタ内蔵電卓などで受け継がれている。
その後、1968年には、ICを採用した「キヤノーラ161S」、「キヤノーラ163」。約4kgと軽量(キヤノーラ130は約18kg)かつ、12桁表示で126,000円まで低価格化した、“1桁1万円”のヒット機「キヤノーラ1200」へと続き、ピーク時には35ブランドが林立したという1970年代の“電卓戦国時代”へ突入していった。
キヤノンはカメラメーカーのイメージが強いが、1960年代後半に「右手にカメラ、左手に事務機」という多角化戦略を打ち出し、現在では非常に広範に渡るチャネルへ展開している。個人向け販売チャネルだけを見てもカメラ取り扱い店だけでなく、家電量販店やホームセンターなどでも同社のさまざまな製品を取り扱っているし、ビジネス分野では金融などへもチャネルを持つ。
こうした販売チャネルを持ったきっかけを辿っていくと、実は電卓からスタートしていることが多いのだそうだ。現在では同社の電卓を文具店、コンビニなどでも取り扱っており、同社のチャネル開拓のベースと言える存在になっている。
電卓が一般家庭において普及した後も、多数桁の入力を容易にする「千万単位」、「億千万単位」機能、電子カレンダーやFMラジオを搭載した電卓、サンリオやピーナッツなどとのコラボ-レーションモデルなど、さまざまなアイデア商品を投入。PC Watch読者になじみ深そうなアイテムとしては、PCに接続してテンキーとしても利用できる電卓や、マウス機能を持った電卓なども2000年代に発売した。
最近でも、2つの税率を設定できる「W税電卓」や、原価や粗利率を算出できる「商売計算」など実務に役立つ機能や、プレゼンター用レーザーポインタを内蔵した電卓を発売するなどバリエーションを広げている。