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Thermaltake、4月以降に国内で投入する製品を紹介
(2013/3/22 17:54)
台湾Thermaltakeは22日(日本時間)、都内で記者会見を開催し、今後の製品戦略やロードマップについて説明を行なった。
冒頭では、同社のプレジデント&CEOのKenny Lin氏が、同社のこれまでの沿革や会社独自の文化などについて解説を行なった。
Thermaltakeは1999年に設立された会社。その名が示す通り冷却ソリューションが中心で、これまでCPUやPCケースなどを手がけてきた。2009年にはAppleの周辺機器ブランド「LUXA2」、2010年にはゲーミングデバイスブランド「Tt eSPORTS」ブランドを設立し、現在に至る。
おそらく本誌の読者にとってもっとも衝撃的だったニュースは、2012年のThermaltake日本法人の解散ではないだろうか。しかし解散後約半年で株式会社アスクと総代理店契約を締結し、今後の新製品について継続的な国内販売をコミットしている。
その理由としてリン氏は「これまでの日本法人では、顧客に対して製品を提供するだけで、本社が提供したいと思ったサービスを提供できなかったのに加え、日本のユーザーのフィードバック、日本のユーザーに対してのマーケティングを行なうことができなかった。今回アスクと緊密に提携することで、顧客に対して我々が考えるマーケティングやサービスを提供できる。それによって我々の日本における認知を高めていく」と説明した。
Thermaltakeの企業理念についても触れ、これは「競合他社と一線を画している」という。具体的には“顧客のニーズに応える製品を提供する”よりも、“会社の文化や精神を製品の形を通して顧客に提供する”という方針だ。リン氏は同じ経営理念を持つ会社としてAppleを挙げ、「AppleもiPhoneという製品を通して、Appleの文化や精神を顧客に伝え、それによって成功を収めている」とし、それになぞらえることで成功を収めるつもりだという。
そのため、Thermaltakeは「開発部隊が中心の会社」であり、各部門の中で唯一、社長と直接コンタクトを取れるチームが開発部隊だという。また、会社内は赤を中心とした、情熱を持ったイノベーションが生まれるようなオフィスとし、特にデザイン開発本部や研究開発部に関しては“創造的な空間”になっているという。
社風についてもかなり特殊で、オフィスにはゲーミングケースを採用したPCが多数並び、CPUクーラーも自社製品を採用、オーバークロックも自由であるという。さらには1日に1時間ほど「ゲームをして良い」という規則もあり、社長自らも仕事の合間に社員とオンラインゲームで対戦しているという。リン氏は、「我々のPCケースやCPUクーラー、ペリフェラルデバイスは“ゲーミング”を前提に作られているが、我々自身がそのテスターであり、だからこそゲーミングにふさわしいインスピレーション、デザインを製品に反映できる」と語る。こうした特殊な文化や社風が、本来工業的なデザインが当たり前な電源ユニットやPCケースで数々のデザイン賞の受賞に結びついているとした。
2010年に立ち上げたゲーミングブランド「Tt eSPORTS」についても、自社内でプロゲーマーチームを持ち、そこから得られたフィードバックを元に製品を世に送り出している。また、BMW DesignworksUSAとコラボレーションした「Level 10 M Mouse」をはじめとする多くのゲーミングマウス製品も、COMPUTEXなどで賞を受賞しているとアピールした。
4月以降にはケースやCPUクーラー、Level 10のヘッドセットを投入
続いて同社のアカウントマネージャーを務めるIan Hsieh氏が、4月以降に投入するThermaltakeブランドの製品について説明した。
まずゲーミング向けPCケースとしては、「Chaser A71」、「同A41」、「同A31」の3製品を投入。側面はアクリルで中が覗けるようになっているほか、メッシュを多用し通気性を高めたのが特徴となっている。
一方で、新たにメインストリーム向けPCケースとして「Urban」シリーズを立ち上げる。これはChaserとは対照的に開口部を少なくし、吸音材を貼り付けるなどして静音性を高めたシリーズとなる。ラインナップは「S71」、「S41」、「S31」、「S21」の4製品。
CPUクーラーについては、薄型ヒートシンクでメモリに干渉せず、さらに風圧を高めた独自のブレード採用ファンを採用した「NIC」シリーズを投入。ハイエンドから「C5」、「C4」、「F4」、「F3」の4製品を投入する。同時に簡易水冷も「Water 3.0」となり、ベース部やラジエータ部こそ変更はないもののファンがNICシリーズと同じ風圧を高めたタイプに変更され、冷却性が向上するという。
電源についてはいずれも80PLUS GOLD準拠とした「Toughpower」シリーズを展開。1,275Wの「Toughpower XT」、850W/750W/650Wの「Toughpower Grand」に加え、デジタルメーター付きで電力消費量などがわかるデジタルパネル付きの「Toughpower Grand 850W」を投入する。
Apple向けのLUXA2ブランドでは、これまでケースが中心だったが、今後はヘッドセットやモバイルバッテリ、スマートフォンスタンドの3製品に注力する。さらにモバイルバッテリについては、展示やスライドこそ示されなかったものの、多くの特許を取得した無接点充電タイプも、2013年夏頃に投入したいとした。
Tt eSPORTSブランドでは、マネージングディレクターのTony Liu氏が説明。PCケースで好評だったBMWと共同でデザインした「Level 10」シリーズを、2月に投入したばかりのゲーミングマウス「Level 10 M Mouse」に加え、ヘッドセットにも展開するとした。2013年夏頃の投入を予定しているという。
なおヘッドフォンとしてのスペックは、ドライバーユニットのサイズが40mm、周波数特性が10Hz~22kHz、ケーブル長が3m、ケーブルがステレオミニプラグ。マイクは指向性で、周波数特性は300Hz~10kHz、感度は-35±3dB。ノイズキャンセリング機能に対応している。