株式会社日立製作所と京都大学工学部 三浦清貴研究室は24日、石英ガラス内部に、CD並の容量のデータを記録/再生する技術を開発したと発表した。
文化遺産や公文書など、半永久的な保存が求められるデータを、長期にわたって記録/再生することを目的とした技術。石英ガラス内部に、フェムト秒パルスレーザーを照射すると、屈折率の異なる微小領域(ドット)が形成され、これが1bitのデジタルデータとなる。今回、レーザーの出力や、ドットの間隔、深さ方向の間隔などを最適化した多層記録技術と、光の振幅や位相を2次元的に変調できる空間位相変調機を用い、一度に100ドットを記録する技術を開発。これにより、4層記録で、CDの記録密度35MB/平方インチを超える40MB/平方インチを実現した。
読み取りについては、市販の光学顕微鏡で簡単にデータ再生できる技術を開発。通常は、多層記録された石英ガラスを光学顕微鏡で撮影すると、他の層に記録されたドット像がノイズとなる。これに対して、焦点距離を変えた2枚の画像を用いてコントラストを強調。さらにドットの輪郭を信号処理で強調することで、4層全てで、読み出しエラーゼロに相当するSN比15dBを達成した。また、1,000℃で2時間加熱する高温劣化加速試験でも、劣化なくデータ再生ができ、数億年以上にわたって保存可能なことを示しているという。
この成果は9月30日から東京で開催される国際シンポジウム「International Symposium on Optical Memory」で発表される。
(2012年 9月 24日)
[Reported by 若杉 紀彦]