株式会社ロジクールは、液晶カバーにもなるiPad用Bluetoothキーボード「ウルトラスリム キーボードカバー」(型番:TK710)を6月29日に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は9,980円。
Apple純正の「Smart Cover」と同様に、iPad 2および新iPadの左側面にマグネットクリップで装着できる、カバー一体型のBluetoothキーボード。底面(閉じた時はカバー表面になる)にアルミニウムを採用し、装着時の一体感を高めた。
従来の「キーボードケース For iPad2」(TK700)と比較すると本体の枠が削られ、厚みが9.96mmとなった(従来は13.45mm)。このためキーも押しやすくなったとしている。
キーボード上部には溝が彫られており、iPadを立てて使用できる。この溝にも磁石を装備しており、横置き時の安定性を高めるとともに、iPadを持ち上げてもキーボードが外れない仕組みとなっている。
キーはアイソレーションタイプで、64キー英語配列を採用。iOS用のショートカットキーを備える。スイッチはパンタグラフ、ピッチは17mm。インターフェイスはBluetoothで、操作距離は10m。
リチウムイオンバッテリを内蔵し、microUSB端子から約2時間の充電で、1日平均約2時間使用した場合、最大約6カ月の電池寿命を実現する。本体サイズは241.2×189.85×9.96mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約355g。
●iPadとの一体感の高さが特徴
製品発売に先立ち、TK710を試用する機会を得たので、写真を中心に簡単な試用レポートをお届けする。
パッケージは薄型で、本体の薄さを象徴するものとなっている。iPad専用のため同梱物は非常に簡素で、本体のほかに充電用Micro USBケーブルとクリーニングクロス、保証書および説明書のみとなっている。
キートップがある面は光沢のあるプラスチック製で、指紋がつきやすい。付属のクリーニンググロスはこちらを拭くためにあるのだろう。一方カバーとなる底面は質感の高い梨地のアルミニウムだ。iPad背面のアルミニウムと色味はほぼ同一だが、梨地処理が完全に一致しているわけではない。とはいえその差はごくわずかで、装着した時の統一感は保たれている。
本体パッケージと付属品 | MacBook Air、Smart Cover付きiPad 2、新iPadをスタンドに立てた状態で比較してみた |
iPadを装着して閉じた時の格好は、「Appleっぽいクラムシェル型ノートPC」そのもの。キートップ側の黒い素材がラインとして残り、iPadのボタンなどが見えてしまうため、残念ながらMacBookそっくりとまではいかないが、それでも一体感の高さも手伝って、なかなかかっこよい。
閉じた時の厚みは、iPad 2の場合は8.8mm+9.96mmの合計18.76mm、新型iPadの場合は9.4mm+9.96mmの19.36mmにもなり、MacBook Air(19.2mm)に近い数字になってしまう。それでも重量は前者が926g(実測)、後者が979g(実測)と、重量面ではある程度のアドバンテージは保たれている。また、フットプリントも当然ながらMacBook Airなどと比べると小さいので、携帯性を損なうことはないだろう。
キー配列は「F1」~「F12」などのファンクションキーを省いたシンプルな英語配列。また、Commandキーやホームボタンなど、iPadでの使用を前提としていることがよくわかる。PCで使おうとすると不便に感じるかもしれないが、本製品の性格を考えれば問題ないだろう。
英語キーボードとしてはクセのない配列だが、日本語キーボードに慣れたユーザーとしてはバックスラッシュ(\)の位置が気になるだろう。特にDeleteキー(Windowsで言うBackSpaceに相当)を押そうとすると、いつものクセでEnterキーの上を押してしまうため、バックスラッシュが入力されることが度々あった。MacBook AirのヒットでAppleユーザーでも日本語配列が浸透しているため、次機ではぜひ改善を望みたい。
また製品の性質上、「開いたらすぐに使える」というわけではなく、一旦マグネットクリップから外して溝にはめる作業が発生するのも、やや面倒だと思う。さらに、タッチ作業が発生するとどうしても一旦キーボードから手を離さなくてはならないため、ただのWeb検索やWebフォーム入力では面倒に感じるかもしれない。
しかし、本製品はやはり「iPadで長文入力をしたい」というユーザー向けの製品だ。キーボードを取り付ける手間やタッチ操作は度外視されるだろう。iPadといつもスタイリッシュ持ち運べるキーボードが欲しいユーザーに、強くおすすめしたい。
(2012年 6月 15日)
[Reported by 劉 尭]