中古情報機器協会、「情報機器リユース・リサイクル協会」に名称変更

5月22日 決議



 一般社団法人中古情報機器協会は、2012年5月22日に開催した定時総会で、名称を「一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会」に変更することを決議。2012年6月上旬にも、名称変更の手続きを完了する予定だ。

 略称のRITEA(リテア)は、もともとRefurbished(Reuse) & Recycle Information Technology Equipment Associationの意味を持ち、略称、英文名には変更はない。

 今回の協会の名称変更について、同協会専務理事の小澤昇事務局長は、「協会設立当初は情報機器リユースだけを範囲としてきたが、使用済み情報機器のリユースとリサイクルの両方に対応する事業者が拡大しており、今後はそれがさらに拡大するとみられること。さらに、リサイクル事業者には取り扱いに関する資格や規制がなく、実体を明確化するためにも適切な事業者団体が必要であるという背景も見逃せない。そうした中で、今後は情報機器リサイクルもカバーする事業者団体を目指していく」と、その狙いを語った。

 RITEAは、2006年7月に設立した、中古PCをはじめとする中古情報機器を扱う販売店などが加盟する団体。正会員で21社、準会員が17社、特別会員1社、賛助会員3団体で構成されている。

 PC、サーバー、携帯電話、スマートフォンなどの使用済み情報機器を、中古情報機器として再生する際に、適正にデータ消去するための「HDDデータ消去に関するガイドライン」を策定したほか、適正に再生した中古情報機器を販売する企業を認定する「中古情報機器取扱事業者資格」制度の実施といった仕組みづくりに取り組んでおり、情報機器利用者が、安心して使用済み機器を販売したり、中古情報機器を購入しやすい環境を作ることで、中古情報機器業界の拡大に寄与する役割を担う。

 また、正規のOSを新規にインストールし、一定期間の保証サポートを行なう良質な中古PCを「Renaissance PC」(ルネサンスPC)の呼称で展開するといった提案も行なっている。

 今後は、RITEA認定情報機器リユース・リサイクル取扱者に関する認定制度を開始。さらにそれに向けた教科書の作成するなど、情報機器のリユースおよびリサイクルにまたがる人材育成や認定などを行なう考えを示している。

 「情報機器のリユースおよびリサイクルに関する人材の資質向上を重要な課題の1つに掲げる一方、使用済み情報機器の売却ユーザー、排出ユーザーからの信頼感の向上を目指す」(小沢専務理事)と語った。


一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会の碇隆司代表理事

 定時総会に続いて開催されたキックオフ懇親会では、名称変更後も引き続き代表理事を務める碇隆司氏(アンカーネットワークサービス代表取締役社長)が挨拶。「これまで資源の保護、情報の保護という観点から業界標準を作ってきたが、今後は、新たな名称のもとで会員各社がリユースとリサイクルに取り組んでいくことになる。認定情報機器リユース・リサイクル取扱者に関する認定制度を開始し、透明性という点でも明確にしていく。グレーな点やわからない部分があれば、関連省庁と連携して、確証を得ていくという作業も行ないたい。利益主義ではなく、社会に対する説明責任を果たすことができる団体にしていきたい」などとした。

経済産業省産業環境局リサイクル推進課の渡邊厚夫課長
警察庁生活安全局生活安全企画課防犯抑制対策室の鈴木達也室長

 来賓の挨拶として、経済産業省産業環境局リサイクル推進課の渡邊厚夫課長は、「これまでのRITEAの活動は、制度の確立などリユース、リサイクルになくてならないきめ細かな事業展開を行なっており、感謝している。資源小国の日本では、海外から資源を輸入するだけでなく、使用済み製品からも資源を得るという取り組みがここにきて関心を集める中、名称変更は時期にかなったものである。これまで以上に情報関連機器のリユース、リサイクルの促進に期待している」と話した。

 警察庁生活安全局生活安全企画課防犯抑制対策室の鈴木達也室長は、「昨年(2011年)は約148万件の犯罪があったが、そのうち76.5%の約113万件が窃盗である。盗品を売りさばくマーケットができあがると泥棒にとってはプラスになる。これをいかに食い止めるかが重要であり、古物営業法の制度はそのためのものである。RITEAでは、中古情報機器を扱う団体であり、取引相手の本人確認、不正品の申告、帳簿の記帳という防犯三大義務を徹底してもらい、盗品が売りさばかれることがない社会環境の実現に協力してもらいたい。RITEAでは、今後、古物営業法などの概要、配慮すべきポイントなどを盛り込んだ教本を作成してもらえると聞いている。法令遵守を徹底する動きにつながり、窃盗防止、被害回復という点でもありがたい」と語った。

環境省廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室の森下哲室長
経済産業省商務情報政策局情報通信機器課環境リサイクル室・関根久室長

 また、環境省廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室の森下哲室長は、「先月、環境基本計画の改訂が閣議決定され、その中で3Rをしっかり展開していくことが盛り込まれているが、特に、資源の確保という観点が循環型社会づくりでは重要になってきている。RITEAにも国内で循環資源を行なっていく社会づくりに貢献してもらいたい。使用済みの小型電子機器の回収およびリサイクルに関する新たな制度については、経済産業省と一緒に新たな時代の要請に沿った形で、公正公平な状況で競争できる環境づくりに取り組んでいく。脱法的に行なう人たちに対する取り組みを強化したい。不要品回収業者への対策や、海外に脱法的に輸出している人たちに対する対策も行ないたい。その点ではRITEAと情報交換をしていきたい」と挨拶。

 経済産業省商務情報政策局情報通信機器課環境リサイクル室・関根久室長は、「名称を変更しても、略称および英文名を変更しなかったことは海外発信において効果的。使用済みPCおよび携帯電話における個人情報の保護の基準を作ったことは循環型社会への対応として有意義。これは一度基準を決めたからそのままではなく、時期に応じて変えていく必要があるだろう。また、ソフトウェアメーカーとともに、個人情報の保護からHDDデータの消去に関する推奨ソフトウェアを決定したことも意味がある。これも一度の推奨だけで終わるのではなく、継続的に検証してもらいたい。またリユースとリサイクル、資源有効利用促進法、小型家電への対応、レアアースやレアメタルなどの問題は、すべて情報機器が対象になってくる。ここにいるのは真っ白な方々ばかり。そうした人たちを増やしていくことを期待したい」と語った。

乾杯の音頭をとった慶應義塾大学経済学部・細田衛士教授

 一方、乾杯の音頭をとった慶應義塾大学経済学部・細田衛士教授は、「これだけの来賓の方々が、この業界を応援してくれるのはありがたい。『霞ヶ関』をもっと使って、我が国が世界で冠たる国にしなくてはいけない。説明責任を果たして、ビジネスと環境をペアになって発展することを期待している。また不正な海外輸出を許さず、きれいな流れを作るのはこうした団体があってこそ実現するものである。そこに警察庁が応援してくれること、そして経済産業省、環境省も応援してくれている。こうした支援がある以上、加盟企業は、もっとエンハンスして、日々の業務に励んでほしい」とエールを贈った。

(2012年 5月 23日)

[Reported by 大河原 克行]