富士通アイソテック、3D対応液晶一体型PCの組み立て教室を開催
~震災に負けず、強い意志で開催を決めた

富士通アイソテック本社工場

8月27日 開催



 富士通アイソテックは富士通と共同で27日、福島県伊達市保原町の富士通アイソテック本社工場において「富士通パソコン組み立て教室」を開催した。このPC組み立て教室は、「小中学生の科学に対する興味や関心の育成と地元企業として地域への社会貢献」を目的に、2004年から毎年行なわれているもので、今回で8回目となる。

 対象は、小学校5年生~中学3年生までで、定員は30名。震災の影響もあり、例年よりはやや応募者が少なかったとのことだが、それでも全国から36組の応募があったという。福島県内は21組で、そのほか、愛知、東京、岩手、茨城、長野、群馬、千葉、埼玉の各県からも参加した。30名の内訳は、小学生が13名、中学生が17名、女の子は9名であった。なお、原則として保護者同伴とされており、中には孫と一緒に参加している家族もあった。

 今回の教室で組み立てるのは、2011年夏モデルとして発表された最新の3D対応液晶一体型PC「ESPRIMO FH55/DN」である。ESPRIMO FH55/DNは、偏光方式の3D液晶や3Dカメラを搭載し、1台で3Dコンテンツの視聴から制作まで行なえることが特徴で、Blu-ray Disc(BD)ドライブやデジタル3波対応ダブルTVチューナも搭載した高機能モデルである。

 最初に富士通アイソテックの栃本政一社長が、「地震がこないように祈りながら、頑張ってPCを組み立てましょう」と挨拶し、早速組み立て体験が開始された。福島県は東日本大震災の被害が大きかった地域であり、例年通り開催するか議論もあったとのことだが、震災後の暗いムードを吹き飛ばすためにも、自分たちにできることをいつも通りやることが大切だという強い意志を持って、開催を決意したという。

PC組み立て教室は本社工場敷地内にあるスポーツプラザを利用して行なわれた最初に挨拶を行なった富士通アイソテック代表取締役社長の栃本政一社長

 組み立てにあたっては、工場のリーダークラスの人がサポーターとして2組に1人ずつ付いて、丁寧に指導していた。今回の組み立ては、15種類の部品と2種類27本のネジを使って、約1時間25分(途中休憩あり)をかけて行なうという内容だ。参加者の中には、ドライバーもあまり使ったことがないという人もいたようだが、よくできたマニュアルとサポーター、作業しやすいように配置された台車のおかげで、全員がスムーズに組み立てを進めていた。このあたりは、回を重ねてきたことによるノウハウが活かされているのであろう。

 組み立てが完了したら、工場に移動し、PC生産ラインの見学と電動ドライバーを使ったネジ締め競争が行なわれた。ネジ締め競争では、最初に熟練者による実演が行なわれ、その速さに感嘆の声も出ていた。工場見学終了後、再び組み立て教室の会場に戻り、全員でPCの電源を入れたところ、すべてのPCが無事に起動し、子供達もほっとした表情を見せた。なお、このときのHDDイメージは組み立て教室専用のものだが、組み立てたPCには、市販製品と同じHDDイメージが導入されて、参加者宅に後日配送される。

 その後、今回組み立てたESPRIMO FH55/DNのウリである、3D機能の演習が行なわれた。ESPRIMO FH55/DNでは、市販のBlu-ray 3Dなどの3Dコンテンツを視聴するだけでなく、内蔵3Dカメラによって、3D写真や3D動画の撮影が可能である。今回は、3D動画の撮影中にリアルタイムでさまざまなエフェクトを追加できる独自ソフト「3Dカメラビューアー」を利用して、3D動画を撮影し、3Dメガネをかけて、自分で作った3D映像を楽しむという演習が行なわれた。参加者は、迫力のある3D映像が簡単に作れることに驚いていたようだ。参加者の1人である小学校6年生の女の子に感想を訊いたところ、「楽しかった。今まであまりネジを締めたことはなかったけど、説明がわかりやすくてよかった」と答えてくれた。

●組み立て作業前半

 では、写真で組み立て教室の様子を見てみよう。

PC組み立て教室のタイムスケジュール。組み立て後、工場見学やPC演習が実施された組み立て作業の全体的な流れ。大きく10の工程に分けられている。なお、マザーボードや液晶パネル、TVチューナカードなど、いくつかのパーツはあらかじめ組み込まれた状態になっている最初にネジの締め方が説明された
パーツは使う順番にボックスに整理されている今回の組み立てに使うネジは2種類作業を行なう前に、作業用エプロンを着用する
静電気防止用リストバンドを左手に着用する静電気防止用リストバンドから出ている線をアースに接続まず、3Dカメラユニットを取り付ける
3Dカメラユニットをネジ2本で固定する2組に1人ずつ組み立てサポーターが付き、丁寧に組み立て方を指導してくれる3Dカメラユニットのケーブルをマザーボードに接続する
ケーブルをクリップで挟んで固定する次の工程がしやすいように、台車を90度回転させるメモリモジュールを取り付ける
2枚のメモリモジュールを取り付けたところBDドライブにケーブルを接続するSATAケーブルと電源ケーブルを接続したところ
BDドライブを本体に取り付け、ネジ2本で固定するHDDマウンタを取り出すHDDをマウンタにセットする
ネジでHDDをマウンタに固定するHDDにSATAケーブルを接続するHDDマウンタを本体に取り付け、ネジ1本で固定する
HDDに電源ケーブルを接続するHDDに電源ケーブルを接続したところ電源ケーブルの反対側をマザーボードに接続する。これで組み立ての前半が終了。休憩となった
前方にはHDDの中身が展示されていたヒートシンクやCPUを外した、本製品のマザーボードも展示されていた各デバイスからのケーブルをマザーボードに接続していく
この工程では全部で4本のケーブルをマザーボードに接続する4本のケーブルの接続が完了した状態次は、電源コネクタが取り付けられている金属製カバーを装着する
金属製カバーを3本のネジで固定したところ電源ケーブルなど2本のケーブルをマザーボードに接続するケーブルをクリップに挟んで固定する
2本のSATAケーブルをマザーボードに接続する背面シャーシを取り付けるシャーシをネジ8本で固定する
背面カバーを取り付ける背面カバーをネジ7本で固定する。最初はぎこちなかったネジ締めも上手になってきたメモリカバーをはめ込む
これで組み立て作業は一通り完了完成したPCはやや重量があるので、サポーターが起こしてくれる完成したPCが参加者のほうに向けられる
電源を入れる前に、工場見学が実施された

●工場見学と3D演習
見学対象のE棟。日のあたる壁面には朝顔によるグリーンカーテンが設置されている工場見学専用入り口から中に入る最初にビデオで概要の解説が行なわれた
工場内は休業日なので、閑散としているネジ締め競争に使われた電動ドライバーとネジ締め練習板ネジ締め競争は10人ずつ3回に分けて行なわれ、各回の優勝者には賞品がプレゼントされた
工場見学後、再びスポーツプラザに戻ると、テーブルには参加者の名前入りの特製シールが用意されていた。PCの好きな場所にシールを貼って、自分だけのPCにできる合図にあわせて一斉に電源を入れる。緊張の一瞬だが、全員のPCが無事起動し、参加者の笑みがこぼれた富士通独自技術である「3Dを『つくる』」機能の演習が行なわれた
まず、3D機能の設定を行なう付属アプリ「3Dカメラビューアー」を利用して、3D動画を撮影し、自由にエフェクトなどを追加する3Dメガネをかければ、今作った3D動画を楽しむことができる

(2011年 8月 29日)

[Reported by 石井 英男]