Spansion、2011年末にNAND型フラッシュを投入

アリ・プールケラマティ氏

7月27日 開催



 日本スパンション株式会社は27日、日本法人の川崎本社ビルで記者会見を開き、米国本社から来日したマーケティング&ビジネス・デベロプメント担当 シニアバイスプレジデントのアリ・プールケラマティ氏が、同社の現状および今後の展望について説明した。

 同氏はまずSpansionの会社概要および2010年度の財務状況などについて説明。2010年度の時点で売上高は12億ドルで、従業員数は3,500人、世界22カ国で事業を展開している。戦略を主に民生用/ゲーム機、車載/産業用機器などの組み込み市場にフォーカスし、2010年度のNORフラッシュメモリ市場シェアでNo.1の36%を獲得していることをアピールした。

 同社は約2,000件の特許、3,900種類の製品を保持しているのも特徴。顧客は4,000社以上で、各々の顧客のニーズにあわせて細かな製品展開することでシェアの拡大に成功した。また、独自のMirrorBit技術を武器とし、信頼性、長寿命、省電力、長期的なサポート、ソフトウェアの互換性などを実現することで、顧客にとって有益なソリューションを提供できているとした。

 また今後は動作可能温度環境を-40℃~105℃、さらには125℃まで引き上げたラインナップを提供することで、車載用などでより広い範囲をカバーできるとした。さらに、顧客独自のロジックの中にNORフラッシュを組み込んでいけるような技術を提供するなど、採用機会を増やしたいとした。

 微細化についても、ムーアの法則に則り、コスト削減や大容量化を推進していく。45nmについてはすでにファウンダリへの引渡しを終了し、32nm以降のプロセスについて現在開発中であるとした。一方で、先述のようにSpansionは組み込み向けにフォーカスしているため、旧プロセスの製品も長期的な提供を行なっていくとコミットした。

2010年度の財務状況や会社概要信頼性や長寿命などに重視し、組み込み向けにフォーカスプロセスルールの微細化に伴う製品ラインナップの増加

 一般的なフローティングゲートによる記録技術と比較して、独自のMirrorBitテクノロジを採用する優位性については、低背化により微細化で有利であったり、2bit/セルを実現する上ではもっとも簡単なアプローチであると紹介。また、信頼性や性能、製品寿命などの面で優れるとした。

 実測でも、プロセスルールの進化によるコア有効セルサイズは、フローティングゲートNOR型セルと比較して小さく、よりリニアにシュリンクできたという。実際、65nmプロセスではセルサイズが0.037平方mmだったのに対し、45nmでは0.020平方mmと、46%削減できた。その一方で、プログラム・イレーズ・アルゴリズムの最適化などにより、65nmプロセス品と同等の性能や信頼性などを実現した。

MirrorBitテクノロジの概要フローティングゲート型と比較してプロセス微細化の恩恵を受けやすい65nmから45nmへのシュリンクでセルサイズが46%減少した

 現在、車載向けNORフラッシュのシェアは同社が60%超だが、今後は先述の広範囲動作温度保証品をラインナップ追加することでさらなる拡大を目指す。転送速度も既存の61MB/secから80MB/secに向上させ、音声認識ソリューションなどに対応していく。また、産業用アプリやセキュリティカメラ市場についても拡大を目指すと述べた。45nmプロセス製品については2013年半ばより提供していく。

車載向けではさらなるシェア拡大を目指す産業向けにもフォーカスするNORフラッシュメモリのロードマップ。105℃対応品の投入がメイン

 一方、MirrorBitを採用したNANDフラッシュメモリも2011年第4四半期より提供を開始し、組み込みにフォーカスした製品展開を行なう。特にネットワークや通信、車載分野にフォーカスするとした。これにより、セットトップボックスやデジタルTV、携帯電話を開発する顧客は、NORとNANDを組み合わせた製品展開が可能になるとした。

 製造するNANDはSLCとなり、高耐久性や高性能を狙う。SLCは既存メーカーがすでにあまり注力していないが、組み込み向けでは必須になるだろうとした。2011年末時点では1Gbit版を出荷開始するが、2/4/8Gbitも順次提供を開始する。20nm世代プロセスを採用した製品についても、2013年中に投入していくとした。

 最後に同氏は、MirrorBitテクノロジについて今後、ファウンダリへのライセンスを行なうことで、SoCやオンチップへの搭載を容易にし、シェア拡大を目指すと意気込みを語った。

2011年末からNANDフラッシュメモリも投入NANDフラッシュの投入により、顧客はSpansionから柔軟な構成が選択できるようになるSLC NANDにフォーカスしていく
NANDフラッシュメモリのロードマップMirrorBitのライセンシングも開始MirrorBitテクノロジの概要とまとめ

(2011年 7月 28日)

[Reported by 劉 尭]