パナソニック、「Let'snote J9」新製品発表会を開催
~女性向けのプロフェショナルモバイル

Let'snote J9

9月28日 開催



 パナソニックは28日、10型クラスのモバイルノートPC「Let'snote J9」を発表。これに伴い、発表会をパナソニックセンター東京のスタジオで開催した。

 Let'snote J9は、標準電圧版のCore iシリーズCPUを搭載しながら、10.1型ワイド液晶搭載によるコンパクト性、そして(本体重量のみで)1kgを切る軽量性を実現したモバイルノート。店頭モデルでは、CPUやストレージ、Officeの有無で合計4モデルが用意される。詳細については関連記事を参照されたい。

発表会場で展示されたLet'snote J9キーボード。リーフ型のキートップで指の引っかかりを少なくしたというLet'snoteシリーズお馴染みの円形のタッチパッド
液晶ディスプレイはRシリーズからワイドに変更された本体右側面のインターフェイス本体左側面のインターフェイス
本体前面のインターフェイスやスイッチなどジャケットを外したところジャケットを外したところの底面
マザーボード。R9比で約76%と小型化されている標準電圧版のCPUに対応するために、ファンの厚みを持たせてあるマザーボードを裏返したところ
採用するSSDはカバーがないモジュールタイプ。東芝製女性向けを謳う白のシフォンジャケットハイパフォーマンスモデルのパンサーブラックジャケット
マイレッツ倶楽部で用意されているカーディナルレッドのジャケットこちらもマイレッツ倶楽部のみで用意されているイーグルブラウンのジャケットSAZABYとのコラボレーションジャケットも限定で発売する

●女性層の拡大を目指す
奥田茂雄氏

 発表会の冒頭では、パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 ITプロダクツビジネスユニット ビジネスユニット長の奥田茂雄氏が、新商品のコンセプトについて紹介した。

 同社は、モバイルPCの戦略を紹介し、「デスクトップPCの性能をモバイルにしてビジネスで活用できるツールにすることが我々の目標。軽量性と長時間駆動、そして頑丈さ(タフ)をテーマに、ビジネスモバイル向けにLet'snote、フィールドモバイル向けにTOUGHBOOKの2ラインナップを展開してきた」とした。

 このうちLet'snoteは、2002年のリフレッシュ後から成長を続け、「2002年に第1世代として軽量や長時間駆動を目指した“CF-R1”、2005年に第2世代として頑丈さ(耐100kgf)を加えた“CF-W4”、そして2009年に第3世代として高性能をプラスした“CF-S8”を発売し、プロフェショナルモバイルの地位を確立した」と述べ、モバイルノートにおけるシェアNo.1の地位を確立したことをアピールした。

Let'snoteとTOUGHBOOKの展開Let'snoteの進化6年連続でモバイルノート市場でNo.1を獲得

 現在のモバイルIT機器市場の分析をすると、閲覧性や性能は限られるが、手軽に持ち運べ、すぐに使えるといったモバイル性に重視した携帯電話と、携帯電話と比較するとモバイル性は乏しいものの、高い性能で高い生産性を得られるノートPC、そしてその間に存在するネットブックやスマートブック、スマートフォンなどがあるとする。そして今回のJ9は、モバイル性を高めた携帯電話ライクなコンセプトを取り入れて開発したという。

 具体的には、従来のLet'snoteを踏襲する高性能、軽量、長時間駆動、頑丈というプロフェショナルモバイルの要素以外に、高速CPU、高速起動、高速ワイヤレス、取り出してすぐに使えるジャケットスタイルを加えた“Quick”な要素、そして本体デザインへのこだわりと着せ替え可能なジャケットによる、プライベートでも利用できる“私らしい”要素を加えたものとした。

 奥田氏は、「現在、Let'snoteのユーザーの9割以上が、ハイスペックを求める男性のモバイルユーザーである。今回の新製品の投入により、女性層の拡大と開拓を目指し、全体の4分の1以上を女性が占めるようになりたい」と意気込みを語った。

 奥田氏のプレゼンテーションのあと、J9のベールがはがされ、モデルの女性がバッグからジャケット付きのJ9をそのまま取り出し、開いて使う演出もなされた。

モバイルIT機器市場の分布J9のコンセプト
女性がカバンからJ9を取り出す演出も

●新製品の特徴

 続いて、同社 ITプロダクツビジネスユニット テクノロジーセンター プロジェクトリーダーの星野央行氏による製品説明が行なわれた。

 新製品のスペックの特徴としては、世界で初めて10型クラスの筐体に標準電圧版のCore iシリーズのCPUを搭載し、高性能を実現したほか、上位モデルでは6セルバッテリの搭載により、約12時間の長時間駆動を実現したことをアピールした。特に標準電圧版のCPUの搭載にあたって、R9から基板を約24%小型化することで、同等のボディサイズにより大きい放熱機構を搭載することができたという。これにより、HDDモデルでは約1.2倍、SSDモデルでは約1.8倍の高速化(PCMark05の結果による)を実現できたとした。

星野央行氏J9のスペックの特徴
基板サイズの小型化R9とJ9の性能の比較

 一方、“Quick”な要素のうちでもっとも重要な高速起動だが、独自の「クイックブートマネージャー」により、SSDモデルでは約15秒でWindows 7を起動できる。これはOS起動時に必須のサービスと必須ではないサービスの起動順序などを入れ替えることによって実現したという。R9との比較データでは約半分の時間で起動できたとした。

 このほか、Bluetooth/無線LAN/WiMAX/ワイヤレスWANの、4つの通信方法をすべてサポートする自社開発の高感度アンテナや、モバイルシーンを想定して、カバンから取り出してすぐに使える専用ジャケットの設計、液晶のワイド化による高解像度化、HDMIやUSB 2.0のインターフェイス周りの強化などを紹介した。

クイックブートマネージャーによる高速起動R9との起動時間比較。J9はデスクトップが見えているが、R9はまだ起動中12時間駆動や1kgを切る軽さを実現
さまざまなワイヤレス通信をサポートJ9専用のジャケット解像度の向上とインターフェイスの強化
リーフ型のキーボードでミスタイプを減らせるというマイレッツ倶楽部ではさまざまなカスタマイズができる店頭モデルはスタンダードとハイパフォーマンスの2モデル展開

●女性向けのマーケティング展開も

 発表会では、シフォンホワイトのジャケットをデザインした、ヒロタデザインスタジオ代表の廣田尚子氏がゲストとして招かれ、開発とマーケティング担当とのトークセッションが開かれた。

 シフォンホワイトジャケットの特徴について尋ねられると、「天板部にアーチ型のラインを入れることで、女性の個性をアピールできるようにした。また、手に持つ部分とそうでない部分は2種類の素材を使い分け、デザイン性と実用性を兼ね備えるようにした。これまで、どちらかと言えばプロフェショナルモバイルは女性とは遠い関係だったように思うが、このジャケットによって少しでも距離が縮められたら良いと思う」と答えた。

 このほかの女性への配慮として、リーフ型のキーボードが挙げられる。パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツビジネスユニット テクノロジーセンター 設計担当の金子晴香氏は、「リーフ型にすることで、斜めへ移動するときに爪への引っかかりを減らした。デザイン的にもやさしい雰囲気にした」と解説した。

 女性向けのマーケティング展開としては、Twitterへの展開をはじめ、製品モニター、特設サイトの開設、キャンペーンなどを行ない、認知度の向上を図るとした。

自身がデザインしたシフォンホワイトのジャケットを紹介する廣田尚子氏ジャケットのカラーバリエーションを用意し、着せ替えが可能リーフ型のキーボードで引っかかりを少なくし、女性の爪を配慮した
女性向けのプロモーション女性のモニターを募集中

 発表会には、インテル株式会社 次世代戦略製品事業本部 本部長の木下正明氏も招かれ、新製品発表への祝辞を贈るとともに、今後もパナソニックとのパートナーシップを継続し、高いパフォーマンスと長時間駆動、軽量、頑丈性に優れたモバイルノートの開発に携わりたいとした。

 また、女性のモバイルユーザーの声の1つとして、インテル アジアパシフィック地域 マーケティングディレクター 江田麻希子氏によるビデオレターも上映。江田氏は、「これまでは、ビジネスモバイルというと男性がメインのイメージだったが、最近では電車内やカフェ、会議などにおいて女性がモバイルノートPCを使う姿が見られるようになった。新製品はそんな女性を支えていけると確信している」と述べた。

木下正明氏CPUの処理能力やブロードバンドの普及によるコンテンツの高精細化高精細コンテンツを処理できるCore iシリーズのプロセッサ
ネットブックの携帯性と通常ノートPCの高性能を両立するジャンル江田麻希子氏

(2010年 9月 28日)

[Reported by 劉 尭]