東京大学と国立天文台が共同開発したスーパーコンピュータシステム「GRAPE-DR」が電力あたりの性能ランク「Green500」プロジェクトの「Little Green500 List」で世界一を達成した。
GRAPE-DRシステムは、超並列アクセラレータ「GRAPE-DR プロセッサ」を汎用PCに増設してクラスタ化したもの。今回、HPLベンチマークにおいて、1W当たり815.43MFLOPSの演算性能を実現した。
測定に使ったのはGRAPE-DRの64ノード。1ノードのシステムは、Core i7-920、メモリ18GB(DDR3)、ASUS製マザーボードという汎用PCの構成で、ネットワークはx4 DDR InfiniBandで接続。CPUでの64ノード合計の演算性能は2.2TFLOPS。
このPCに、1チップ200GFLOPS、消費電力50WのGRAPE-DRプロセッサを4つ搭載した「GRAPE-DRボード」を搭載。GRAPE-DRボードによって10倍以上の23.4TFLOPSを実現し、5倍以上の電力当たり性能になるという。
また、HPLベンチマークの行列演算において理論ピーク性能の80%という高い効率を実現し、さらに、HPLベンチマークに対してアクセラレータ向けの新たなアルゴリズムを使うなどの最適化を施して性能を向上させた。
今後は、GRAPE-DRにまだ性能向上の余地があるため、50%程度の電力当たり性能向上を目指し、大規模システムでの性能測定を実施するとしている。
GRAPE-DRプロセッサ | GRAPE-DRボード |
(2010年 7月 7日)
[Reported by 山田 幸治]