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「芸術の領域に達したX1シリーズのデザイン」

〜ThinkPad X1シリーズ製品発表会

ThinkPad X1シリーズを持つ留目氏、David氏、大谷氏(左から)

 レノボ・ジャパン株式会社は9日、薄型デザインを実現した製品群「X1」シリーズを発表した。これに伴い都内の国立新美術館(港区・乃木坂)で記者発表会を開催し、開発担当者により製品開発のコンセプトなどが語られた。

 なお、それぞれの製品の詳細については関連記事を参照されたい。

発表会は新国立美術館で行なわれた

ワークスタイルに変革をもたらすモビリティ

留目真伸氏

 冒頭では、同社代表取締役社長の留目真伸氏が挨拶。ワールドワイドで1位のシェアを堅持していること、国内でもNo.1の地位を維持し、なおかつ成長していることをアピール。2015年度第3四半期で過去最高の業績を達成したとしながらも、この現状に甘んじることなく、スマートフォンからタブレット、PC、そしてエンタープライズ領域全てに製品を拡充させることで、さらなる成長を目指すとした。

 1992年のIBM時代の「ThinkPad」1号機を投入から、既に20年以上が経過しているが、このThinkPadのコンセプトは今でも受け継がれている。少し前までは神奈川県の大和市にある大和研究所、現在はみなとみらいにある大和事業所で一貫して開発されており、日本人の手によって開発された製品が世界に向けて発信されていることを強調。「我々は日本のモノづくりの強さを信じて開発を継続してきたが、ThinkPadの累計出荷台数が1億台を達成したことはその強さを象徴しており、グローバルオペレーションの中で日本の素晴らしいモノづくりを証明してみせた」と誇った。

 その一方で留目氏は、「パーソナルなコンピューティングがまだ実現していない段階にある」とも指摘。「コンピュータは人々をサポートする時間や機会はまだまだ少なく、これからIoTの進化とともに増えていくと期待している」とした上で、これからパーソナルコンピューティングの第2章が展開されていくとした。

 その中でレノボ・グループとしては、ユーザーのライフスタイルの変革をもたらす「D3プロジェクト」、ワークスタイルの変革をもたらす「D3 Works プロジェクト」を展開している(D3とはDigital Dynamic Dailyの略)。ことワークスタイルについては、今後増加する介護のニーズを鑑み、大きな変革が必要だとし、そのためにはまずどこでも仕事ができる“モビリティ”が重要であると指摘し、今回のThinkPad X1シリーズの導入に至った経緯を話した。

Lenovoのワールドワイドの市場シェア
レノボ・ジャパングループの日本市場でのシェア
レノボの製品群
ThinkPadの遷移
D3プロジェクト
これから生産性を上げていくためにはモビリティが重要なテーマとなる

X1は「身近にある芸術作品」

David Hill氏

 続いて、今回の発表会のために特別来日したLenovo本社でチーフデザインオフィサーを務めるDavid Hill氏が、X1シリーズのデザインコンセプトについて語った。

 冒頭で同氏は、2015年に亡くなった、ThinkPadデザインの生みの親でもあるプロダクトデザイナー、Richard Sapper氏のコメント「Time is one of the few things that may ultimately establish the true quality of an object(時間は、最終的に物の真の品質を証明できるものの1つ)」を挙げた。

 ご存知の通り、黒を基調に赤のアクセントを取り入れたThinkPadのデザインは1992年から変わっておらず、時代を超えて今日まで生き続けている。Richard氏の言葉で言い換えれば、元々のデザインが大変優れたものであったという証拠である。ThinkPadのデザインの源泉は、日本の松花堂弁当だ。黒を基調とした赤のアクセント。そして必要最低限のシンプルな仕切りで、弁当箱として必要十分な機能性を持たせている。Richard氏はそのデザインからインスパイアを受けThinkPadをデザインした。その流れは今日でも変化していないことを強調した。

 その上でDavid氏は「物を改善する最善の方法は、新たに創り出すことではなく、元あるデザインに少しずつ改良を加えていくことだ」とも指摘する。X1シリーズは、時代の流れで多くの新機能を取り入れた新製品ではあるものの、1992年の初代ThinkPadとデザインで共通している。

 こうして時代に流されない一貫したThinkPadデザインとフォルムは、ThinkPadとしてシンボルを確立。さらに、「製品デザインという領域を超え、芸術作品の域に達した。さらに芸術だけではなく、機能をも持ち合わせた。洗練され、目的があって、ユニークで、考えぬかれ、優雅で、精密で、唯一無二、そして完璧を求めたデザインである。ThinkPadはユーザーが身近で手にすることができる芸術作品だ」と製品を誇ってみせた。

Richard Sapper氏のコメント
ThinkPadのデザインは、日本の松花堂弁当から始まっている
ThinkPadのデザインは1992年から変わっていない
アイデアが最適なフォームを見つけた時、それは芸術になる
デザインは芸術なだけでなく、優雅な機能をも意味する
ThinkPadは完璧を求め続けている

新製品の特徴

大谷光義氏

 レノボ・ジャパン株式会社 コマーシャル製品事業部 Thinkプラットフォームグループ 部長の大谷光義氏が、新製品の特徴および開発方針について解説した。

 X1シリーズ初となる一体型デスクトップの「ThinkCentre X1」については、「これまでThinkCentreがあまり進出してこなかったホテルのフロントやカウンター業務などを考慮し、デザインを重視して設計した」という。もちろん薄型筐体によるデザインも優れているのだが、ミリタリースペックへの準拠やvProへの対応、新開発のドルフィンシェイプブレードファンの採用による静音性など、機能面でもThinkシリーズの名に恥じない製品となっている。

 モバイル向けには、ThinkPad X1シリーズを3製品投入。これまで同社のモビリティ製品は、「ThinkPad X260」が代表する1.3kg台の製品はあったのだが、特に日本市場においては、1.3kg以下の製品が必要不可欠であるとし、最軽量のX1 Tablet、1.1kg台のX1 Carbon、1.2kg台のX1 Yogaの3ラインナップを展開するとした。

 着脱式キーボードを備えるX1 Tabletについては、タブレット単体で767g、キーボード付きでも1,065gの軽量性に加えて、バッテリと拡張性を提供する「プロダクティビティモジュール」、プロジェクタとそれを2時間駆動させるバッテリを内蔵した「プレゼンターモジュール」、3Dカメラを内蔵させた「3Dイメージングモジュール」で、拡張性にも富んでいるとした。

 また、キックスタンドは本体下部を軸とした構造を採用することで、本体を155.5度倒せる「スタイラスモード」が利用できるようにした。このスタイラスモードは顧客の強いニーズがあり、構造を考慮して実装に至ったとしている。

 このX1 Tablet向けに、4K対応の27型IPS液晶「ThinkVision X1」を用意する。USB Type-Cケーブル1本でX1 Tabletに給電をしながら表示が行なえ、なおかつLEDライトを搭載した可動式カメラとマイクを備えるなど、ユニークな製品となっている。なお、このディスプレイは3月に改めて正式発表される予定だ。

 続いてX1 Yogaだが、ThinkPad Yogaから受け継いだ、タブレットモード時にキーが格納しフレームとツライチになる「Lift'n Lockキーボード」を採用。これは医療現場からのニーズで、タブレットモード利用時にキーに不用意に触れると、キートップが外れてしまったことがあったからだという。また、薄型化のためにトラックポイントを新規開発。さらに、キーストロークは1.8mmを確保し、キートップに水がかかった時の排水口機構も継承したという。

 X1 Yogaには、有機ELディスプレイ搭載モデルも用意される。200万:1の高コントラストや高い色再現性、広視野角などを特徴としている。有機ELディスプレイ搭載モデルについては、2016年夏頃出荷する予定だとした。

 クラムシェルのX1 Carbonについても触れ、16.45mmの薄さや1.18kgの軽量性についてアピールされた。

ThinkCentre X1の特徴
静音性などへのこだわり
日本国内では、1.3kg以下の製品も必要
ThinkPad X1 Tablet。Helixの後継として位置付けられている
3種類のモジュールで拡張できる
独特なキックスタンド
ThinkVision X1は3月発表予定としている
ThinkPad X1 YogaのLift'n Lock キーボード
有機ELディスプレイ搭載モデルも夏頃出荷予定
X1 Carbonは約10%の軽量化を実現した

“空気を読む”ThinkPadへ

 最後に、ThinkPadの開発哲学や、X1シリーズの開発へのこだわりについて説明された。

 実は、大和事業所で3〜4年前、ThinkPadの開発方針について内部で検討したことがあったという。その検討の結果、「ThinkPad開発哲学の木」というスローガンを掲げ、この開発哲学の木に基づいて製品開発が行なわれるようになったという。

 具体的には、お客さまのニーズやイノベーション、技術の種を土壌として吸い上げ、ThinkPadの開発哲学である先進性、親しみやすさ、信頼される品質という3つのテーマのもと製品を開発し、顧客の生産性向上に結びつけるというものだ。このThinkPad開発哲学の木のイラストは、社員証の裏にプリントされており、開発者は日々これを見て心に刻みながら開発を続けているという。

ThinkPad開発哲学の木

 開発の段階で、新たの取り組みとして「WoW+」を取り入れた。これは開発エンジニアが実際困っていることを洗い出し、テーマや関心に沿ってタスクチームを発足、成果を社内で披露し、製品化検討部門を募るというものである。この取り組みが開始されてから、エンジニアから実に1,600を超える意見が集められ、製品に反映しているという。

 また、加速度、ジャイロ、光など、ThinkPadに備え付けられたセンサー類を活用し、「PCに空気を読ませる」取り組み「KY解決班」も始まっている。例えば手に持った状態で歩くことを感知すると、ディスプレイやタッチ機能をオフにして、ペンや指での入力を無効にする「インテリジェント パワーセービング」から、人が画面を閲覧している場合、指定したディスプレイオフの時間が来てもオフにならない「インテリジェントLCDバックライト」、光センサーでキーボードバックライトをオン/オフさせる「インテリジェントKBDバックライト」などが実現されるとした。

 ThinkPad X1の開発に当たっては、レアメタルを添加した流動性の高いスーパーマグネシウム合金を新規開発することで、0.5mm厚を実現し、21〜28%の軽量化を達成。また、CFRPコンポジットも新規開発し、軽量化を図った。お馴染みの「ふくろうファン」は第9世代に進化させ、各羽の間のピッチを徐変化させることで、風量の向上と、耳に付く離散トーンノイズの減少を実現した。また、独自開発塗料による熱放射率の向上や、インテリジェント クーリングによる最適な熱制御を実現したという。

 一方でX1 Tablet用のキーボードは、薄型/軽量化のために、従来キーボード底面から装着されていたトラックポイントを、キートップと同じ面に移動させた。このため薄型のトラックポイントのキャップとなっている。このキーボードはキータッチにもこだわり、20種類以上のラバードームを試作し、打鍵感が損なわないようにしたという。

 また、ThinkPad X1シリーズは全機種WiGigが搭載可能だが、画面が360度回転するYogaでは、タブレットモード時でもパームレストが電波遮断してしまわないよう、非金属開口部を設け、電波を12〜13%改善させたという。

WoW+の取り組みが開始されてから開発エンジニアから寄せられた声の数は1,600を超える
ThinkPad開発の新たな取り組み
センサーを活用し、“空気を読む”ThinkPadの実現へ
ThinkPad X1のそのほかの開発のこだわりとチャレンジ

会場に展示された実機

発表会場に展示されたThinkPad X1 Tablet
「ThinkPad Pen Pro」、「USB C-USB C/VGAアダプター」、「ThinkPad WiGigドック」など、オプションも用意される
ThinkPad X1 Tabletの右側面
同左側面
キックスタンドで傾斜を付けたところ
英語配列のキーボード
トラックポイントは新開発の薄型タイプ
プレゼンターモジュールを取り付けたところ
プレゼンターモジュールで投影しているところ
モジュールには2カ所に端子が用意されている
夏頃出荷予定のThinkPad X1 Yogaの有機ELディスプレイモデル
液晶モデル(写真右)との比較。コントラスト比が高く、黒が引き締まっていることは一目で分かる
ThinkPad X1 Yogaの右側面
同左側面
ThinkPad X1 Carbon
ThinkPad X1 Carbonの右側面
同左側面
オプションの「ThinkPad X1 インイヤーヘッドフォン」
このヘッドセット専用のDolby Audioのプロファイルが用意されており、音声を最適化できる
オプションの「ThinkPad X1 ワイヤレスタッチマウス」
底面はタッチパッドとなっており、プレゼンテーションでも利用できる。左右のクリックも装備。全体底面がスイッチとなっており、自動的に左右が入れ替わる。また、レシーバも本体内に収納可能。USB接続のほかに、Bluetoothでも接続できるなど、かなりの力の入れようだ
左クリック部にはバッテリの残量インジケータを装備。Micro USBで充電できる

(劉 尭)