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レノボ、大和研究所で「ThinkPad P」シリーズの拷問テストを公開

 レノボ・ジャパン株式会社は26日、横浜・みなとみらいにある大和研究所でプレス向けツアーを開催し、ThinkPadの研究開発用の試験設備を公開した。

 ツアーの冒頭では、17日に発売された「ThinkPad P50」、「ThinkPad P70」について、コンシューマ製品事業部の高木孝之氏が説明を行なった。内容的には17日に開かれた記者会見を踏襲する形となったが、11〜13型クラスのモバイル機よりサイズが大きく重いため、耐衝撃性を含む、さまざまな信頼性の面で不利な15〜17型クラスでも、モバイル機とまったく同様の試験テストをクリアしていることをアピールした。

高木孝之氏
ThinkPad Pシリーズにかけるレノボならではのこだわり
FLEX Pwerformance Cooling技術
CPUとGPUのヒートシンクをヒートパイプで繋ぎ、2つのクーラーで効率的に冷却する
システム状況を監視しながらCPU電圧を制御し、なるべく高クロックに長時間とどまれるようにするAutomatic Turbo Boost
バッテリ駆動時でも約8〜9割の性能を維持する
モバイルでも64GBのメモリを実現
ThinkPadならではの堅牢性や利便性

 研究施設の構成や場所などは、2011年公開時と大きく変わっていない。オフィスや実験室は18階および20階、21階(18階は新設されたようだ)で、高層階への設置が難しい大型機器や、騒音を立てる可能性がある研究開発/試験設備は2階に置かれている。

みなとみらいセンタービルのフロア構成
大和研究所の強み
試験項目。これ以外にも細かいところを合わせれば200種類に上るという
試験設備のエリア

 通常ここでテストされるのは量産試作機、つまり発売前の製品であるのだが、ツアーでは撮影のため既存機種に置き換えてテストしていた。一部の写真で、ThinkPad P50/P70が使われていることが分かるだろう。つまりThinkPad P50/P70も、これまでのThinkPadと全く同じ試験を行なっている、ということだ。

 試験内容は、落下、静電気、電波による誤動作、ヒンジ開閉、振動、加圧、騒音、電磁波、温度、ホコリなど、多岐に渡る。ただし細かいところでアップデートがいくつかある。1つ目はヒンジ耐久試験で、ThinkPad Yogaのような、360度ヒンジが開閉するマシンに対応するためのテスト機器が追加されていた。

 2つ目は騒音テストで、これまではファンやHDDの騒音を主に計測していたのだが、ファンの静音化およびSSD化によって、基板やACアダプタのインダクタなどから発生する「ジリジリ」といった、より小さい音の方が気になるようになった。新世代のThinkPadと数世代前のThinkPadを比較すれば分かるが、これらの音は抑えられているとのことだ。技術の進歩によって、これらの試験もより厳しくなっている、ということだろう。

電波暗室にて強い電波を出す装置。ループ電線にLEDを付けただけの簡易的な回路でもLEDが発光することから分かるよう、これだけでも電気回路に大きく影響を与える。十数年前のThinkPad 530では、携帯電話が着信しただけでスピーカーからノイズが聞こえていたという
新型ThinkPadではもちろん対策を施している。写真のThinkPadは、あえてトラックポイント部でその電波対策を外したデモ。ご覧の通り傾き検出センサーが誤作動してマウスポインタが動いていしまっている
静電気試験。一般的に人体が体感する静電気は3,000V程度だと言われているが、4,000Vの電圧を掛けテストしている。コネクタ部などは、8,000Vに高めて試験する
USBのマウスなどは、最大で10,000Vほどの静電気を発生する場合があるという。そこで同じように5回ほどチャージを行なった後、USBポートに挿して問題がないかどうかチェックする
ヒンジ開閉試験。写真は右利きを想定しているものだが、もちろん左利きに対しても試験を行なう
ThinkPad Yogaに対応するための360度開閉テスト機器
天板の1点加圧試験。これは比較的ゆっくり行なっている
こちらは天板中央に対して連続的に加圧を行なう試験。満員電車の中でバッグに入れた場合を想定しているという
試験で行なわれている圧力はこのオモリ3個分に相当するとのことだが、数値は未公開となっている
とは言え、ThinkPad X1 Carbonのような薄い製品でも、成人男性が乗っても全く問題ない
さまざまな温度試験装置。高温や低温環境を作り出し、エージングを再現する。一番右の写真は奥に見えるものが温度試験装置で、高温環境から一気に低温環境、またはその逆を作り出せる
電磁波測定機器。机が360度回転し、さまざまな角度から放出される電磁波を測定する。製品設計時にもちろん電磁波を考慮して設計するのだが、それでも僅かな隙間の高さの違いなどによって結果が大きく変わるという
揺らし装置。動作中のファンを揺らして、軸に対するダメージを検証する
振動テスト。4辺を落とした時の衝撃を再現し、基板やハンダに影響がないかどうか調べる
こちらは上下に連続的に振動を与えるテスト。バッグに重い物を入れ、振動が加わった時のことを想定し、上部にオモリを載せている
こちらは液晶面の1点加圧テスト
さすがにこうやってノートPCを持つユーザーは少ないと思うのだが、それをも考慮してテストしているとのことだった
砂塵に対する耐性テスト
装置の中で使われている砂はアリゾナのものだという
こちらはホコリを想定した試験
人工的なホコリを使っているという
落下テスト
こちらは天板と底面に対しての落下だ。一般の利用ではこのように落とすことはほぼないというが、アメリカのPC雑誌のテストではこのような試験を行なっているため、同様の装置を開発したという
一般的に“ノートPCが落ちる”場合は8つの角のいずれか、の可能性が大きいため、角落下試験も行なっている
落下の衝撃で右の角が削れているが、当然動作には支障がない
HDD搭載モデルのモック。HDDは動作時、ヘッドがディスク上にあり、落下の衝撃などによりヘッドがディスクを傷つけてしまうため、ThinkPadでは「Active Protection」の仕組みを使い、加速度を検知した場合にヘッドを退避させる
この試験ではあえてその機能をオフにし、片手で引っ掛けて落とした時に問題がないかどうかテストしている
半無音室(床が吸音材でできていないためこう呼んでいる)での騒音試験
新モデルは旧モデルと比較して、電源周りの部品ノイズを低減したという
電波特性をテストする電波暗室。ツアー時はちょうど次世代機をテストしていたため公開されなかったが、内部の様子は2011年取材時の記事を参照されたい

(劉 尭)