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富士通、2016年春にPC事業を分社化

〜田中社長はPC事業の売却の可能性は否定

 富士通は、来年(2016年)春にも、PC事業を100%子会社として分社化する計画を明らかにした。

 10月29日に行なわれた経営方針説明会の中で、同社・田中達也社長が言及。田中社長は、「機動性を求められる事業はグループ会社として独立させ、単独でも競争に勝ち抜く製品開発と、ビジネス展開を目指す。独立した事業とすることで、責任が明確になり、甘えの構造がなくなり、持続的な利益成長に向けてのマネジメントを強化できる。そのために分社化する」とした。

 同時に、携帯電話事業も、100%子会社化する方針も明らかにした。

 「コモディティ領域の分社化で、経営判断を迅速化し、子会社は独立した事業として確実な利益体質と成長を目指す。これにより、これまで以上に競争力のある新商品を、タイムリーに市場に提供していくことになる」とした。

 一方、グループ内に分散しているIoTに関連する技術や、企画、開発、製造、営業体制を、全社IoT部門に集約し、中核事業として強化していく姿勢も明らかにした。

 PC事業の新会社は、数千人規模となり、携帯電話の新会社は数百人規模になる見込みだ。

 2014年度の富士通のPCおよび携帯電話事業の売上高は7,093億円。

 PC事業は、2014年度実績で470万台のPCを出荷。2015年度も前年並みの470万台を見込んでいたが、このほど上期決算を発表したのに合わせて、50万台減の420万台へと下方修正。2015年度上期は赤字になっている。

 一方で、携帯電話事業は、2014年度実績が330万台であったのに対して、2015年度は340万台を計画。このほど20万台増の360万台へ上方修正した。携帯電話で昨年(2014年)来課題となっていた品質問題も決着し、300万台体制でも収益が出る体質へと転換したところだ。

 同じ分社化する事業でも、現在、PC事業と携帯電話事業の置かれた環境は大きく異なるといっていいだろう。

 田中社長は、「富士通は、垂直統合を強みとした事業形態をとっている。だが、私見ではあるが、垂直統合の中では甘えの構造が生まれやすい。事業そのものが調子が悪くても、全体として儲かっていればいいということが出てきてしまう。これからのIoT時代は水平分業の時代となり、さまざまなチャンスが出てくる。当社のインテグレーションの中でも活用できるが、それを切り出して、独立した事業体として、グローバルで戦うこことに挑戦してもらいたい」としたほか、「当社のPC事業の特徴はきめ細かくニーズに対応していくことにある。そうした特徴を活かす一方で、事業として独立し、外の空気にさらされながら、市場をきちっと捉えていくことが重要ではないだろうか。独立することで強さを発揮してもらいたい」とコメントした。

 さらに、「携帯電話も、販売店からさまざまな情報が入り、それをもとに開発しているが、SNSの広がりによって、世の中はもっとフラット化している。違う視点からも市場を把握すれば、もっと技術力を活かした製品を開発でき、強くなるのではないかと思っている」。

 富士通におけるPC事業の重要性については、「IoT時代において、エッジを担う製品として、データを取り込むという点でも重要である。ハードウェアの重要性は大きい」とした。

 なお、田中社長は、「今の時点で、PC事業を売却するということは考えていない」と述べたが、「長期的な観点を考えれば、いろいろな選択肢があり、状況の変化を見ていくことになる」などと語った。

田中達也社長

(大河原 克行)