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クリエイター向けタブレット「VAIO Z Canvas」が正式発表

〜CPUは8スレッド、SSDは3.2GB/secのモンスタータブレット

「VAIO Z Canvas」

 かねてより開発表明され、各種展示会やイベントにも展示・デモされてきた12.3型Windowsタブレット「VAIO Z Canvas」が21日に正式発表され、5月29日より発売となる。価格はオープンプライス。

 一般的なタブレットが「有るモノを消費する」ものであるのに対し、VAIO Z Canvasは「無から創造する」ものとして絵を描くキャンバスをテーマとしたクリエイター向けのタブレット。正式発表前からプロトタイプを公開するとともに、クリエイターに使ってもらい、そこから得られたフィードバックを製品に反映させるという、異例のプロセスで開発された。

 製品の特徴は、レスポンス、機動力、クリエイティブUXの3点。レスポンスというのは、プロが利用するに当たってその創作力を邪魔しない反応速度のことで、CPUには47Wという非常に大きなTDPのCore i7-4770HQを採用。一般的には同クラスの製品には15W〜28W程度のTDPのCPUが採用されるが、薄型で2本のヒートパイプを立体交差させ、3基のファンを内蔵する独自の冷却機構により、高TDP CPUの高負荷時でもスロットリングが発生しない排熱設計を実現した。

 一方、3つのファンは新開発の不等ピッチ羽形状とすることで高域ノイズを抑えつつ、個別に周波数制御した低い回転数で回すことで、うなり音も抑制。MacBook Pro 13では38dBA、MacBook Pro 15で44dBAとなるところを、スタンダードモードで34dBA、パフォーマンスモードでも37dBAに抑えている。

製品内部。3つの新開発ファンにより高TDPでも低騒音で排熱している
マザーボード

 Core i7-4770HQは2.2GHz 4コア/8スレッドで、15WのデュアルコアCore i7に対してCINEBENCH R15のCPU性能は6倍、Lightroomを使ったRAW現像速度は、Surface Pro 3に対して2.4倍高速という。

 またこのCPUは、GPUに通常のIntel HD Graphicsではなく、上位のIris Pro Graphics 5200を搭載。CINEBENCHのOpenGL速度は、同世代CPUのIntel HD Graphicsに対して3.7倍、Photoshop CCのスマートシャープ処理速度はSurface Pro 3に対して3.3倍高速。また、3DMark Vantageでの3D性能はIntel HD Graphicsの約2.3倍で、GeForce GT 740MやGeForce 840Mも上回るとしている。

 SSDは高速化された第2世代の高速SSDを採用。このSSDはVAIO Zでも採用されているが、VAIO Z Canvasでは、チップセット側ではなく、CPUのPCI Express Gen.3 4レーンを使って接続することで、実測3.2GB/secの超広帯域を実現した。

 無線LANについても、LDS方式のアンテナを採用し、アンテナモジュールを小型化することで、筐体内で最適な位置に配置することで、電波が弱い場所でも、高感度に送受信できるようにした。同社の実測では、宅内の1階〜2階間という状況で、2.4GHz帯ではMacBook Pro 13の4倍以上、5GHz帯では10倍の速度を確認できたとしている。

 機動力というのは、これまでデスクトップPCで使っていた環境をA4サイズの本製品に凝縮したという意味で、液晶は12.3型2,560×1,704ドット(3:2)で、Adobe RGBカバー率95%を実現。また、専用のカラーマネジメントモードを用意し、X-Riteの「Color Munki Photo」で色補正し、他のディスプレイと色を合わせられる。標準のWindows環境では、スリープから復帰するとカラープロファイルが元に戻ったり、OSが勝手に書き戻すことがあるが、独自にOSによる書き換えをブロックし、スリープに移行しても、補正を維持するようにした。また、出荷時は1台ずつ工場でガンマ補正を行なっている。

 VAIO Zと同様のペン入力にも対応。ペンの分解能は1,024段階だが、ソフトウェアで好みの筆圧に調整できる。タッチパネルと液晶面の間に特殊な光学樹脂を充填することで、ペン先と画素の視差を最小限にし、思ったように描けるよう配慮してある。また、一般的な強化ガラスは、表と裏の2面だけを強化しているのに対し、VAIO Z Canvasで利用しているものは6面全部を強化し、あらゆる方向から耐衝撃性を強めた。

 クリエイティブUXというのは、クリエイターとの対話によって得られたフィードバックを元に盛り込まれた仕様・機能を指す。

 VAIO Z Canvasは無段階に調節可能なスタンドを内蔵し、単体で自立するが、薄型の無線キーボードを添付。本体の手前や背後など、自由な位置に配置し、右手でペン操作しながら、左手で各種のショートカットコマンドを行なえる。

 ペン利用時は、手のひらが画面に触れても誤作動しないようにしているが、100%ではないため、本体右上にRボタンを設け、これを押すとタッチセンサーを完全に無効にし、ペンのみ受け付けるようになる。

 加えて、この状態で、左上のLボタンを押すと、幅2cm程度のショートカットアイコンが画面左端に表示され、この部分だけはタッチが有効となる。ショートカットアイコンは、Photoshop CC、Illustrator CC、Lightroom 5、CLIP STUDIO PAINT、Painter 2015利用時は、そのアプリに合ったものに変更可能で、ファンの動作音や筆圧モードなどを調節するキーセットも用意される。

 ハードウェアインターフェイスは、フルサイズのUSB 3.0×2、SDカードスロットのほか、Gigabit Ethernetや、Mini DisplayPort、HDMI出力を装備。ディスプレイは4K 2台に同時出力可能。SDカードスロットはUHS-II対応により、UHS-I対応のVAIO Proと比べ、1,000枚のRAW現像取り込みは4倍、CrystalDiskMarkは6倍速い。

背面のスタンドは、最初の出し入れを除き、片手でつまんで本体角度を自在に調節できる
左側面フルサイズのUSB 3.0やSDカードスロット、Ethernetなど、
右側面は音量と電源ボタン
比較的発色の良いSurface Pro 3(右)との比較。VAIO Z Canvasの方が色域が広い
付属のペン
上面左右にL/Rボタンを装備
キーボード背面
キー配列は日本語と英語を選択可能

 製品ラインナップは、メモリとストレージの違いで3モデル。上位モデルは、Core i7-4770HQ、メモリ16GB(デュアルチャネル)、SSD 1TB(PCIe 512GB×2)、Windows 8.1 Pro Update(64bit)を搭載し、税別店頭予想価格は399,800円前後。

 中位モデルは、ストレージ容量を512GBに変更し、価格は319,800円前後。

 下位モデルはメモリを8GB(同)、ストレージを256GB(SATA 6Gbps接続)に変更し、価格は249,800円前後。

 このほかの仕様は共通で、インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2(内1つは給電対応)、HDMI 1.4出力、Mini DisplayPort、音声出力、IEEE 802.11ac/a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、SDカードスロット、TPM 1.2、92万画素前面カメラ、799万画素背面カメラなどを搭載。センサー類は、加速度、ジャイロ、地磁気。

 バッテリ駆動時間はJEITA 2.0で7.6時間、同1.0で8.5時間。本体サイズは約301×213×13.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.21kg。

 付属のキーボードは、キーピッチ約19mm、ストローク約1.35mmで、本体とはRF接続。配列は注文時に日本語か英語を選択可能。バッテリ駆動時間は約2週間。サイズは301×213×4.4mm(同)、重量は約340g(目標値)。

 購入後のサービスとして、白色度補正サービスや、バッテリ交換サービス、保護シート張り替えサービス、ペンやキーボードなどの補修販売を利用できる。

(若杉 紀彦)