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AMD、ARMセキュリティコア内蔵のモバイルAPU「Mullins」と「Beema」

〜TDPを引き下げ、ワット当たりの性能は2倍に

4月29日(現地時間)発票

 米AMDは29日(現地時間)、第3世代となるモバイル向けAPU「Mullins」および「Beema」を発表した。

Mullins/Beemaの概要
Mullinsのダイ写真

 Brazos、Temash/Kabiniに続く、モバイル向けAPU。CPUコアのコードネームはPuma+。基本設計は、第2世代のJaguarと概ね共通だが、最適化を推し進め、前世代からTDPを半分近くに下げつつも、周波数は50%以上引き上げ、メモリも高クロックに対応させるなどし、ワット当たりの性能を最大2倍に引き上げた。GPUも引き続きGCNコアを採用する。

 Mullinsは、Atom/ローエンドCore対抗のタブレット向けで、A10 Micro-6700T、A4 Micro-6400T、E1 Micro-6200Tの3製品を用意。Temashに対しては、クアッドコアではTDPが8Wから4.5Wになり、グラフィックス性能(3DMark11)、システム性能(PCMark 8)でそれぞれワット性能を2倍前後に高めている。また、Haswell YのCore i3に対してはグラフィックス性能、Bay Trail-TのAtom Z3770に対してシステム性能で上回るとしている。

 Beemaは、Pentium/Celeron対抗のメインストリームノート向けで、A6-6310、A4-6210、E2-6110、E1-6010の4製品を用意。Kabiniに対して、TDPを25Wから15Wへと40%削減しながら、グラフィックス性能は10%以上向上させた。また、競合となるHaswell Uに対しては、A6-6310が50%、Bay Trail-Mに対してはA4-6210が3倍高いグラフィックス性能を実現するという。TDPが下がったことで、利用時の平均消費電力もBeema対Kabiniの場合で2割程度削減されている。

MullinsとTemashの性能比較
MullinsとHaswell Y/Bay Trai-Tの性能比較
BeemaとKabiniの性能比較
BeemaとHaswell U/Bay Trail-Mの性能比較

 このような効率向上の背景には、リーク電流の削減と、よりインテリジェントな電力管理、Boost制御などがある。

 リーク電流については、CPUコアが19%、GPUコアはその倍の38%の削減に成功している。

 電力管理についてはSTAPM(Skin Temperature Aware Power Management)という機構を取り入れた。これまでのAPUのBoostは、ダイ温度を基準に一定の閾値(60℃程度)に達するまで、クロックを上げ、それを超えると、クロックを抑える仕組みだった。STAPMでは、基準をダイの温度ではなく、機器の表面温度に置いた。ユーザーが触れる表面温度の閾値は40℃程度だが、それに達するまでの間なら、APUダイ温度が60℃を超える高いクロックにまでBoostしても支障が無い。これにより、Boost最大クロックは、KabiniのCPU 2GHz/GPU 600MHzに対しBeemaは2.4GHz/800MHz、Temashの1.4GHz/400MHzに対しMullinsは2.2GHz/500MHzに高められた。

 クロックを高めると消費電力は向上するが、処理時間が短縮される分、APU以外のコンポーネントの稼働時間も短くなり、総合での消費電力は削減される。

 また、専用の電力管理マイクロコントローラにより、Boostによって効果の出るアプリ出ないアプリをリアルタイムで検出し、効果の出ないアプリではBoostを行なわないことで余計な電力消費を抑えている。

CPUコアはリーク電流を19%削減し、コアクロックを最大800MHz向上
GPUコアはリーク電流を38%削減し、コアクロックを最大200MHz向上
ダイ温度を基準にBoostクロックを制御すると、本体表面温度の面ではまだ余裕がある
そこで本体表面温度を基準にBoostクロックを高めた。これにより反応性などが増す
クロックを高めても、処理時間が短くなる分、トータルの消費電力は下がる
Boostが効果ないアプリの場合は、Boostを実行しないで電力使用量を抑える

 このほか、DDR3L-1333の新しい低電力モードの利用によりメモリの電力を500mW、電圧モードロジック(VML)の利用により高解像度ディスプレイインターフェイスの電力を200mW削減した。メモリについては、上位モデルでDDR3-1866に対応し、DDR3-1600に対して、3DMark Cloud Gateで5%の性能向上に寄与している。

 なお、2015年登場のプラットフォームでは、統合型電圧レギュレータ、フレーム間パワーゲーティング、パーツ毎の動的電圧制御なども盛り込まれるというロードマップも公開されている。

メモリやディスプレイインターフェイス周りでも電力を削減
2015年のプラットフォームにはさらなる電力削減機構を盛り込む

 また、セキュリティ用にx86プロセッサとして初めて、ARMコア(Cortex A5)の32bitマイクロプロセッサを統合した。Platform Security Processor(PSP)と呼ばれるもので、RSA/AES/SHAなどの暗号解読やTPMとしての機能などを提供。ICカードの国際標準仕様であるGlobal PlatformのAPIが利用できる。

Cortex A5ベースのセキュリティプロセッサPSPを内蔵
PSPの概要
【表1】Mullinsの主な仕様

A10 Micro-6700T A4 Micro-6400T E1 Micro-6200T
CPUコア数 4 4 2
CPU最大クロック 2.2GHz 1.6GHz 1.4GHz
L2キャッシュ 2MB 2MB 1MB
Radeon R6 R3 R2
GPUコア数 128 128 128
GPU最大クロック 500MHz 350MHz 300MHz
最大DDR3クロック DDR3L-1333 DDR3L-1333 DDR3L-1066
SDP 2.8W 2.8W 2.8W
TDP 4.5W 4.5W 3.95W
【表2】Beemaの主な仕様

A6-6310 A6-6210 E2-6110 E1-6010
CPUコア数 4 4 4 2
CPU最大クロック 2.4GHz 1.8GHz 1.5GHz 1.35GHz
L2キャッシュ 2MB 2MB 2MB 1MB
Radeon R4 R3 R2 R2
GPUコア数 128 128 128 128
GPU最大クロック 800MHz 600MHz 500MHz 350MHz
最大DDR3クロック DDR3L-1866 DDR3L-1600 DDR3L-1600 DDR3L-1333
TDP 15W 15W 15W 10W

(若杉 紀彦)