米AMDは4日(現地時間)、GPU機能を統合した「AMD Eシリーズ」および「AMD Cシリーズ」プロセッサ4モデルを発表した。
今回発表されたのは、同社がFusion APU (Accelerated Processing Unit)と呼ぶGPU統合型CPU。同社はかねてよりFusion APUの投入を予告しており、2010年に行なわれたCOMPUTEXなどのイベントでは、実チップを使ったデモなども行なっていた。
初のFusion APUとして投入されるのは、ローエンドモバイルおよび一体型プラットフォーム「Brazos」(コードネーム)向けの、「Zacate」(同)こと「AMD Eシリーズ」と、「Ontario」(同)こと「AMD Cシリーズ」。Brazosは、Webブラウジング、メール、ストリーミング含むHD動画、カジュアルゲームなどを対象としており、「AMD VISION」、「AMD HD INTERNET」というプラットフォームブランドに位置付けられている。
AMD EとAMD Cの違いはTDPで、前者が18W、後者が9Wとなる。製造プロセスは40nmで、「Bobcat」と呼ばれる新設計のCPUコア2基と、DirectX 11に対応するGPUコアを1つのダイに統合している。1コアあたりのL2キャッシュは512KB。L3キャッシュは非搭載。対応メモリは、DDR3-1066/800。GPUのSP数は80基。H.264/VC-1/DivX/Xvidのハードウェアデコードが可能な動画再生支援エンジン「UVD3」を内蔵する。なお、HDMIのバージョンは1.3で、Blu-ray Disc 3Dの出力には対応しない。
従来ではCPU-メモリ間の帯域が最大17GB/sec、CPU-GPU間の帯域が最大7GB/secだったが、Fusion APUではいずれも最大27GB/secに大きく向上している。
対応チップセットは、FCH (Fusion Controller Hub) A50。SATA 6Gbps×6、USB 2.0×14、PCI Express x1 Gen2×4などのインターフェイスを備える。CPUとの接続インターフェイスはUMI(Unified Media Interface)で、接続幅はPCI Express x4 Gen1。製造プロセスは65nm。
各製品の仕様は、AMD E-350はデュアルコアで、クロックが1.6GHz、同E-240はシングルコアで、クロックが1.5GHz、同C-50はデュアルコアで、クロックが1GHz、同C-30はシングルコアで、クロックが1.2GHz。EシリーズはRadeon HD 6310、Cシリーズは同6250と呼ばれるGPUコアを内蔵。両者の違いはクロックのみ(具体的数値は非公開)。なお、シングルコア製品はデュアルコア製品と同じダイを使用している。
なお、Fusion APUとしては、2011年上半期中に、32nmプロセスで「Stars」と呼ばれるコアを2~4基搭載する「Llano」、そして2011年中に、同じく32nmで「Bulldozer」と呼ばれるコアを4~8基搭載する「Zambezi」という製品が投入される予定。
2011年のAMD製品プラットフォームの位置付け。今回の製品はエントリークラス | OntarioとZacateアーキテクチャの概要 | Bobcatコアの概要 |
Brazosと既存のAthlon II N350およびPentium 6000との性能比較 | デスクトップ製品のロードマップ | モバイル製品のロードマップ |
(2011年 1月 4日)
[Reported by 若杉 紀彦]