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Wi-Fi Alliance、WiGigとの統合や今後の発展計画などについて進捗を報告
~802.11acの認定プログラムを6月から開始
(2013/4/15 13:40)
Wi-Fi関連の技術開発やマーケティング活動などを行なう業界団体Wi-Fi Allianceのマーケティング&プログラムマネジメントディレクターであるケリー・デイヴィス フェルナー氏が15日来日し、同団体およびWi-Fi技術の直近の状況や今後の見通しなどについて説明を行なった。
Wi-Fi Allianceは、「シームレスなコネクティビティ」というビジョンの下、Wi-Fiに関するさまざまな活動を行なっており全世界で500以上の企業がメンバーとして所属している。日本企業も積極的に参加しており、現在、全体の2割近い99社が加盟している。
デイヴィス フェルナー氏によると、Wi-Fiは今世界で最も頻繁に使われている技術の1つで、全世界の25%、日本に至っては68%の世帯で利用されており、2016年までに全世界のWi-Fi世帯数は8億近くに達する見込みという。
デバイスについては、2000年以降累計で50億台以上の対応デバイスが出荷されており、2013年は15億台の出荷が予想。1人あたりが所有する対応デバイスの数は、日本の場合では2011年の2.8台から、2016年には6.5台になると見込まれるなど、今後、その需要と市場はますます大きくなる。
現在、端末に搭載されていのは、シングルバンド(2.4GHz)とデュアルバンド(2.4GHz+5GHz)のIEEE 802.11nがほとんどだが、デイヴィス フェルナー氏は、2013年以降、IEEE 802.11acの普及が加速するとの考えを示した。
11acは、初めて1Gbpsを超えるWi-Fi規格で、先だって1,300Mbps対応のルーターが国内でも出荷開始された。11acは既存の11n(5GHz)と互換性があり、加えてほとんどの11ac対応製品がデュアルバンド対応となるため、2.4GHzの製品とも接続できる。現在、11acはドラフト状態で、まだ完全な規格化作業は終了していないが、デイヴィス フェルナー氏は、すでに規格が成熟したものであることを踏まえ、Wi-Fi Allianceとして6月にも認定プログラムをリリースする予定であることを明らかにした。
そして2014年頃からは、11acに加え、WiGigの通称で呼ばれる11adも対応機器が出荷開始される予定となっている。WiGigは60GHz帯を利用する無線通信で、数Gbpsの高速通信と、低レイテンシを特徴とし、現在はHDMIやUSBなどのケーブルが担っているPCや映像機器とディスプレイ/周辺機器との接続の置き換えを狙う。
WiGigはWi-Fiとは全く異なる技術で、成り立ちは別のものだが、この1月に統合が発表された。これにより、WiGig技術とその認定の策定に関する活動はWi-Fi Allianceに統合され、2013年中に業務分野、メンバー企業が完全に統合される。
こういった経緯もあり、WiGig機器は、Wi-Fiへのシームレスなハンドオーバー機能を搭載予定で、1つの家全体をカバーするWi-Fiと、近距離だが高速通信が可能なWiGigとが双方を補完する形で大きなネットワークを形成するようになる。
WiGigの認定プログラムは2014年に開始の予定だが、果たしてWiGigのブランドがそのまま継続されるのか、あるいはWi-FiのMiracastとWiGigの非圧縮動画ストリーミングという競合するような機能がどのように統合されるのかといった、具体的な事は今後決定されていく予定という。
このほか、デイヴィス フェルナー氏は、ホットスポットの接続自動化やローミングを実現するWi-Fi Passpointについて、2月にNTTドコモが、中国移動通信およびKTと国際ローミングで合意したことを紹介。また、2013年後半リリース予定のPasspoint Release 2では、その場でアカウントを新規作成する機能や、ISPが推奨するホットスポットを簡単に見つける機能が追加されることを明らかにした。