Windows 8 PC発売3日間の販売台数は、Windows 7出荷時のわずか3分の1留まりに


 Windows 8が発売になった10月26日~28日までの3日間のWindows 8搭載PCの販売台数が、Windows 7が発売時の3日間に比べて、わずか3分の1に留まっていることがBCNの調べで分かった。

 量販店店頭のWindows 8搭載PCの展示コーナーは、終日、賑わいをみせていたものの、実売にはつながっていないことを浮き彫りにしたといえる。大手量販店やPC専門店では、出足の低迷を懸念する声がある一方、中期的な成長に期待を寄せる声もある。

 Windows 8搭載PCのメーカー別シェアでは、NECが34.2%と好調な出足をみせ、2位以下を大きく引き離した。

●今もWindows 7搭載モデルが主軸に
各社のWindows 8 PC

 BCNが、全国22社の家電量販店のPOSデータを集計したところによると、Windows 7が発売された2009年10月22日~24日までの3日間におけるWindows 7搭載PCの販売台数を100とした場合、Windows 8の発売3日間の搭載PCの販売台数は、34.6と約3分の1に留まった。ノートPCでは40.7、デスクトップが17.4と、いずれもWindows 7発売時を大きく下回っている。

 大手量販店においては、Windows 8が発売となった10月26日夕方から、会社帰りのビジネスマンなど多くの来店客がWindows PC売り場に詰めかけ、土日にも大きな賑わいをみせていたが、結果としてWindows 8搭載PCの販売には、直結しなかったようだ。

 この背景には、この3日間の需要の中心が、依然としてWindows 7搭載PCの販売であったことが挙げられる。

 10月26日からの3日間の販売台数をOS別にみると、Windows 8搭載PCの販売構成比は5.8%。これに対して、Windows 7は66.0%を占めている。2009年10月のWindows 7の際には、既存OSのWindows Vistaが41.0%を占めていたが、新OSとなるWindows 7搭載PCも33.2%に上っており、新OS搭載PCへの移行が、今回よりも進んでいた。

●既存製品の値下がりやキャンペーンも影響か

 Windows 8が発売されたにも関わらず、Windows 7搭載PCの販売が好調である背景には、現時点でも比較的在庫が豊富なWindows 7搭載PCが、値下がり傾向にあることが大きい。

 この3日間のWindows 7搭載PCの平均単価は65,800円となっており、Macの100,500円、Windows 8搭載PCの119,400円と比べても極端に安いことがわかる。

 さらに、日本マイクロソフトでは、2013年1月31日までに、Windows 7搭載PCの購入したユーザーを対象に、1,200円でWindows 8にアップグレードできる「Windows 8優待購入プログラム」を実施しており、これを活用して値下がりしたWindows 7搭載PCを購入し、その後にWindows 8にアップグレードするというユーザーもいる。加えて、同社では、次期Officeに関しても、現在、無償アップグレードプログラムを行なっており、これもWindows 7搭載PCの販売を下支えしているともいえそうだ。

 Windows 8については、タッチ機能に対して「来店客の関心は高い」という声がある一方で、「まだそのメリットが伝わり切れていない」という指摘もある。

 日本マイクロソフトでは、10月26日の発売前には、あまり情報を露出させずに、タッチ機能や、Windows 8の先進的機能についてはあまり訴求してこなかった。日本マイクロソフトが、10月25日に東京・秋葉原のベルサール秋葉原で開催したWindows 8発売前夜祭では、午後11時30分近くまで、数多くのユーザーが残って、Windows 8の最新機能について、真剣に聞くという光景が見られていた。つまり、ユーザー側からすれば、Windows 8に関する情報が不足しているというのが実態だとも言える。

 あるPC専門店では、「接客をしていても、ユーザーがWindows 8の良さを理解している段階ではない。この良さが浸透していけば、徐々に売れ行きに弾みがつくのではないか」と語る。

 また、「まずは様子見という来店客が多い」、「新たなものについては、しばらく経ってから購入したいというユーザー側の心理もある」といった声が量販店から挙がっているのも事実だ。

 だが、「Windows 7搭載PCの在庫もそれほど長くは続かない」(都内の大手量販店)という状態でもあり、今後、年末商戦に向けて、Windows 8搭載モデルの構成比は徐々に高まっていくことになりそうだ。

●メーカー別シェアではNECが首位に

 Windows 8搭載PCのメーカー別シェアでは、NECが34.2%とトップシェアになった。上位5機種のうち、「LaVie L LL750」が、クリスタルホワイトカラー、クリスタルレッドカラー、クリスタルブラックカラーの3色が占めており、NECが提案する「安心、安全、快適」のコンセプトが受けているようだ。

 2位は17.2%のシェアで富士通。機種別シェアでも、「FMV LIFEBOOK AH FMVA42JW」のアーバンホワイトが機種別で3位に入っている。3位は東芝となり、14.2%のシェア。機種別シェアでは5位に「dynabook R822」が入っている。

 形状別の構成比は、デスクトップPCが14.6%、ノートPCが83.9%、タブレット端末が1.5%となっている。

 大手量販店からは、「現時点では高機能モデルから売れている傾向が強い」としており、機種別では、パナソニックの「Let'snote AX2」が7位に入るといった動きも見られている。

【表1】Windows 8搭載PC機種別シェア:出展BCN
順位メーカー名品番/型番種別販売台数構成比(%)
1NECLaVie L クリスタルホワイト / LL750/JS6Wノート6.0
2NECLaVie L クリスタルレッド / LL750/JS6Rノート4.9
3富士通FMV-LIFEBOOK AH アーバンホワイト / FMVA42JWノート3.8
3NECLaVie L クリスタルブラック / LL750/JS6Bノート3.8
5東芝dynabook R822 / PR822T8GNHSノート3.5
6日本エイサーAspire E1-531 / E1-531-F12Cノート3.2
7パナソニックLet's note AX2 / CF-AX2QEGJRノート3.0
8東芝dynabook T642 ライトシルバー / PT642T6GSHWノート2.6
9ASUSASUS VivoBook X202E スチールグレー / X202E-CT3217ノート2.5
10ASUSASUS VivoBook X202E シャンパンゴールド / X202E-CT987Gノート2.3

【表2】Windows 8搭載PCメーカー別シェア:出展BCN
順位メーカー名販売台数構成比(%)
1NEC34.2
2富士通17.2
3東芝14.2
4ソニー9.3
5日本エイサー8.5
6ASUS7.7
7パナソニック6.7
8レノボ・ジャパン1.2
9HP1.1

(2012年 10月 30日)

[Reported by 大河原 克行]